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放送後記:高校ラグビー決勝

第101回全国高校ラグビー福岡県の代表校が決まりました。

今年も 東福岡高校。22年連続32回目の優勝です。

決勝戦の相手 修猷館高校に対して80-0というスコア。予選全4試合をすべて完封で飾った強さをどう表現したら良いのか。春の選抜も全国を制している分、更に今年の花園への期待は高まります。

決勝の舞台の春日公園球技場は、7年ぶりの顔合わせとなった両校の卒業生や在校生、ラグビーファンで満席。我々が放送をお届けした実況席の周辺にも、立ち見客がいるほどでした。解説の7人制ラグビー元日本代表キャプテン 築城昌拓さんも、その様子には興奮気味でした。

(築城さんのポーズで)

ここ2年、練習すらままならない時もあったはず。大会は基本的には無観客、という形で行われていた分、選手たちの気持ちの高ぶり、それと隣り合わせの緊張をひしひし感じました。

気持ち全面のプレーの修猷館と、冷静に燃える東福岡のぶつかり合い。修猷館は前半点は奪われながらも、見ているこちらはワクワクするようなそんなプレーを続けていました。

序盤、14陶山翔翼選手(3年)が空中でのボール争奪で負傷交代したりとアクシデントもあった中、東への圧力を見せる姿は今年の修猷館の一体感の象徴でした。

試合後の整列では足を引きずり、最後は仲間に抱えられながら在校生に挨拶に行く陶山選手の姿を見ると、一試合走り切りたかっただろうなという気持ちにもなりました。

ただ、修猷館には同じようにケガを抱えた選手が二人いました。

谷口宗太郎キャプテンと福島秀法選手。

昨年の100回記念大会決勝・筑紫戦に
フランカー谷口 フルバック福島の名はありました。

主力の二人。谷口選手は今大会初戦で肩甲骨を骨折、福島選手は左ひざを手術してから装具をつけて過ごす状況でした。

チームが決勝に進む中、複雑さは増す一方でもあったでしょう。

そんな中もどかしさから受け入れる強さ、そして仲間を認める心をもってチームを押し上げました。きっと良い男になるだろうと思います。

谷口君は叶いませんでしたが、最後のロスタイムに福島選手の姿はグラウンドにありました。左膝のあたりにはテーピングやサポーターが痛々しいほどまかれた状態で。

私は彼がグラウンドに出てきた、というところで情報が止まってしまったのですが。

後から聞いた話で、実は

東福岡の選手やベンチ外のメンバーが率先して福島選手に拍手を送っていたといいます。

それにつられて東福岡在校生にも拍手が広がったと。

U20日本代表候補 修猷館の福島選手は、中学時代に福岡県選抜メンバーで全国制覇を経験しています。

東福岡の主力選手の多くが当時、共に選抜メンバーとして戦っていたのです。

“よく戻ってきた。ここが本当の居場所だよな”

互いの力を知り、リスペクトし合っていた背景があったからこそ生まれた瞬間だったと言います。

東福岡を率いる藤田監督も福島選手に賛辞を送った上で、嬉しそうにそのシーンを振り返ってくれましたし、自チームの選手も誇らしく感じているようでした。

人としての教育なんだな、高校スポーツは。

と原点も見直した思いです。


東福岡は「自分が目立ってやろう」という選手は誰一人いない、と藤田監督は話します。まず周りを見て、自分の役割を確実に果たす。味方の一つ一つのプレーをリスペクトできるから、自分に回ってきたボールを大切にできるのだと思います。

日頃からの指導と、それを受け止める素直さがあるからこそ、相手にも感動を多くの人の心を動かすチームでいられるのだと思います。

東福岡には毎年、優秀な選手たちが集まります。人数も100人を超えます。

同じレベルでプレー出来る選手が複数いたときに、最後に残るのはチームにとっての貢献度や人間性というのが組織の常。

周囲は自分をどう捉えているか、自分は周囲にどう行動できているか、その目線の切り替えを常にできるのが強いチームや個人であると思います。

それができる東福岡ラグビー部というチーム。

選抜を制した今年のチームは藤田監督も、

”自分たちで考えるスマートさ”について、評価します。

2016年度以来の春冬の連覇へ、期待は膨らむばかり。

リスペクトを表現できるチームはなかなかありません。花園でも、毎試合それを体現する姿が見られるはずです。

もっと目を凝らしてスポーツを見つめないと、という気持ちにもなりました。

東福岡、修猷館、両校の選手へのリスペクトを込めて、記事に。

ありがとうございました。

東福岡、花園、優勝へ!

ノーカット配信は以下から↓

https://youtu.be/F1uy8tzeaO8

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