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Bondeeが爆速で伸び爆速で廃れた理由
「Bondeeが爆速で伸び爆速で廃れた理由」
これを僕がアホなりに考えてみます。
前提として、ここまで爆速で広がったサービスとしてスーパーリスペクトすると同時に、「わいらのローンチ直前にとんでもなくバズってるメタバースがあるじゃない」と冷や汗をかいたことも認めます。
もう一つ、他者の失敗/成功の理由を淡々と調査/解説することなんか誰にでも可能で、そういう人は基本的に大嫌いです。が、ソーシャルアプリにおいてClubhouse以来の大規模なバズだったのと、僕らが狙う領域と少し近いところにあるので、自分の少ない脳みその整理のために書き殴ってみようと思います。
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Bondeeの課題を一言で
そもそもBondeeは、日本で浸透する前からCOOの恭祐と使い始めました。(男2人でボンディ…)年末年始くらいのタイミングで僕がインスタで広告にヒットし、「名前は全然違うけどゼリー(中国のアプリ)そっくりのアプリだな」と思った覚えがあります。(案の定同じアプリでした)(しかも運営元ユニコーンかい)
僕たちわたしたちZ世代!🚀 みたいなデザイン、アプリ内でのやることの無さからして「これは流行るかわからん!」と思っていました。ところが残念僕には物事を見極める才能が無いのでしょう。Bondeeは爆発的に広がっていきました。
TwitterでもBondee、InstagramでもBondee、そんなお祭り期間は1週間ほど続きましたが、それほどのバイラルは今は止まったかのように見えます。(ヨシっ!)
なぜBondeeは急速に廃れたのか。正確に理解していたら僕はすでに成功しているはずですが、思い当たる節が一つある気がします。それはもう
「現状のステータスを頻繁に自分で変えるのきつない?」
僕的にはこれに尽きます。
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ステータス表示がコミュニケーションをなめらかにする(ex.Discord)
そもそもここで僕が言ってるステータスとは、Bondee上でのアバターがコーヒー注入しながら残業してたり、Yogiboの上でカウチポテト状態になっていたりなどの、現在の自分の状態をアバターで表現できるもののことを勝手に呼んでます。
この仕様自体は滅茶苦茶良いです。
部屋のデコレーション機能や航海機能は一過性のバズを生む飾りで、明らかにこのステータス表示がプロダクトの肝だと思います。
人間は、何かの話題(コンテンツ)がないと人に話しかけづらいor話す内容がないものな感じがしてます。もちろん強メンタルの人は最近会ってない友達に突然LINEで連絡できますが、Instagramのストーリーや、Zenlyでの位置、Discordの右側のステータスなど、色んな話題/コンテンツを最初のきっかけとして使い、話を始めることの方がハードルが低いです。
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特にDiscordの右側のステータスや、Zenlyの地図表示の何が優れているかと言うと、
「言葉にしなくとも、自分の現在の状況や存在を非言語(ノンバーバル)的に伝えることができる」点です。
Discordであれば、友達がオンラインかオフラインか(朝でオフラインだったらまだ寝てそうだな〜とか)、Zenlyだったら今暇そうか暇じゃなさそうか(渋谷いるから今飲んでそうだな〜とか)などです。
ソーシャルアプリはどんどん同期的に、かつコミュニケーションをなめらかにする方向にあると僕は思います。
同期的かつなめらかというとどういうことか。例えば、DiscordもBeRealもリアルタイムで何の音楽を聴いているかが他ユーザーから見える状態になります。(BeRealは開発中)
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#BeReal is working on a new feature: 🎵 Music 👀
— Alessandro Paluzzi (@alex193a) February 13, 2023
ℹ️ Share with your friends what you're currently listening to when you post your BeReal. pic.twitter.com/qsk3fgtq2l
この機能で恭祐が仕事中に音楽を聴いているとします。これはオンラインではなく現実世界で例えると、恭祐はみんなが作業しているオフィスの中でイヤホンをつけて仕事をしている状態になります。
そうなると現実のオフィスであれば、周りは「あいつノリノリだな」「音楽かけながら簡単な作業をしてるのかもしれない」「何聴いてるんだろ」と僕なら思います。
その予測の後、「ノリノリだから話しかけるの少し待つか」もしくは「何の曲聴いてるの?」となったりするわけです。
他にも似た例があります。Gatherです。
Gatherはアバターを介したバーチャルオフィスツールですが、ミーティング中の機能は基本的にはZOOMミーティングやDiscordのボイチャとあまり変わらないと思います。
ただ、人と話していないときの「アバターの状態」で、周りは本人の心境を推察することができます。
例えば、下記の画像はFOCUSと書いてあるPCルームにいる僕ですが、ここに入ると他ユーザーが僕の近くに話しかけにきても僕には聞こえない仕様になっています。わざわざ僕がアバターでPCルームに入るアクションをとると、他の人は「ふってぃーは集中して作業か」「外部の人とミーティング中か?」のような感じです。
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他にも、Gatherの中に食堂を作って、リモートワーク中に昼食をとるときはわざわざ食堂にアバターで移動してから離席するでも面白いし、トイレとか作ってみても面白いかもしれません。
これらの仕様によって、話しかけるタイミングを気遣ったり、雑談の新しい話題/コンテンツとなるわけです。こういう気遣いや雑談のきっかけは、
今までの非同期型アプリでぶつ切りになってしまっていたコミュニケーションの、隙間になってしまっていた部分を満たしてあげているもの
だと考えられます。
これがあると今までのコミュニケーションが、よりなめらかになります。
2Dから3Dのステータス表示へ(Discord→Bondee)
言うなれば先ほどのインスタグラムのストーリーや、Zenlyでの位置、Discordの右側のステータスが「2Dのステータス表示」だとすると、Bondeeのステータスは「3Dのステータス表示」です。
つまりDiscordの右側を立体にしてみました、みたいなもの。
2Dから3D(立体アバター)にすると、現実世界の本人の状況とバーチャル上のアバターの状況がさらに似て見えるので、より現状が伝わります。例えば、Gatherのアバターは3次元まではいかず2.2次元くらいですが、やはり空間性があり少し立体アバターっぽく見えると、Discordの2Dのアイコンと文字だけで表現されたステータス表示と比べるとコミュニケーションはよりなめらかになるように感じます。
ここまで書くと、Bondeeは次世代メタバースSNSとしての地位を獲得しそうです。
じゃあなぜBondeeは廃れたのか
※文章力が皆無で、前の章が秒殺で終わりましたがご了承ください。
Bondeeはこの「ステータス変更」がうまくワークせずに萎んでいったと感じてます。なぜなら、わざわざBondeeのアプリを能動的に1日何回も開いて自分のステータスを変更するのはめちゃくちゃ面倒くさいからです。
これが丁寧に設計できているのがDiscordであり、Zenlyです。
やつらは、ユーザーがアプリで具体的な行動をとらなくとも(ユーザーが受動的なままで)、ユーザーの状態が周りに伝わるため、24時間365日他のユーザーに自分の状況や話題/コンテンツをばら撒いて提供していることになります。
仕事中でDiscordが朝オフラインだったら今寝ていることがバレますし、Zenlyでは寝ていることはおろか充電ギリギリで寝ていることまでわかります。
こういった受動的なものではなく、能動的かつ頻繁に自分のステータスを更新できているものとしては、InstagramのストーリーやSnapchatがあります。ですが、あれらは「自尊心」「承認欲求」もしくは「自分だけの固有の体験」などが根底にあるシェアのため、毎日/毎週の投稿インセンティブが働きます。
逆にBondeeのステータス変更には自尊心のような強い投稿インセンティブが無く、同時にそれは自分以外のユーザーにも無いため誰もステータス変更をせず過疎り、話題が生まれないと思われます。仮にステータス変更してる友達がいても、Bondeeのパターン化されたステータスの種類だと、状態の固有性が薄く話しかけようにも話しかけづらいです。
また、Gatherは能動的なステータス変更(というより移動)を求められますが、
・アバターが近づくとボイスが繋げることができる状態になり、常に近いとパーソナルスペース/タイムを確保できない心境になるため、ミーティング終了したらその流れでステータス変更に動きやすい(そのままFOCUSルームへ移動など)
・スマホではなく、PCかつマルチディプレイの状況下でのユースケースが大半だから運用が楽
・「仕事」というある程度オフィシャルな場での運用だからこそ逆にゲーム性が刺さる
のような特性があるため能動的なステータス変更(移動)でもワークしていると感じます。
散々言っておいてなんですが、バイラルしやすい仕組みやデザインを実際に作り込んでここまで広がっているのはめちゃくちゃリスペクトしています。メタバースを狙う僕らとしても、かなり参考にしたいと思った部分がありました。
何がメタバースの正解なのか
そんなもんわかったら誰も苦労しないので、やり続けるしかありません。
今月末あたりのローンチに向け準備を着々と進めます。(毎度終わり方適当)