思っていたこと
ずっと探していた。生まれて物心ついた頃から不思議とこの話は覚えていた。
記憶に留めていたいのに、どんどん忘れていってしまう。目印も聞かされていてね、鏡を見る度に「元気にしているかな…」と瞳の奥を覗いて話しかけていた。
ずっと会いたくて探していたのに、見つけた時の喜びと、君に認識され見つかってしまった時の恐怖と諦め、もうこの時期が来たのかと、意識に上らせないようにしたあの日からやっぱり逃げたのは、
まだ相応しくない状況に立往生したのと、わかりすぎる割にわかり合えないもどかしさと、すれ違いを経験して結論から言うと、目的に沿った生き方のためには普段通りの生活を改め直すことこそ大切なんじゃないか。ということに達したからだ。
知りたいという気持ちの方が勝ってしまい、今まで怖いことの方を選びすぎて、普通であることを選ばなかった。
大抵どこか脱していたよね。
飛ぶ前のドキドキ感、ヒリヒリとした緊迫した空気に、肌から刺すような痛みを、神経を研ぎ澄ませ感じる自分を抱えながら、走り出す。
バーを上げた、高跳びを越えさせて、難易度高く設定してきたのだから、本来であれば僕らなら越えられるのにね。
気づきすぎた事柄に反応するよりも、信じることに変えてみた。
広がり過ぎた世界を縮小して穏やかな気持ちで揺らぎの中、言葉にしない思いを感覚で漂わせながら見た景色は、優しさで溢れていたよ。
大きいを目指さなくとも、着実に実直に、難しく出来なくなってきた日常を少しでもこなせるようになったらいいよね。
そこに一番基本的で二人の想いを確かなものへと変化させる喜びへと通じる扉が開かれるのだと思っている。
結果を意識するより、
今ここにいる自分自身、
今日という日を生きている幸いを蓄積していき、
飛び越えよう。
僕(わたし)だけの半分ではないことを知っているから
飛び越えた先に何があるのかわからなかったとしても
決して手を離さないでいよう。
あの時の新鮮な気持ちで見ていた世界を思いだそう。
もう大丈夫なんだ。