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IT立国エストニアの今を探る
バルト3国の1国、エストニア共和国。人口134万人、面積は九州と沖縄を足したほどのこの小さな国が今、最先端IT立国として世界から注目されている。
ITの普及率を見ると、行政や学校は100%のブロードバンド接続率、金融機関の電子取引は99%にのぼり、95%の国民がインターネットで所得税申告をしているという高さ。プログラミングは小学校から必修でありITリテラシーは全世代を通じて高い。
エストニアでは選挙から教育、医療、警察、果てには居住権まで全てインターネット上でできてしまう「e-Government(電子政府)」を構築している。投票もインタ‐ネット上で行う。税務申告もネット上で30分もあれば終了してしまうという。国民一人一人にマイナンバーが付与されており、そのマイナンバーとあらゆる情報がリンクしている。日本のマイナンバー制度もこのエストニアの制度を参考にしてつくられた。面白い点はその情報のリンクが政府と民間企業の垣根を超えて共通でなされている点だ。
例えば、「血液型は何型か」という質問をある民間企業できかれ(例えば病院とかで)「B型である。」と電子申告したとする。すると「血液型は何型か」という質問を他の民間企業、行政機関できかれることは一生ない。官民で情報のシステム間連携が行われているためだ。(X-road)
〈総務省HP (第2部 ICT が拓く未来社会)より〉
注意したいのはこのX-roadは情報を中央集約するのではなく、あくまで個々の官民がもつ情報をコネクトするシステムである点だ。これにはブロックチェーンの技術が使われており、情報を分散化させることで安全性を高めている。ビットコインに使われているようなパブリック型のブロックチェーンではブロック生成に時間がかかるのが現時点の欠点であるが、このシステムはプライベート型が使われており、一つのブロックが生成されるのは一瞬である。よって日常の取引に全く支障なく、情報を入力すると一瞬で更新される。
と、まー電子政府の説明はこのくらいにして、この結果あらゆることが簡略化される世界になったとか。
日本でも大前研一さんや楽天の三木谷さんなどが視察にエストニアに訪れてます。大前研一さんは「税理士がいなくなった国」としてエストニアを紹介。そんな「税理士がいなくなった国」とか言われたらめちゃめちゃ気になるじゃないですか!
ということで、エストニアにいって実際どーなのか探ってきました。
日本から13時間ほどかけてエストニアへ。
↑skypeが開発されたのもエストニア。skype出身の人によるスタートアップ企業がエストニアには多く存在。
現地のビジネスに詳しい方にアポをとって、お会いしエストニアについて色々と教えて頂いた。
まず「税理士がいなくなった国」としてエストニアを紹介する記事がネットに溢れているがそれは誇張であり、今でもエストニアで税理士は存在している。
しかし個人の税務申告は非常に簡単なので税務申告代行業務は縮小しているというは事実であった。
この行政サービスの電子化に対して税理士業界から反発はなかったという。確かに税務申告代行業務は縮小するものの、効率化して新たに得た労働力、時間、情報によって、より付加価値の高いコンサル業務を行えるようになることのメリットの方が大きいと考えているようだ。
代行業務から付加価値の高いコンサル業務へ、という流れは日本でもfreee、マネーフォワードなどのクラウド会計サービスからどんどん行われていますね。
続いて先日、日経新聞でも大きく取り上げられた(1月24日)、エストニアの電子居住権(e-residency)について。
電子居住権とは、エストニア国民向けに発行している国民IDカードを、居住権を持たない外国人にも発行して、エストニア政府が提供するほとんどの電子政府サービスを、インターネット経由で利用することができる制度だ。
日経新聞では電子居住権で他国の人々を集めることで他国がエストニアに対して攻撃しにくいようにする安全保障的な側面を大きく取り上げていたが、実際は電子居住権制度の目的で安全保障面の目的は低いとのこと。
一番の目的は外貨獲得。電子居住権発行に100ユーロかかるのだが、2015年4月からはじまって、現時点ですでにエストニア政府が「電子居住権制度」の広告のために支出した費用以上の登録料が集まっている。
最後にエストニアで今あついベンチャーを二社紹介。
〈Starship Technologies〉
左下のロボット、スターシップがあらゆるものを自動で宅配する。イギリス、ドイツ、スイス、アメリカなどですでに実証実験を開始。宅配業界に革命をもたらそうとしている。現時点で99%の自動化を達成しているとのこと。
タリン工科大学周辺を歩いていると何台ものスターシップが町中を歩いていた。(笑)
〈Transfer Wise〉(時価総額10億以上)
TransferWiseは、オンラインで海外送金サービスを行う企業である。手数料を抑え、為替手数料をゼロにした点で画期的であり、2011年に開始して以来、注目を浴び続ける。
仕組みはこうだ。
日本にいるAさんはアメリカの口座に1万円分のドルを送金したいと思っている。Aさんは海外送金するのではなく、TransferWiseの日本の口座に1万円を振り込む。TransferWiseは1万円に相当するドルを日本の口座に円で送金したい人を探す(Bさんとする)。マッチングしたBさんは、1万円に相当するドルをTransferWiseのアメリカの口座に振り込む。
簡単にいうと海外送金したい者同士をマッチングさせて、海外送金することなく国内取引で決済することで、為替手数料が発生しない仕組みを作った。
日本でも2016年9月7日からサービスを開始している。銀行が手掛ける既存サービスに比べて平均で3分の1という安価な手数料と、手続きをオンラインで完結できる利便性が売りだ。
IT、起業大国のエストニアから今後も目が離せない。
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