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おかえり『同人女の感情』

大好きな『同人女の感情』が本日2月24日より連載再開されました。



ジャンルもカプも違う同人女たちですが、どのキャラクターにも「これは私だ」と思ってしまうポイントがあり、読む度に「わかるかわかる!」と大頷きが止まりません。

今回の主人公は第一話で主人公の七瀬でした。
最高の女達がたくんさん登場する本作ですが、七瀬はニチアサ主人公みたいです。何度ボロボロになっても立ち上がり、正しい道へと進んでいける女なのです。





秀才字書き七瀬(初登場)


綾城さんの作品に出会ったことでこれまでより同人小説にのめり込んでいく七瀬。

・キャラの理解を深めるために原作を何度も読み返す
・心理学の本を読む
・自分用のパソコンを買う 
・短い小説を書いて毎日ツイッターにupする

頑張り屋七瀬のフォロワーは増えますが綾城さんからはフォローが返ってきません。

自分にはフォローを返してくれない綾城さん。なのにおけけパワー中島とかいうふざけた名前のオタクとは仲が良い。七瀬の心は次第にどす黒くなっていきます。

七瀬は真面目な女です。
エナドリを飲みつつ片手でタイピングをしながら言います。


私は同人小説を生み出すマシーン……いや 同人小説に魂を奪われた亡霊だった

『同人女の感情』①天才字書きと秀才字書き



旬ジャンルのマイナーカプにハマった時も(書き手は七瀬のみ)それまでの王道カプとの反応の違いにへこみつつもしっかり書き上げ、世界初の推しカプ本を出します。
そしてそれを憧れの綾城さんが買いに来てくれる。

七瀬、もうおけけパワー中島に執着するのやめろ。

そもそも七瀬は神 綾城さんの小説のブクマ数を抜くほどの力があるのです。しかし七瀬の心は晴れません。
いつだって心におけけパワー中島。
綾城さんと仲の良いおけパが憎くてたまらないからです。

神と崇められる綾城さんとおけパは学生時代からの友人ですが七瀬はそれを知りません。おけパの人間力は目を見張るものがあり、綾城さんもおけパの人間力に救われた過去があるのです。

大好きな綾城さん。小説だって全部読んでる。それなのになぜ綾城さんはあいつとばかり。

誰かに執着すると苦しいものです。
七瀬、もうやめろ。フォローしていないおけパのホームをわざわざ見に行くのはやめるんだ。

しかし嫌いなものほど人は見に行ってしまうもの。
おけパの推しカプを綾城さんが書いてくれたことを知ってしまったり、おけパの推しカプアンソロに綾城さんが参加していたり。
その度に七瀬の心は荒れ狂います。心にはいつだっておけけパワー中島。
七瀬の心を暴風雨でかき乱していくのはいつだって大嫌いなアイツなのでした。


アンチなのかファンなのか 紙一重の七瀬


それほど嫌いなおけパですが、七瀬はおけパの小説をきちんと読んでいます。
アンソロだって買っているし、過去ジャンルで綾城さんと出した合同誌のおけパのページも読んでいます。「面白いな」とも言っています。

「この言い回し何度も見た」「相変わらずノリで書いてる」
とケチつけたりはしてますが
「難しい表現よりすっと頭に入ってくる文章の方が好きだな」「無理して持ち味を消して欲しくない」
と思っています。もうおけパのこと好き側の人間では?


そして七瀬は気づいていないのですが、マイナーカプ原稿に行き詰まっていた時に偶然出会い、会話をして元気づけてくれたオタクは実はおけパだったのです。


このすれ違いが絶妙。七瀬はずっとおけパをおけパと認識しないでいてほしい。ずっと憎んで、たまに「ま、いっか」となって欲しい。


※七瀬はおけパアンチを見つけたことがあるのですが、そのアンチのおけパ批判に解釈違いを起こしています。それってもう一周まわって好きでは?



マイナーカプでの孤独


七瀬は人気の字書きですがマイナーカプにハマったばかりに新刊の感想が一通も届きません。落ち込む七瀬。

すごくわかる。
「届きました!」報告も嬉しいけど読んだ感想が死ぬほど嬉しい。ですが欲しい時ほど感想は来ないもの。頑張った本ほど来なくないですか? あれなんなんですかね…。


ついに仲間が(今回の連載のストーリー)


語る相手が一人もいないのは本当にさみしいものです。周りが同カプ同士で盛り上がっていればいるほど孤独です。今私が突然アカウントを消しても誰も気づかないんじゃないかと思うぐらいです。


超新星あめり


あめりは好きな相手には認知されたくない、読み専のオタクでした。そのため非公開リストから七瀬をことを見ています。

そんなあめりの推しカプツイートを孤独な七瀬が見つけたからさあ大変!
七瀬はいいね連打とフォローを決め、そこから二人の交流は始まります。 あめりも「好きな気持ちを伝えるチャンスかも」とフォローを返します。そしてあめりも小説を書くことに。
 
あめりは七瀬を神だと思っていますが、交流が始まってからは七瀬を必要以上に崇めたたえていません。卑屈になっていないのです。
もちろんリスペクトと大好きの気持ちは変わらないのでしょうけど、「相手は憧れの神だから交流なんてとんでもない」の気持ちは初対面したイベントから消えたように見えます。  
小説を書いて行き詰まれば七瀬とDMや通話で相談するほどの仲に。

素直なあめり、かわいすぎるぞ。
そうしてあめりは人生初の小説 7000字以上を書きあげて投稿。
すごすぎないか、あめり。
初めて書いて7000字はすごい。しかも健全。只者じゃない。

これからも七瀬とあめりでカプを盛り上げて欲しい!同カプ解釈違いにならずにずっと仲良くしてほしいと思いました。(同カプ解釈違いはまた別の地獄です)
 

地獄への入口はこちら


さいごに


どのキャラクターにも感情移入してしまう『同人女の感情』は創作の楽しさを教えてくれますが同時に残酷な実態も見せてくれます。

正直、同人活動は楽しいことばかりではありません。
ジャンルの勢いにもよりますが、信じられないぐらいたくさんの人に読んでもらえることもあるし嬉しい感想をいただくこともあります。
けれど他人に評価されることでつきまとう承認欲求、嫉妬。
辛いことの方が多いかもしれません。
「私の小説のほうがおもしろいのに!なんでこの人ばっかり評価されるの!」と思うこともあります。他の人と比べて苦しくなる。そんなんばっかです。

それでもやめられないから厄介な趣味です。

私も昨年ジャンルのソシャゲがサ終してからなんにもハマれず書く気も起きず、酸素吸って二酸化炭素出すだけの生き物だったのですが、ある作品をきっかけに同人熱が復活しました。
今は別のジャンルで細々と小説を書いています。    

なぜやめられないのか。
楽しいからです。自分の読みたい話を自分の手で完成させることができるのがすごく楽しい。

自分の読みたい話を書けるのは自分だけです。「こういうのが読みたかったんだ」とすべてのツボを押してくれる作品をつくれるのは自分しかいません。

同人活動を続ける中で色々な感情を知りました。感想を頂ける喜びも、他人への嫉妬も。おいそれと他人には打ち上けられない感情に、「こういう時ってあるよね」と寄り添ってくれるのが『同人女の感情』なのです。

こらからもたくさんの感情を浴びせてほしい。これまで出てきたたくさんの同人女達のその後を見たい。そして七瀬はおけパに執着するのもうやめろよな!