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不屈の男ここにあり、園部佳太選手の歩む道。


久々の投稿となります、
大学野球の春季リーグ戦も終わり多くの有力選手が来季に期待を持たせる内容を見せてくれています。全日本大学野球選手権や日本代表戦の復活などここからも楽しみなイベントが目白押しです。

ただ今回は2022ドラフトがメインのお話ではありません。この投稿から少し時間を遡り、昨年のドラフトで指名選手された1人の選手の話になります。
その選手こそが園部佳太選手。2021年のドラフトでBCリーグの福島レッドホープスからオリックス・バファローズに育成ドラフト2位で指名をされています。
この園部選手、一度は野球を辞めかけた選手でした。
なぜ一度は折れかけた園部選手が再び陽の当たるところまで上がってきたのか、今回はそこにスポットを当てていきたいと思います。

大活躍の高校時代からBCリーグ入団に至るまで
いわき光洋高校では1年生からレギュラーを張り、3年生の夏には県大会決勝で聖光学院相手に本塁打を放つなどスラッガーとして名を馳せていました。
積み重ねた高校通算本塁打は48発、甲子園出場経験こそないものの世代屈指の右打者として注目され東都の強豪、専修大学へ進学。4年後のドラフト指名を期待されていました。しかし順風満帆だったのはここまで、そこから先は茨の道を歩む事になります。

専修大学進学後も1年時から出番があったものの2年春までの3シーズンで打率は.111と低迷。バッティングに狂いが生じ、出口の見えない打撃不振に陥り、その後2年夏に退部を決意。
その後福島に戻り、野球を辞めて就職活動をしようとしていました。
しかし高校時代から接点のあったトレーナーに声をかけられ野球への想いが再燃。背中を押され、地元の福島レッドホープスのトライアウトを受験すると見事合格を勝ち取り、園部選手の復活劇が始まります。

環境の変化、福島レッドホープスでの活躍
福島レッドホープスに入団後の園部選手は人が変わった様に打つ様になります。コロナ禍で開幕は遅れたものの調整はしっかりと行っており、開幕戦から3番ショートで起用されるといきなり4打数3安打で猛打賞。大学ではまともに出番がなく打撃不振に悩んでいた男が吹っ切れたように打ち始めBCリーグ1年目にして打率.296、5本塁打、35打点の成績を残し、中軸としてシーズンを通して活躍し続けました。
なぜここまで彼が大きく変わることができたか。
考えられる要因は1つが「地元」という事ともう1つがBCリーグのプレースタイルにあると考えられます。
まず園部選手が幸運だったのは地元福島にBCリーグにあった事。慣れ親しんだ球場も多く、落ち着いてプレーしやすい環境にあったと言えます。
加えてBCリーグは攻撃の柔軟性が高くそこも適合したポイントと言えます。高校野球や大学野球ではランナーが出たら送るというスタイルを未だに取っているところが多いですがBCリーグは選手の長所を生かして得点を狙いに行く傾向があります。顕著なのは武蔵ヒートベアーズの武蔵ロケッツ。昨年限りで引退した金城選手をはじめ50m5秒台の樋口選手や大堀選手、押川選手を並べ、出れば送るのではなく常に走ってチャンスを拡大するというスタイルでリーグ優勝を勝ち取っています。
また2021年度のBCリーグ全体に於いて送りバントが二桁に到達したのは規定打席到達者90名に対し僅か5名と非常に少なく、トップの東選手でも19個でした。
この様にBCリーグの攻撃スタイルは出れば送る、という定形化されたものではなく比較的制限の少ない状態でプレー出来る環境下であったのも園部選手のバッティングを伸ばした要因のひとつであると考えられます。

ドラフト指名の背景には成績UPも
また園部選手は2年目に更なる成長を見せます。
2年目も打撃好調で打率は.312をマーク。
本塁打は2本に減ったもののトータルの安打は10本増、二塁打は6本増加の15本という結果を残しています。
またコンタクト力に関しても向上し2年間で489打席に立ちましたが三振は61個と少なく、三振率は.125。更に2年目に関しては打席数が227→262に増えたにも関わらず三振数が3つ減り、三振率は1年目の.141から.111まで良化。指名された背景には確実性のUPがポイントになったと言えます。
一方で守備面はまだ課題が見られ、失策数は1年目が17個2年目が15個という結果に。ただこちらも少しずつ改善が見られ、エラーは微減に留まりましたが補殺・刺殺とも増加し守備率は.942から.953へアップしています。
ドラフト解禁年(大学生ドラフト対象だった為)に成績を上げる事が出来たと言うのも指名を受けた大きなポイントだったと考えられます。

オリックスでの園部選手の活躍
専修大学ではプレシーズンマッチで一度観ていた園部選手でしたがそれ以降は中々機会がなく、BCリーグも他地区との交流戦を行わない状態が長かったため福島での生での活躍は観れずじまい。加えてオリックス入団で関西へ行ってしまったので中々観れる機会がなさそうだ、そう思っていた矢先に先日オリックスのファームが茨城まで凱旋しBCリーグ、茨城アストロプラネッツと試合をするという初の試みが行われました。
雨天混じりの天候でしたがその中で園部選手が打った瞬間これと分かる見事な本塁打を記録、曇天の中でも燦然と輝く美しいアーチを描きました。それまでの悩みや苦難も全て乗り越えて積み上げてきた努力が結実を見せ始めたそんな一打席でした。


この試合の放物線は一生忘れないでしょう。

終わりに
園部選手に関しては福島入団初年度の開幕戦で3安打打ったところで「プロへ行ける!」と確信していた選手です。一度ルートから外れても自ら道を切り開きこうやってプロのユニフォームに袖を通しているその姿はそれだけでも勇気を与えてくれます。まだ投稿時点では育成契約ではあるもののあの打力があれば早い段階でチームに必要になってくるでしょう。今度は一軍で躍動する園部佳太選手の姿を観れるのを楽しみにしています。


今回はこれにて、次回も是非ご一読ください。了

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