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僕たちは資本主義の負の影響を受ける最初の世代〜SDGsの展望〜

~100年続いてきた社会のルールが変わる~

2018年初頭、運用資産800兆円を超える世界最大級の資産運用会社、ブラックロックCEOから、世界中の投資先企業へ送られた1通の書簡が世界に衝撃を与えた。

3ページに及ぶ書簡の中で、太字と下線によって、大きく強調されながら記されていた内容は、次のとおりであった。

「To prosper over time, every company must not only deliver financial performance, but also show hot it makes a positive contribution to society.」
(持続的に繁栄するためにも、すべての企業は、財務的業績を上げるだけではなく、どのように社会にプラスの貢献をするのかを示さなければいけない。)

これまで世界は、資本主義のルールのもと、100年以上に渡り、ひたすら経済成長を追い求めてきた。資本主義のルールでは、財務数値がいいプレーヤーがもっとも評価されるため、各企業は財務数値の最大化を目指して活動を続けてきていた。

ブラックロックCEOからの書簡は、その大前提となる財務数値のみで評価されていたルールが今、変わろうとしている兆しを世界に示していた。

上記の出来事は一例に過ぎない。昨今、至るところで「SDGs」「ESG投資」といった言葉を耳にする。SDGs、ESG投資、とは何なのか。世界での盛り上がり状況などを簡単に整理するとともに、これらの概念がなぜ今、注目されているのかを分析する。

~経済成長の果てにあった地球の限界~

地球温暖化や異常気象が問題視されはじめてからいったいどれほどの時間がたっただろう。これだけ経済が発展している中で、世界が抱えている社会課題はよりいっそう深刻さを増している。

昨年の大型台風の被害は記憶に新しいが、気候変動の影響は、我々の目に見える範囲の日常にもすでに影響を及ぼし始めている。目に見えない範囲を探るため、数値に基づき今の地球の現状を冷静に分析すると、事態の深刻さはより鮮明になる。

認識のとおり、世界の平均気温は右肩あがりで上昇を続けており、このまま有効な温暖化対策をとらないと、60年後には2.6度~4.8度世界の平均気温が上昇すると予想されている。

世界のCO2濃度も下記グラフをみてわかるとおり、急激に悪化している。

このままのペースで進んでいくと、自然災害、食物連鎖の崩壊による飢饉の発生、地球温暖化による疫病の蔓延など、これまで我々が経験したことない様々な問題が、近い将来、人類に立ちはだかることになるだろう。

すでに影響が現れているものも多数存在する。例えば、我々日本人の主食の一つともいうべき魚、水産資源の状況をみてみると、

サバの漁獲量は147万トン(1978年)から33万トン(2016年)、ウナギは、200トン(1960年)から4トン(2017年)、ヤリイカは、1.4万トン(1977年)から16トン、と、すべての原因が地球温暖化というわけではないが、それぞれ予想以上に激減していた。

~この先10年以上続くトレンド「SDGs」とは~

このまま行くと地球がもたないし、今の生活や経済活動を持続的に行うことができない。そんな深刻な社会問題を背景にうまれたのがSDGsである。

SDGs(Sustainable Development Goals-持続可能な開発目標)とは、世界が抱える様々な社会課題に取り組み、永続的な社会をつくるために世界各国が合意した、2030年までに達成すべき17の目標のことである。抽象的な17の目標に対して、より具体的な数値目標の記載もある行動指標が169のターゲットとして定められている。

SDGsの取り組みの前身として、MDGs(Millennium Development Goals:ミレニアル開発目標)というものがあった。193の全国連加盟国と23の国際機関が達成すべき目標をまとめたMDGsは、2000年から2015年にかけて行われ、一定の成果をあげた。

一方で、MDGsの取り組みには以下の点で問題があった。

①発展途上国で生じている課題に焦点をあてた取り組みであったため、先進国で生じている問題を網羅しておらず、先進国も巻き込んだより大きな運動につながらなかった

②企業を巻き込んだ行動目標ではなく、あくまで各国政府の政策に関する行動目標であったため、民間企業が主体となって行う取り組みにならなかった

上記の問題点を踏まえ、官民一体となって、持続可能な世界を構築を目指し、より大きなインパクトを生むため動き出したのがSDGsである。そのため、今回のSDGsは、MDGsではできなかった、先進国と企業を巻き込んだより大きな運動に発展している。世界のグローバル企業は、これらの課題を、解決すべき深刻な問題と認識するとともに、推定市場規模1,200兆円とも言われる巨大なビジネスチャンスをとらえるべく、SDGsへの取り組みを一斉に開始している

~急速に普及するESG投資~

前述したSDGsが事業会社の行動に影響を与えるとすれば、金融機関に影響を与えるのが「ESG投資」という新たな投資概念である。ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字を取ったもの。気候変動や人口増加といった地球規模の課題解決に向け、投資の際に財務数値とは別に、これらの要素を考慮して最終的な投資判断をすべきという、SDGsと密接にリンクする考えである。

世界のESG投資額は、2016年から2018年の2年間で約2,550兆円から3,418兆円と大幅に増加している。日本でもGPIFが2017年からESG投資をスタートさせたことをきっかけに急速に投資額が増えている。

ESG投資額は今後も増加していくことが予想される。ESGを無視した経営を行うと、資金調達が困難になり、自社の株価下落の要因となる。経営者は遅かれ早かれ、否応なくESGを意識した経営を行わざるを得なくなるだろう。

~僕たちは資本主義の副作用をうける最初の世代~

これまでの資本主義のルールにおいては、短期的な財務上の数値のみが評価された結果、中長期的かつ地球レベルでみたマクロ的な視点を欠いたまま経済活動を行ってきた。その代償ともいうべき負の影響を、これからの50年で我々は実感していくことになるだろう。

この50年で先代たちが続けてきた負の連鎖を断ち切ることができるか。それは僕たちのこれからの行動次第だろう。国民一人一人が意識と行動を少し変えるだけで、それは文化となり、企業を変え、社会を変える。

これまでのように、やれたらいいよねという「BETTER」のフェーズから、やらなければならないという「MUST」のフェーズへ時代が変化したを認識しておく必要がある。

※Appendix(参考文献)

・環境省 HP
・GLOBAL SUSTAINABLE INVESTMENT REVIEW
・2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望
・シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成

※Appendix(READYFORが現在提供しているSDGs関連サービス)

▼READYFOR SDGs
▼READYFORとUniposが「SDGsプラン」の共同開発・提供を開始


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