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「pear soda 2」セルフライナーノーツ

梨炭酸(pear soda)のOTW(オーティーダブリューと読み、呼びにくいのでオーティーと呼ばれてます)です。
梨炭酸(pear soda)「pear soda 2」リリースから1ヶ月弱、色々な反響をいただく中で、少しどんな内容なのか書いてみたいと思います。

CHAPEL


この曲は元々僕とうすばが昔やっていたバンドで作った曲で、今回EP制作にあたって引っ張り出してアレンジし直した曲。
作った当時は2020年くらいだと思う、ちょうど東京オリンピックだ、渋谷再開発だ、という、コロナ禍前の「まだ東京は死んでない、これから祭りがある」という上昇していく感じがまだしていた時期。渋谷に朝仕事行って満員電車を降りた時に沢山の人がいて、「なんでこんなに渋谷って人多いんだろ?どうせ知り合わない人ばっかりこんな多くても仕方なくない?」とか思って、でもその後、「この人混みの中で運命的な出会いを果たす人もいるんだよな」と思って歌詞が先に出てきた。
アレンジは当初からChapter houseっぽくしたいなと思っていたけど、作った当時めっちゃJ-ROCKの王道だねーって言われて軽くショックを受けた記憶。真っ直ぐなテンポ感とか、間奏のギターがぐわ〜っていく感じが凄い気に入ってます。前のめりのリズムパターンも。リバースディレイとビッグマフ最高。

MIDORI

ちょうど活動休止中に作った曲で、絶賛鬱モードに入っていた時に台湾の音楽漫画「緑の歌」に出会い、感銘を受けて作った曲。
(本当に良いので是非沢山に読んでほしい。音楽を本気で志したことのある人、バンド沼にハマったことのある人、バンドマンと恋愛したことのある人に。実際メンバーにも進めたらかなり泣いたと言ってました)

歌詞は「緑の歌」主人公の緑の目線と、自分の感性をマッシュアップしている。歌詞は自分でもとてもよく書けた気がしてる。
当初はもう少しグランジっぽくしたいと思ったけど、メンバーといろんなリファレンスを出し合ってこの形になった。
梨では唯一ドロップDチューニングを使っています。

CHIAKI


秋冬にEPを出す!と意気込んで作った曲。
「CHIAKI」は千秋(一日千秋という熟語から)の意味。
1日が1000回の秋に感じられちゃう日もありますよね。

報われない恋愛を歌っていて、切なさや寂しさの表現と同時に、なるべく秋の澄んだ空気感にしたかったので、そこはみんなと擦り合わせていきました。音像は、ドリームポップやインディポップらしい感じ。THE 1975やポリスなどをみんなで聴いて作った。

COMET TAIL


元々は活休前にデモを作ってた曲で、その時めっちゃバンドに対してやる気だったから「このまま勢いよく突き抜けていこうね」という歌詞を載せたのだけど、その後メンバー脱退があり、正直お蔵入りかなと思っていた時もあった。だけどこうして出せたことで、より曲のメッセージも強いものになってくれたと思っていて、「曲が自分達を導く」みたいなことになったなと思っている。
明るい歌詞を書くのはあまり得意ではないのだけれど、サビは突き抜けていく強いものにしたいと思っていた。絶望があるから希望があるとよく言うけれど、それは科学的にも証明されているようで。

だから、今苦しい人や苦しかった人、それはきっと希望を感じるためのチャンスなんだと思う。そこに実感を持って歌えるようになっていきたい。
自分は決して輝く一等星タイプではない。地味な六等星でも光ってるんだよ俺たちってちゃんと言葉にしてみたかった。

TOI ET MOI


タイトルはフランス語で「あなたとわたし」という意味。このEPはCHAPELを先頭に置くと決めた時に「全体を通して東京の話にしよう」と思っていた。思えばこの4年間くらい沢山の出会いと別れもあり、東京中で沢山同じようなことがあったと思うけど、でもその一つ一つを目を凝らして見てみたら、全部「あなたとわたし」の話じゃないかなと思って、「マクロから見た東京は、ミクロから見たらあなたとわたし」なのだなと。だから本当は「東京」というタイトルにすべきだと思っていたけど、こっちの方が自分らしいなと思ってこっちにしました。

誰かとの別れを乗り越えるのはなぜこんなに痛いと思うのか?という質問に対して、あるインタビューで宇多田ヒカルさんがこのように答えたそうです。

関係が終わったり、誰かを失ったりする時に痛みを感じるのであれば、それは最初から心の中にあって、その関係が痛み止めのような役割を果たしていたんだと思います。
心の中の痛みを紛らわしてくれる存在というか…。

そんな支えを失ってしまうことに痛みを感じるのだと思います。
たとえ相手に依存しないようにしていたとしても、実際は頼ってしまうというか…。

少なくとも、私の経験から学んだことです。

ネットより

結局僕たちは大きさや形の違う不揃いな穴(痛みや寂しさ)を誰しもずっと心に抱えたままで、その穴を誰かに埋めてもらっている時にだけ、痛みを感じなくなるようにできているのかもしれない。そこに救いや答えはないかもしれないけど、それは聴く人が見つけ出してくれたらと思うし、その手段にこのEPがなってくれるのが夢です。

まだまだ沢山の人に聴いてほしいし、広がってほしいと思っています。
梨炭酸(pear soda)を今年もよろしくお願いします!🎍


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