旅のようなお出かけ 赤い電車
1番古いお出かけの記憶は4歳。
記憶の中の私は母の手に引かれて赤い電車を眺めている。
一体赤い電車に乗ってどこへお出かけしたのかは記憶にない。記憶にあるのは赤い電車の姿だけ。
私の住んでいた家から最寄駅までは徒歩30分以上かかったし、電車は1時間に1本あれば良い方だった。大抵の移動先は車で移動した方が早い。駐車料金を足しても車移動の方が交通費も安く上がるし、あまり電車で移動するメリットはなかったはずだ。
赤い電車でのお出かけは祖母、母、叔母(母の妹)と2人のいとこたちも一緒だった。もしかすると子供達の誰かが電車に乗りたがり、電車に乗ることが目的だったのかもしれない。
最寄駅から終点まで1時間ちょっと。大人にとってはちょっとしたお出かけだったろうが、
4歳の子供の目線では旅のようなお出かけであったに違いない。その証拠に4歳の私は、しばらくの間赤い電車乗ってお出かけした話ばかりしていたようだ。
いつもの道、いつもの電車、いつもの風景。
どれも変わらないもので、旅とは程遠い。
が、目線を変えて周りをよく見てみると猫が草むらに隠れていたり、綺麗な花が咲いていたり、足元を見ながら歩くと春はたんぽぽやつくし、甘い匂いがすると思ったら金網の向こうに野いちごがあり、いつもの道を変えてみると犬に激しく吠えられ飛び上がったり。
もうすぐ秋。
散歩しやすい季節。
たまにはいつも車で通っている道をのんびり散歩して、目線を変えて周りを見てみると旅のように沢山の発見が出てくるのかもしれない。