【ゆるQ】王室ヨット・ダンネブロ
『特捜部Q - キジ殺し -』は、デンマークの富裕層が登場する話。
主人公の警部補カールが ある上流階級の自宅を訪ねた時、真鍮がふんだんに使われたドアを見て
"王室ヨット全体よりも多くの真鍮が使われている"
という感想を持ったシーンがある。
今回は、この王室ヨットの話をしようと思う。
ヨットの名前は「ダンネブロDannebrog」。
デンマーク国旗を表す言葉で、現在の国王の曽祖母にあたるアレクサンドリーネ王妃が名付け親だ。
全長78.4mで、かつて英国王室が所有していたヨット"ブリタニア"の120mと比較するとやや小ぶり。
そして冒頭で触れた通り、舳先や内装に真鍮が豊富に使われているのが特徴だ。
真鍮は空気に触れると次第に黒ずみやサビが発生する素材。
これを丁寧に磨き上げるのは、乗組員の仕事である。
王室ヨットを扱ったドキュメンタリー番組では、あぶらとり紙のような小さい紙で舳先の真鍮を丹念に手入れしたり、徴兵された若者達(※)が一列になって手すりを磨く場面が放送されていた。
(※補足 - 乗組員は海軍から選出される)
英語では船の代名詞に”She”を使うことがあるが、ほっそりと優美なフォルムに真鍮の輝きをまとった姿は、正にたおやかなご婦人を連想させる。
◆◆◆
そんなダンネブロの仕事のひとつに、150年以上続く夏のクルージングがある。
(今年退位されたが)女王陛下や王室メンバーを乗せて、国内の様々な港を巡るものだ。
コースはその年により異なるが、特捜部Qファンとしては作中にも登場する地名が数多く見られる点にも注目したい。
スラーエルセSlagelse (『檻の中の女』『キジ殺し』など)、
オーフス Aarhus(『カルテ番号64』など)、
ボーンホルムBornholm (『檻の中の女』『吊るされた少女』)
などなど…
ダンネブロ寄港の際は、一般市民も歓迎に駆けつける。
日本でも皇族方のご静養先で一般市民が歓迎に集まるのと似ているだろうか。
◆◆◆
特捜部Qの主人公カールは農家出身という設定だが、幼い頃からテレビなどでダンネブロの姿を何度も見てきたのかもしれない。
冒頭でご紹介した"王室ヨットよりも多くの真鍮が使われている"というのは、デンマーク人読者にとって分かりやすく豪華さを連想させる表現なのだろう。
#特捜部Q_檻の中の女
#特捜部Q_キジ殺し
#特捜部Q_カルテ番号64
#特捜部Q_吊るされた少女
参考
・Wikipedia
《 HMY Britannia 》
・kongehuset.dk
《 The Royal Yacht Dannebrog serves as the official and private residence for HM The Queen and other members of the Royal Family when they are on summer cruises in home waters or on official visits overseas. 》
《 The Royal Yacht Dannebrog’s sailing 》
・Creema
《 真鍮アクセサリーのお手入れ方法。台所にある物でサビや黒ずみ、変色を綺麗に! 》
・YouTube
Steen Rasmussen
《 På togt med Kongeskibet 》
Scandinavian Royalty
《 Danish Royal Family Documentary (KongehusetPart 5/10) 》