テニスの王子様とヤンヤンつけボー
『恋の歌謡日』というゆずの歌がある。
恋焦がれる相手に精一杯尽くすが、決してあの人の心は私に傾かない。
そんな失恋を歌う。
この歌が流れると私の頭の中では菊丸英二と大石秀一郎ペアがダブルスで戦い出す。
試合は都大会の準々決勝。試合の雲行きは悪い。
菊丸英二を徹底攻略をしてきた相手チームが繰り出す策にやられて大ピンチだ。
負けないで!頑張ってー!!!!
ぽかんとするだろうが、漫画『テニスの王子様』の話だ。
テニスの王子様が流行り始めた頃、私は友人に漫画を借りてまんまと沼にハマりかけていた。
ちなみに私は菊丸英二君が一番好きだった。
どんなところが良いかって彼は中学生ながら朝から家族のごはんを作っているんだぞ。
いいなあ。誰かがご飯を作ってくれるなんてうらやましい。。。帰国子女だとかで英語の授業は寝ていても完璧な越前リョーマのスペックぐらい羨ましい。
新しい沼のついでにテニス部に入部し、スポーツに明け暮れた青春時代を送、、、、、らなかった。ヤンヤンつけボーのチョコレートに染まったビスケットの如く、単にチョコレートのように甘い沼に染まっただけだった。
しかし、ラブソングをどう解釈したらスポーツ漫画に繋がるのか。
これには一つ心当たりがある。
当時、音楽を聴きながら漫画を読む習慣があった。
音楽が流れていればなんでも良いわけでもなく、読んでいる本や漫画と一応合わせて選曲していた。
選曲していた割にはスポーツ漫画と恋愛の歌はお寿司に牛乳、イタリア料理に緑茶程合わない組み合わせだが、おそらく菊丸、大石ダブルスのピンチにページをめくる手だけに集中し、緊張感が増すこのシーンを読んでいるときにたまたま流れてきたのが恋の歌謡日だったのだろう。
恋の歌謡日は最後、『ありがとうー!』と失恋したボーカルがもう届かない想いを歌にのせて終わる。そのパートが流れる時、私の頭の中では、あしたのジョーのラストシーンのように体力を出し尽くし、立てなくなった菊丸英二が浮かぶ。
この曲を聞くと菊丸の自分の体力がないことを無念がる気持ち、試合に負けてしまった悔しさを思い出し、切なくなる。
なんてこっだ。失恋の雰囲気が台無しではないか。
ヤンヤンつけボーがビスケットのサクサク感とトッピングのガリガリ感をマッチさせて相乗効果で美味しいように、音楽や本を合わせて楽しみたまに恋の歌謡日のような予期せぬ変化球が入るのも楽しみの一つだ。
企画参加作品です。