重臣
貴方は重厚な蔵だった
過去も未来も確かなものと
不確かなものが
知識と身を持って描いた心根の伴侶も
代々続いた栄華と繁栄をもたらした
蒔絵の中にある絵物語も
時折 啼泣する こだま
反響板から往き来する
山のぶつかりに見えた谷霧の中に
神苑で遊ぶ童女は
純真際立つ 穢れなき
装いの中で
大切に育てられるべきである
帰依するのだから
彼女に何もかも渡すのが
願いでもある
それでいいのだと
それが一番いいのだと
そうすべきなのだと
藤棚の下で涼み休んだ
一時の安らぎが
絡み合い 逃れられぬ
恋心を駆り立てられるのは
虚脱感を伴う悲しみと憂いを
もたらしたのは
全部私のせいなんだと考えるのも傲り
すべていつまでも
広く優しく包み込む姿と
一抹の寂しさも拭えぬ空いた穴に
そこにはきっと重みのある暗さが
程よく柔らかな陽射しを反射し
ぴったりと体にくっついてしまった
甲冑となった姿が眠っている
私は枯れた先にある
美しさを知りたかった
燻銀のように磨かれ
多くの輝きを受け止めることのできる
喜びも辛さも本当に何もかも
感じきった重みが深みを増して
すべてを包み込む姿を見ていたかった
ただ それだけ
ただ それだけのこと
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