利益の最大化が本当に全体最適につながっているのか?
最近、社会全体の幸福総量が最適になる社会システムについてぼんやりと考えております。
業績至上主義がデファクトスタンダードになってしまった結果、社会全体最適を損なった社会システムになってしまっている気がするのです。
今の社会において、上場会社(ないし、上場を目指す会社)は、業績の拡大を絶対的なものとされ、それをみんな当たり前のように目指しています。
そもそも、会社の利益は「売上」から「費用」を差し引いて計算されます。「費用」には従業員の人件費や商品の原価などが入ります。
「会社が儲かっている」ということは、当たり前ですが、売上>費用となっているわけです。
この利益の最大化が正しいとされているわけですが、本当にそれが正しいのか?
利益がでて、得をするのは株主だけです。顧客や従業員は利益がでたとしても、はっきりいって何の関係もありません。
最近、スタバの居心地がどんどん悪くなっている気がします。元々、「家」「仕事場」に次ぐ第三の居心地のいい場所を提供するというコンセプトで始まったスターバックスですが、業績を求められた結果、そもそものコンセプトが少しずつ薄まってきてしまっているのではないでしょうか。
回転率の向上と居心地のいい空間はトレードオフが発生してしまいます。業績を目的とするなら、椅子の座り心地を悪くしたり、時間制を導入したりすることがこの社会システムだと正解になってしまいます。
利益が出た分だけ、従業員の給与を増やしたり、顧客への還元を増やした方が社会全体の幸福量は増加するのではないか。各個人の幸福量の最大化を図るなら、利益の拡大を目指すのではなく、一定の利益を出すことを前提として、「費用」の最大化をめざすべきではないか?
費用を最大化するためには売上を伸ばさなくてはならないし、そのために設備投資や有事の際の余剰資金の確保が必要であるため、一定利益をだすことは必要になりますので、会社の成長が必要であることに変わりありません。重要視する視点を株主から、顧客や従業員に変えるだけです。
社会全体が「費用の最大化」を目指すことになった場合、余剰金が使われるようになるので、経済活性化にもつながるという効果もあります。
先日、岸田政権から新たな会社形態の創設検討を行う発表がなされました。
パブリック・ベネフィット・コーポレーション(PBC)という概念で、利益だけでなく、社会課題の解決を目的とする新たな会社形態です。当会社形態の創設検討の背景には、上述したような既存の社会システムの問題があり、解決を模索する動きが水面下で広がっているのかもしれません。
政府として当該新たな会社形態の普及に力を入れるとするならば、投資者・会社双方の税制優遇制度や、行政の受託入札条件の一つに組み込まれるといった様々なメリットを今後提示してくるはずです。そもそも、僕らは何のために生きるのか?そのために社会がどうあるべきか?そんなことを考える計機になりそうです。