鼻だけではなく、文化的な感覚すら麻痺していた話。
北海道・上陸編
函館に降り立った時、
僕の旅が第二章に入った。
函館では、僕と同じ池田さんというご家族に
5日間泊まらせてもらえた。
ちょうど娘さんも夏休みだということで
函館の一通りの観光地に連れていってくれたし
イカ飯や焼肉、函館名物のやきとり弁当など
たくさんご馳走してくれた。
だけど一度、その奥さんと大喧嘩したことがある。
というか叱られた。
奥さんがお酒を飲んで酔っ払って
「まじ!どういうこと??
うちに洗濯機あるから使っていいよって
言ってるのに、
3日間服変えてねーじゃん。
家にあげて、ベッドも貸してるのに
なんで服を変えないの??
もう出ていって欲しいんですけどー。」
そうやって本音をぶつけてくれた。
やっと、その時ハッとした。
「そうだった。現代の日本社会では、
毎日服を変えるのが常識なんだ。
臭いとか汚さとか汗とか人間らしさとか
いろいろ麻痺してた。」
盛岡では、鼻が麻痺していたけど
今度は、自分に染み付いている習慣自体が麻痺していた。
その夜は、涙を流しながら眠りについた。
翌日旦那さんが、
ペコちゃんのTシャツを買って
「これあれば洗濯しても、
着替えの服困らんよな?」
ってプレゼントしてくれた。
その日も泣いた