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第7回 中地での出店。大丈夫?

角地と中地の違い

角地とはお店の前面の道路(以下、前面道)と側面の道路(以下、側面道)がそれぞれお店(駐車場)と接する場所で主に交差点の四隅を指します。一方で前面道だけがお店と接する場所が中地です。角地は前面道を通行するお客様と側面道を通行するお客様の両方からの来店が見込めますが、中地は前面道を通行するお客様しか来店は見込めません。
さて皆さんは角地のお店と中地のお店ではどちらが売れるお店になると思いますか?当然、前述した二つの要素からの来店が見込める角地を選ばれると思います。しかし、私の知っているお店は中地でも売れているよ?と言われる方も中にはいらっしゃると思います。実際に角地と中地のお店の直近の日販で分析してみると中地のお店でも高日販のお店が沢山ある事がわかります。では中地で出店しても大丈夫なのでしょうか?実はここにデータ分析の罠があります。分析したのは直近の日販です。今、売れているから大丈夫という考え方は大変危険です。中地で長い契約期間を通して売れ続けるお店になる為には、自店の商圏内でより優れた立地に後から出店されないことが必須です。角地はその『より優れた立地』として競合に出店される可能性が高い場所です。角地に出店された場合、中地のお店は大きく影響を受けて急激に売上を下げる例が良くあります。だから昨日、先月、昨年売れていた事を根拠に立地の善し悪しを考えるのは危険なのです。特に一番立地として非常に影響が大きいのは、昼夜を問わず通行量のある前面道(中、長距離移動)と背後の商圏からの生活道(短距離移動)となっている側面道を持つ角地です。このような場所に既に競合がある時は当然として、これからそこに競合が出店する可能性がある場合、中地での出店は避けるべきです。つまり中地での出店に際しては、出店戦略上の要所となる角地に“現時点で”競合店が出店していないこと、その角地に“今後も”出店出来ないこと、この二つを確認して下さい。

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中地でも出店可能な条件

一方で周辺の角地が以下の条件に当てはまる場合は中地での出店を考えてもよいでしょう。
①実質的に中地と変わらない擬似的な“エセ”角地しかない。
これは、側面道の背後に商圏が全く無い、側面道が抜けておらず途中で行き止まりになっている、田畑の中の全く通行量のない農道等が該当します。
②コンビニエンスストアとしての開発が出来ない事。
これは、現況が警察署、消防署、病院、公民館、役所、学校等の公共施設や寺社、史跡等の歴史的建造物で移転が不可能な場合です。
③敷地形状がコンビニエンスストアに適していない事。
これは面積が狭い、間口が狭い、進入口がしっかり取れない、店舗が全く見えない等の要素に改善の余地が無い場合です。
これらを確認した上で人の流れ、または車の流れをしっかりと取れる場所であれば中地でも出店が可能です。

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中地で売上不振となる注意すべき要素

ここまで角地と中地の比較で話を進めてきましたが、周辺の角地との相対的な判断では出店が可能であっても、中地特有の理由で思ったように売上が見込めない注意が必要な要素がいくつかあります。
①前面道に中央分離帯がある場合。反対車線からの来店が出来ないため、車で通行するお客様は往路又は復路のどちらか1回しか来店する事が出来ません。車線数が多い場合も同様に反対車線からの来店が難しくなります。このような場所では例え反対車線側に多くの住宅があっても横断歩道や歩道橋のある場所まで遠回りしないと来店出来ない為、売上が見込めなくなります。
②内カーブ。前面道路が大きくカーブしている場所の時、カーブの内側に位置するお店は売れない場合が多くなります。これは、ハンドルを切りながらカーブを走行中、更に深くハンドルを切って駐車場へ進入する事にドライバーの心理的な抵抗感が大きい為です。
③サインポールや店舗の視界性が悪い。中地の場合、特に植樹の続く並木道ではお店の存在が認知されにくくなります。
④店舗と店舗に挟まれた凹地。左右を建物に挟まれた中地では駐車場を確保する為に店舗を奥まった位置に建てると、店舗が全く見えず売上不振となる場合が多いです。
以上のような項目に当てはまらないかを確認して下さい。

競合出店や環境変化による急激な売上低下での短期閉店はオーナーさんだけで無く、家主さん、本部の全てが不幸になる最悪の結末です。そうならない為にも事前の確認はご自身でも必ず行うようにしましょう。

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