服にエネルギー

社会人になってから、どういった服を着たらいいのか、どういった服を買えばいいのか、全く分からなくなっていた。
今日読んだ本に「服には、気というかエネルギーみたいなものがあるんだ、とはっきりわかった」と書いてあって昔のことを思い出した。

中学生か小学生の頃、旅行のお土産をもらった。
カーディガンで、毛糸は太く、みっしりとしていて、ボタンは木を削ったもの、カーディガンとボタンを結びつけていたのは革の紐だった。
白地に馬や人(槍を持っている模様もあった!)が抽象化された模様が入っていて、海外のお土産だった。
小さい私には、野性味溢れた獣の匂いがしそうなぶ厚いカーディガンだった。
こんなものは見たことがないし、好みではないし、お土産だし、な…。と欲しいとも思わず受け取った記憶がある。
受け取っただけ受け取って忘れていたのに、ある日身につけることを急かされ、渋々とそのカーディガンを身に着けた。
本当に嫌々だった。もらった人に悪いと親が思って、押し付けられてるんだわ!と子どもながらに思うほど嫌々だった。ものすごい感じがして怖かったのもある(カーディガンが)。
着てみると、ぶ厚いし少しザラザラするが、意外にも着心地は悪くない。と思っていたら段々とテンションが高くなって元気になったような気がした。
気持ちはライオンの皮をかぶった少年だ!と思った。
それからというもの、「夏もこのカーディガン着たいな」と思うほど、気に入って毎日の部屋着としてした。真夏になるまで着ていた。穴が空いていて修理したいと思っても、どうしたらいいのかわからないまま毎日着ていた。時々洗って干している間はなんだか寂しいほど。
「もうボロボロだから」という理由にしては理不尽で、勝手で酷い行いのもと、カーディガンはなくなった。
心重暗くなった。成人してもずっと着ていただろうと、日頃ぼんやりと思っていたことを自覚したのを覚えている。

あの野性味あふれたカーディガンは、エネルギーがあった。
あのようなエネルギーのある服がおいてあるところを探して、毎日の服に取り入れられたら…、と本を読んで思った。そうしたら服について悩むことも少なくなるかもしれない。

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