【大切な「父親の役割」をしっかり果たそう。そして楽しもう。かけがえのない家族と、子どもたちが社会に巣立つ未来のために】
AMパパです。
午前中だけパパやってるよ、という意味ではなく、
我が家の宝物、長女あっちゃん(A)と次女ももちゃん(M)の父親なので。
仕事は、とある基礎自治体勤務の土木技術者で、いわゆる公務員ですが、
職場から正式に認められ、日本初の「父親業」との兼業公務員として活動しています。
(平成31年度に後述の理由で前職の広域自治体を退職し、現在の基礎自治体に転職しました)
自己紹介として、僕がなぜ「父親業との兼業公務員」としての働き方を選んだのか、
という話をさせてください。
1.公務員の兼業について
僕が現在、所属している自治体は、非常に先進的な取り組みを積極的に行っていて、
その中のひとつに、条件付きで職員の兼業を認める「地域貢献応援制度」というものがあります。
地域課題の解決にはNPO等民間の取り組みが不可欠であるので、
職員が職務外においてNPO等の活動に参加し、職務を通じて得た知識・経験等を活かして地域課題解決に向け積極的に取り組むとともに、
活動で得た知見を職務にフィードバックできるよう、報酬を得て地域活動に従事することを認可する、というものです。
ちなみに条件とは、
1.公益性の高い継続的な地域貢献活動であること
2.社会的課題の解決を目的とし、自治体内外問わず地域の発展・活性化に寄与する活動であること、の2つです。
2.NPO法人ファザーリング・ジャパン関西とは
上記制度で認可されたのが、NPO法人ファザーリングジャパン関西(以下、FJK)会員としての社会活動です。
FJKとは、「笑ろてるパパがええやん!」をキャッチフレーズに、社会に対して働きかけを行うNPOです。
具体には、自治体や企業、親子を対象とした講演会の開催、父子で参加できるイベントの開催等によって、
父親が父親であることを誇りに思い、
理解ある職場のサポートを受けながら育児に主体的に取り組み、
また楽しめるような社会構造の構築、社会機運の醸造を目指していくための活動をしています。
3.そもそも「父親業」とは何か
上記活動は、父親のサポートを目的としていますが、
同時にFJK会員の多くも現役の父親であり、
父子で参加できるイベントがたくさんありますので、
子連れで行う活動等を通じて、
会員自身も父親であることを楽しみ、より父親の役割を果たしていくため、
活動を称して「父親業」としました。
僕は、「父親の役割を果たすこと」を、
大切な重要な仕事として世間に認識してほしい、
という強い思いを持っています。
そのために、「父親」というコトバを、
どうしても仕事っぽく表現する必要がありました。
もっといい表現あるよ、という方、アドバイスをお待ちしております(割とマジに)。
4.前職(近畿の広域自治体)を辞め、現職(同基礎自治体)に転職した経緯
4-1.これまでの経歴
これまで、道路、橋梁、河川、砂防、港湾、上・下水道など、
社会基盤施設の整備や維持管理に広く携わってきました。
ちなみに、前職に採用された年には大きな水害があって、
購入して10日の新車が浸水した、というのも今では良い思い出です。
異動の希望を聞かれるたび「●●に行きたいな」という希望が叶えられた事はないのですが、
不思議と聞いてもらえたのが「やったことが無いことをやりたい」というもので、
ずっと道路だけ、とか河川だけ、という職員も多い中では比較的珍しい経歴を歩んできました。
自然、土木の部署で受け持ってるものの「ちょっと違う仕事」を受け持つ事も多くなり、
システム構築や広報(マンホールカードの企画制作)等もやらせてもらいました。
土木の仕事は、国民の命を守る大切なインフラを守るもの。
子供の頃に阪神淡路大震災を経験してから、土木の仕事をやりたいと志してきたため、
仕事は好きでしたし、多少きつくても、仕事が優先でした。
4-2.家族と仕事と
そんな中、運良く、現在の奥さんと出会うことができ、
運良く、7歳と2歳の、とても可愛い娘を授かることができました。
前職においては、長女が産まれた際には職務が忙しく、休日しか家事、育児に取り組むことができませんでした。
妻は育児休業(以下、育休)を取得しており、毎日笑顔で仕事に送り出してくれていましたが、1人きりの育児に疲れ、精神的に不安定になる時期もありました。
それでも、当時は
「まず仕事を優先し、余裕があれば仕事以外の事を」
という認識だったように思います。
4-3.友人の自死と親族の苦しみ、社会の現状
しかし、その認識がぐるりとひっくり返る出来事がありました。
民間会社勤務の友人が過労により自死したのです。
後年、ご遺族と会社の協議によって労働災害として認定されたものの、
その過程で、事実を隠蔽しようとする会社組織の強硬な姿勢と、
大切な家族を失ったご遺族の深い悲しみ、苦しみを目の当たりにしました。
その出来事をきっかけに、現在の仕事(ワーク)と家庭・社会(ライフ)のあり方に疑問を抱くようになりました。
本当に、ワークのみが優先で、ライフは付属物に過ぎないのだろうか?と。
ご遺族の話を聞き、書籍を読み、ワーク・ライフの関連性について様々な事実を知りました。
4-4.仕事(WORK)のみ至上主義の弊害
過労死者を出す組織の多くは、仕事の属人化が進んでいる傾向にあること。
そして、父親が育児に参加しない家庭においては、母親の産後鬱による自死等のリスクが高いこと。
(妊産婦の死因の第一位が自殺)
併せて二人目の出産にも消極的になるため、少子化を加速する原因にもなっていること
また一方で、父親の育児参加の重要性が国等から周知されて久しいが、
男性の育休取得率の低さを一例として、
社会には「男性は仕事が一番大切で、育児は女性がすべきもの」
という認識が根強く残っています。
このような現状が友人の過労死に繋がったのではないか。
将来、娘が社会に出るまでに、その環境を少しでも改善したい。
そのような思いから、FJK会員として社会活動を開始し、
同時にワーク・ライフ・バランスについても学び始めました。
4-5.チャレンジ。育休の取得
学びの実践のための取組の一つが、
育児休暇の取得でした。
(厳密には育児休業ではなく、目的を育児に限定した有給休暇。以下、育休)
次女の出産に先立ち、半年間かけて職場と協議し、
当時、本庁勤務の土木職員として初めて、
1年間(週1~2日)の変則的な育休を取得しました。
育休の取得によって、育児に主体的に参加でき、
同時に業務の棚卸しや、EXCELのマクロによる自動化等、
業務の効率化をすすめることができました。
また、個人でできる効率化には限界があるため、
職場構造としての属人化解消のため、職場に積極的に意見もあげました。
なんだかんだ言って、自分が10年以上所属した前職は大好きでしたし、
そのときに関わった歴代の職場のメンバーこそが、
グニャグニャだった自分をプニプニくらいに叩き上げてくれました。
なんとかして、組織の風土に風穴をあけたい、
将来的に、我が子を就職させたいと言えるような職場に近づけたい。
といろいろと動き回っていました。
ただ、2年頑張って、それでも先が見えなかったら、辞めよう、と決めて。
※だって、「自分の会社には絶対に我が子は就職させられないぜ」という会社って、どうかと思いません?
4-6.職場の逆風(T.M.Revolutionの名曲「HOT LIMIT」のPVばり)
しかし、ここで想像以上の逆風がありました。
要は、以下の論調。
・大切な仕事を犠牲にしてまで、本来、母親がすべき育児をするために休みを取ることは、大切な職場に楯突く行為である。
・職場に楯突く行為をするものの意見は、聞く価値が無い。
念の為繰り返しますが、育休の内容は、半年間、職場と協議の上で取得しました。
前職も建前上は、「男性の育休取得促進!」とスローガンを上げています。
決定的だったのは、すごく尊敬していた同僚に、晩飯を食べながら言われたコトバ。
「君がしていることは間違いだ。
今からでも悔い改めて、正しい道に戻ってこい」
「奥さんが病気でも無い、大怪我している訳でもない。
なのに、どうしてわざわざ仕事を休むんだ」
「君が、休みを取る前には、色々と調整して一生懸命やってるのも知っている。
だが、上司が「オイ、●●君」と言った時、すぐに対応することこそが仕事だ。
君より仕事をしていないが毎日ちゃんと席に座っている人のほうが、
君よりも評価が高くなる」
「君の人生のため、今からでも、育休を取り消してわびを入れた方がいい」
4-7.転職を決意
えー。マジでー。
人生とは、「職場の中での立ち位置」のことなのか。。。
ショックでした。
何がってショックかって、
その同僚が、心から僕の心配をしてくれているのが分かっていたから。
その同僚は、本当にすごい人で、プライベートでも大変お世話になっていたし、
どんなに大変なことがあっても、自分が大変なときでも、決してさじを投げることをしない人。
遊ぶときもいたって真剣で、仕事ばっかりしている人、では決してない。
しかし、そんな同僚の中でも、
「育児のための休暇を取る同僚」に対する認識は、こんなものなんだ。
4-8.前職の組織風土に風穴はあいたか
そんな感じの「職場の空気」もあり、
自身の仕事の効率化は成果が上がりましたが、
職場構造の改変については、明確な成果は上がりませんでした。
※しかしその後、僕が辞めたあとに、「本庁の土木職で1ヶ月の育休を取った職員がいるらしい」という情報が入り、
勝手に「僕の影響なのか?そうなのか?そうなんだな?」と喜んでました。
確かめたら違うことが分かる可能性があるので永遠(とわ)に確認しませんが。
5.育休取得のもうひとつの収穫
育休取得の、業務効率化以外のもう1つの収穫は
「家事・育児は簡単な仕事ではない」と実感できた、ということです。
育休を取るまでは、「赤ちゃんが寝てる間に、本読んで、トイレ掃除して・・・」
と皮算用をしていたんですが、タヌキが捕れることはほぼありませんでした。
睡眠時間が短く、会話による意思疎通ができない乳児と一緒に居ると、
予定していたことが全くできない。
長女が学校から帰ってくると、更に身動きが取れない。
それが1日だけではなく、何日も何日も続きます。
過去、長女の育児に一人きりであたっていた妻の苦労を思うと、気が重くなりました。
実際、育「休」という字を書くが、のんびり休むことは全くできませんでした。
しかし、妻の苦労を実体験し、感謝と、育児を夫婦というチームで行う自覚を持つことができた、
と思っています(なお、僕のやってたことが充分だったか、という話は別です)。
6.転職と、地域貢献応援制度の活用
その後、前職での活動の成果が上がらず、苦しんでいた僕に、
「君みたいに尖ったやつなら、ウチ(今の職場)の方が地盤があって良いのでは?」
と言ってくださった、現職の先輩がおられたこともあり、
また、上記の地域貢献応援制度を知り、
「父親業」を正式に認められて活動したいと考え、現職に転職しました。
同制度、実は、僕が採用される前年度までは、
5年位の職務経験がないと申請できない制度だったんですが、
幸運なことに、僕が採用された年度から「1年目でも申請可能」となりました。
配属後12月、職場の理解もあり、無事に兼業の認可を受けることができた。
7.ぶっちゃけ「公務員の兼業」って儲かるのか
営利目的の活動ではないため、収入面では「割の良い仕事」ではありません。
しかし、「父親業」が「仕事」として認められたことに大きな意義があると考えています。
僕が、父親業との兼業公務員の肩書を持って働くことで、
「父親って、仕事と同じように、責任をもって果たすべき役割なんだ」
という気づき・認識を、職場・家庭・社会に浸透させ、
環境改善に貢献できることを期待しています。
8.今後の活動、目標(というか将来の夢)について
今後の兼業活動としては、WLBについての講演等を引き続き行い、
父親の役割を果たすことの重要性、
そして何より、楽しさを広く伝えていきたいと思っています。
最終的な目標は、いつか、子を持たない若い職員に、こう言われることです。
「父親業と公務員の兼業?なにを変なことを言ってるんですか」
「だって、そんなこと当たり前じゃないですか。仕事は組織でするものだけど、父親の役割を果たせるのは、たった一人しかいないんだから」
※FJKホームページ:https://fjkansai.jp/
「育休取りたけど、周りに相談できる人が居なくて」
「パパ友が欲しいけど、なかなかできない」
そんなアナタ、もしくはそんな旦那さんを持つ奥さん。
FJKは、オモシロいパパさんがたくさん在籍しております。
一緒に父親を楽しんで、笑っていきましょー(๑•̀ㅂ•́)و✧