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第13回 ロードサイドでコンビニが売れる要素

車の通行量と売上の相関

別の記事で、お店の前の歩行者数と売上の間に相関がない事をご説明しました。同様に車の通行量と売上の間にも明確な相関はありません。同じ台数が通過する一見似たようなお店同士でも売上は全く異なります。また通行量は多過ぎても少な過ぎても注意が必要です。更に同じ通行量の店でも売上は大きく変わります。今回は歩行者と同様に車にもお店の売り上げに関わる『質と量』がある事をご説明します。

道路によって変わる車の『質』

道路法上での道路の種別は1.高速自動車国道(以下高速道路) 2.一般国道 3.都道府県道 4.市町村道となりますが、お店の売り上げを左右する立地という観点から見た場合、大きく『生活道路』と『幹線道路』の二つに分ける事が出来ます。それぞれの道路の主な使われ方の違いが移動距離の差によって現れます。皆さんも日々の生活の中、車で移動するシーンを想像してみて下さい。毎日の買い物や通勤は近距離が主で市町村道や都道府県道のような『生活道路』を使う事が多く、年に数回の旅行やドライブのような遠距離移動には一般国道や高速道路のような『幹線道路』を使うことが多いと思います。
例えば、図1の生活道路では買い物や通勤等のような近距離移動の途中で日々の外食、中食、内食需要に加え日用品から雑貨、公共料金等の支払いに至るまでほぼ全ての商品、サービスに販売機会があります。また近距離移動の途中では通過する競合店の数が限られており、毎日のように使う道路なので自ずと使うお店は決まってきます

スライド2

ところが、図2のような幹線道路では旅行等の長距離移動の途中、主に必要になるのはトイレ休憩と飲料、弁当、おやつ等がメインで中食、内食需要は少なく、生活サービス等が利用される機会はあまり想像出来ないと思います。更に長距離移動の途中では通過する競合の数がとても多い上、滅多に通らない道路ではどこにお店があるかわからず、たまたまタイミングが合った時に入りやすかったお店を使うことになります。

スライド1

お店の前の道路を走行する車の移動距離によって使われ方に特徴が現れるのです。故にお店の視点では生活道路は比較的固定された顧客(お得意客)で来店頻度も客単価も高く、幹線道路では不特定多数の顧客(一見客)で来店頻度も客単価も低くなりがちです。
※ただしこれは売上が低い事を示唆するものではありません。客単価が低くても顧客数が多ければ売上は上がります。

交通『量』と注意点

今度は『量』について考えてみましょう。交通量(下記*計測方法による)が少なくてボリューム不足と言えるのは、朝夕の最も人が動く時間帯の計測で概ね60台以下の場合です。また夜21時以降で概ね30台を切るような場所は広範囲に渡って商圏が薄い可能性があります。
逆に通行量が多い場合をヘビートラフィック(通行量過多)と言いこちらも注意が必要です。ヘビートラフィックの目安はお店側の片側車線を15分間で180台以上です。このような場合、ドライバーは周りの交通状況に合わせて走ることに集中しているため、来店し難い傾向があります。またヘビートラフィックと共に注意が必要なのが大型貨物自動車の比率です。トラックやトレーラー等が通行量の10%を超えると、走行中に前方の視界が遮られ店舗が見え辛くなると同時に、車線変更や急減速等が心理的に難しくなる為、来店の阻害要因となります。
《*車交通量の計測方法》実際の交通量の計測方法はお店の前面道路(店舗入口側の道路)の反対車線側を除く任意の15分間の通行量をカウントします。側面道路がある場合は同じように側面道路の反対車線側を除く15分間の通行量を計測し合算します。ただし、1台の車が前面道路から側面道路(その逆も)に通行する場合は先に通過する側でカウントし二重に加算しないようにします。

noteアイコン(競合調査)

自店の来店客の傾向を知る

自店にはどのような質の車が多いのか?簡単に調べる方法があります。自店に駐車している車のナンバープレートの地元ナンバー比率を調べてみて下さい。もし、地元以外のナンバーが多い場合は長距離移動途中の車が多いということです。もし品揃えの仮説と違った場合は見直してみましょう。また、平日と休日で地元ナンバー比率に変化がないか?一度調べてみる事をお勧めします。このような形で来店客の質の違いを分析して機会損失を防ぐことが出来ます。
お店がまだ無い候補地の場合は、前面道路を通過する車のナンバープレートの地元ナンバー比率を調べてみて下さい。スピードが速くてよく見えない場合は手前か先の信号で停車している車で調べると良いでしょう。

長距離移動の車が多い場合の注意点

幹線道路の特徴として固定客になりにくい事、競合を多数通過しながら走行している車が多い事を踏まえると、来店していただく為には運転中たまたまタイミングが合った時にお店の存在を認知し、入店の意思を固め、減速しながら進入出来るかどうかにかかっています。サインポールや店舗が手前からしっかり視認出来る事はもちろんの事、十分な駐車場の間口、進入口幅、奥行きが大事になります。例え利用されなかったとしてもこのような使いやすいお店である事を通過時に記憶して貰う事で、次回この道路を通行する時に『そういえばあの辺りに入りやすいお店があったな』と思い出していただく事が出来ます。入りやすさを阻害する例として、進入口のすぐ先の駐車場と歩道の境界線に幟(のぼり)を設置しているお店がありますが、ドライバーはこの幟を避けるために十分に減速し、直角で進入する必要があります。前面道路の平均車速が早くなるほど来店の阻害要因になるので留意して下さい。
※ロードサイドのお店づくり上の注意点は別の記事でも詳しく説明しています。

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