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いのちの回帰
めまいがするほど好きだった
薄桃色の舞台背景に
時を重ねたからこそ
お互いの愛を越えた
真実を見つめ 吐息に混じり
愛故に悲しみの色が深まり
侘しさ一つ
「側にいた時は思いもしなかった。貴方がいなくなるなんて。」
「鬱陶しいと感じながら大切な何かを忘れながらどうして気がつかなかったのだろうか。」
そんな貴女の声に切なさを見たので
大切な命の瞬きに問いかける。
(貴方の想う方に渡したい心の声を
届けましょうか?)
「嗚呼 気がついてくれたんだね。
僕の心はいつもあの人を求めていた。」
「あの人の笑顔を見たかった。」
「喜んでいる姿を感じたかった。」
「自分の手で愛を渡し守りたかった。」
微かな声で伝えてくれた
命のささやき。
(そうだったのね)
(そうだったのですね)
貴方の残された思念が私の身体中を駆け巡る。
貴女への想いを走馬灯に乗せて知らせてくれた。
なんて崇高で
真っ直ぐな
混じりけない
想いなのだろうか。
愛するということは
こういうことを指すのですね。
確かに受け取りました。
貴女の声を知る。
「何故あの時に気がつかなかったのだろう。」
「いつもそうだった。」
「私は何を求め何を探していたのだろうか。」
失う予感が横切り
塞き止める 命の向こう側
感じながら この現実を
見つめ直すには
遅すぎたのだろうか。
後悔の念と
優しく寄り添い温めてくれる
ささやかな気持ちを
受け取りながら
前へ向かい
前進していく。
わかってはいるけれど
いかないでほしいと
縛ってしまう。
失うことを恐れて
なかなか手放せなかった
守りたい大切な命の揺らめきが
どうか消えないように
ずっと祈っていた。
私が守りたい
貴方から守られるのではなく
貴方を守りたいと
ずっと思っていた。
危なっかしくて
ほっとけなくて
私がいないと駄目なんじゃないかと
淋しいように思えて
一生懸命な姿に
かつての力強さが見られなく
私のせいだと感じた。
支えたかった。
弱った姿を見た時に
否応なしに突きつけられる現実に
かつてのあの人は何処にいったの?
執念が貴方を呼び止める。
でも違ったのですね。
失ってから気がついた。
肉体がなくなって
脱ぎ捨てた
命そのものを感じた時に
貴方の本当の愛を知った。
私をいつも見守ってくれて
いたことを。
真実の愛は
身近なところで
お互いが見えていない。
一方通行のようなその愛の視線は
何処へ向かうの?
意識になり
心と心が通い合い
存在の大きさに触れた時
見えない力によって
気がつかされるのかもしれない。
よりましたる
時の御空に
映し出され
散りばめられた
世迷い言を
忘却の道末に
置き忘れた
想いの束を集め
ただ純粋に
愛おしみ抱きしめる
人を失うということ
亡くすということは
愛を知る 学び
帷子を纏った
その薄い隔たりから
僅かに見える
微かな鼓動を
脱ぎ捨てて
何にも染まらない
美しい色合いに溶け込んだ
産声上げる 御霊が
さすらうことなく
安寧の時を越えて
回帰された先の
光ある処へ
いつか見た景色と共に
色づいていく
魂の鼓動と躍動を感じながら
重なり合う
一つ
重なり合った一つ
悲しみのない世界へ
安らぎと共に
今度こそ二人で
行けますように。
祈りと理とを
美しく奏でた
レクイエムに乗せて
魂の旅路に終わりはない
いのちの回帰
魂の故郷へ
大切な
もう一人の父に捧ぐ