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第6回 お店の前を歩く人が多ければ繁盛する?

歩行者数との売上の相関

フランチャイズ本部から候補地前の歩行者数が十分あるから出店可能だといわれました。本当なのでしょうか?
実は歩行者数とコンビニエンスストアの売上の間に相関は全くありません。
例えば朝8時の通勤時間帯の15分間にそれぞれ100人の歩行者がいたとしても、1店1店のお店で売上は全く違います。売上を左右する要素の一つとして歩行者を見る場合は、その商圏に相応しい『質を伴った量』の歩行者であるか?を見極める必要があります。
ポイントは歩行者の向かう方向と年齢層です。例えば周辺の住宅をターゲットにした候補地であれば朝、候補地の前を通って『駅に向かう(バス停等に向かう)』通勤通学の歩行者が多い事を確認しましょう。もし、この流れが多い場所であれば周辺の住宅がキチンと取れる事を意味します。
同様に周辺の事業所をターゲットにした候補地であれば朝、候補地の前を通る『駅からの(バス停等からの)』通勤の歩行者が多い事を確認しましょう。
更に周辺の住宅と事業所を併せてターゲットにした候補地であれば、『それぞれの向きの』歩行者が多い事とその割合を確認しておくことが重要です。
このように時間帯毎の歩く向きや客層の違いでお店の使われ方は全く異なってしまうのです。

noteアイコン(開店前調査)

データ(歩行者数)を過信することの危険性

翻って候補地選定の際に気をつける事は、一定数の歩行者がいるから大丈夫、という調査数値に基づいて選ばれた候補地を絶対評価する事は危険です。何故ならば、候補地前よりも人の流れが多い、相対評価で優れた場所が近くに存在する可能性もあります。
その場所は候補地よりも背後の商圏を多く抱えていると言えます。ということはその場所が一番立地です。もし候補地で出店したあと、一番立地に競合が出店した場合は、甚大な影響が予想されます。その街のどのゾーンのどこに出店していくか、というターゲットを明確にした出店戦略を本部と加盟店が共通認識として持つことが何よりも大事という証左です。

歩行者数が多くても不振店となる可能性が高い例①

図1のようにJR駅と私鉄駅等の乗り換えルート上に位置するような商店街は非常に歩行者数が多く、出店しても全く問題がないと思われがちです。

note12020年12月号図表


しかし、殆どの歩行者が鉄道の乗り換え客です。ご自分が乗り換え客だと想像してみて下さい。乗り換えの途中でコンビニに立ち寄ってお弁当を買って、また電車に乗りますか?乗り換え客の特性として、急いでいるシーンが多く来店率が低い。また購入する商品も雑貨等が中心でデイリー商品は少なく、客単価が低い事が特徴となります。その為、乗り換え客だけでなく、売上を補完する周りの住宅からの歩行者がどのくらい混在するか、周りの事業所に向かう歩行者がどれだけ混在するのか、の確認が必要です。

歩行者数が多くても不振店となる可能性が高い例②

図2は駅と事業所の間に位置する候補地で、事業所の歩行者が出退勤の際に大勢通過する場所です。こちらも大勢の歩行者が通過するため一見高い日販を期待できそうですが、その為にはターゲットとする事業所をキチンとリサーチする事が大事です。先ずは昼食の取り方。休憩時間にどのくらい外出してくるのかチェックしましょう。事業所によっては一旦ビルに入館したら、退勤まで基本的に外出できない会社もあります。そして事業所内の社員食堂、売店、コンビニ、ATMの有無等について確認しましょう。

note22020年12月号図表


次にWEBで情報収集、最後は直接ビルに出向いてロビーに掲げられた館内図で確認しましょう。それでもわからない場合、受付の方やビルの外に出てきた方にインタビューしてみましょう。このようなリサーチがお店の売り上げを大きく左右するのです。ちょっとドキドキしますが頑張って下さい。
※関係者以外立ち入り禁止のセキュリティエリア等には間違っても入らないよう、くれぐれもご注意下さいね。

歩行者数以外の影響

これらの調査とともに売上を大きく左右するのが立地に合った店作りです。店頭看板や袖看板等の設置方法は設置する側の立場から『見ようとして見えるかどうか?』ではなく『歩行者の目線で自然に視界に入る』場所を検討する必要があります。また出入口が歩道と接しており、段差が無い事も重要です。その他、沢山の自転車の駐輪により、歩行者の列と店の間に植樹帯のようなバリアが生じてしまい売れない事例もあります。これらの懸案も家主様や行政との交渉次第で解決可能な場合もあり、出店前のきめ細かい前始末がより良いお店作りに繋がります。

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