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フーテン族のライブへ行く16【2024.11.21】

私的ライブ日記です。
諸々ご容赦ください。


渋谷は道玄坂にある老舗ライブハウス、La.mama。
1989年12月28日に、THE YELLOW MONKEYが初ライブをした場所。2016年、再結成を示唆する暗号では、La.mamaの名前と位置情報が解となっていた。
イエローモンキーファンにーー私にとっては聖地。外観を拝むためだけに訪れたことがある。いつか、ここでライブを見てみたいと思っていた。

そんなラママのライブに、フーテン族の出演情報がーー

きた、ついに!私がラママに行くときが!
しかも共演にあがた森……え?あのあがた森魚?!
どうなってんだ?あ、そうか、あがた森魚と同じ世界線にいるのか。パラレルワールドでなく?へー、っていうか、どういう繋がり?しかもXでフーテン族カッコいいって褒められてるし。ほぉ〜〜〜〜‼︎

そういえば、私があがた森魚を知ったのも、イエローモンキー(吉井和哉)が切っ掛けだったっけ。

THE YELLOW MONKEY
トリビュートアルバム(2009年)


情報解禁時から、これは絶対に行こうと意気込んでいた。同じ職場のイエローモンキーファンに、
「こんど自分、ラママ行くんスよね…ヘヘ」
と、(何度か)自慢してしまったほどに。




そして、待ちわびた当日。
ラママへ到着。アイビーが青々と茂る入り口をくぐり、階段を下る。

木曜夜会

重い扉を開ける。 
ーーここがラママ……映像や写真で見ていたけれども、こんな感じなんだ。想像よりステージが広い気がする。いいな。
フロア中央には、噂にきいていた存在感のある柱。左手中奥にバーカウンター。更に奥にはステージに続く小さな花道があった。

壁や柱に貼られた沢山のステッカーとポスターたち、バーカウンターに並ぶスナック菓子と「ソフトクリーム」と書かれた暖簾、色んな装飾。
雑多で気取らない雰囲気だ。今までに訪れたライブハウスとはちょっと違い、入ってすぐ親しみやすさを感じた。
想像していたより、ずっといい。


さて、フーテン族の出番。

今回、私は元カレ(音楽性の違いにより解散)を帯同していた。彼は仕事でカメラを回すこともあり、ラママも経験済みとのことだった。
自分は前方へ行ってライブを見ることに集中したいので、ステージの写真を撮っておいてほしいと依頼。突然の申し出を引き受けてくれた。
「あいつ(vo)めちゃくちゃ動くからiPhoneの写真はブレると思うよ……」
と、彼。
以前に一度、フーテン族のライブに連行されており(9/23青山蜂)それを思い出していたようだ。おっ、フーテン族に対する理解度が上がってるねぇ。いいぞ。


ライブスタート。
お馴染みのカバー、『ハスリン・ダン』で緩やかに始まり、2曲名『ねえだっこして』(音源と別ver)で激しさと怪しさを増していく。
やっぱりラママはステージが広い。パフォーマンスするvo.山下氏、スペースを生かし、いつも以上にイキイキ動き回っている。(ように感じる。)
私の右隣にいた男性客も視界の隅で激しめにノリまくっていたので、方々から伝播してこちらのアクションも大きくなる。
後半、テンポの速い『山椒魚』『僕の犬』と続き、「お?これはヘドバンしたら楽しいのでは?」と一瞬頭を過ぎる。(最近DIR EN GREYのライブに行った影響)
が、ギリ踏みとどまった。危なかった。フーテン族のノリって…そういうのじゃないから……。

この日、ラストの曲は『目があった』。
最後に持ってくるにしては暗い曲で、珍しいセットリストような気がする。というか、ライブで聴いたことがあまり無い曲かもしれない。一曲前の『僕の犬』と連続して、1stシングルの初期曲だけれど、何か意味があるのかな。

クライマックスのアウトロ、歪みで観客を抉りまくってくるギター、ドラムがかき回して締める。このバンドらしい仄暗く怪しい余韻を残し、喝采の中終了。

帯同者に画像を確認させて貰ったところ、想像以上に仕事をしてくれていたようだ。こんな多角で撮っていたとは……なんかすみません。てか、ちゃんとライブみてましたか?

2曲目途中でボーカルがステージから落下し、本気でヒヤヒヤしたとのこと。
なるほど。ちなみに山下氏、先週のライブでもマイクスタンドごと頭から落下していたので、それを知るフーテン族ファンの方が(またですか的な意味で)冷静だったかもしれない。
(でも怪我の無きよう気をつけてほしいものです。)


念願のラママでフーテン族を観れて、充ち足りた気分だった。

"あがた森魚"のステージ

ステージ上に1人。歌が始まってすぐにラママの世界が変わる。
あ、本物だ。当たり前だけれど、イヤホンで聴いた歌声の人が、そこに居たことにハッとする。
私にとって、"あがた森魚"は古い映画の中みたいな幻想的なーー宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』や、詩にも登場した稲垣足穂の『一千一秒物語』の読了感のようなものを彷彿とさせるからかもしれない。
後々調べて、この方が足穂の影響を強く受けていることを知る。
思いもよらなかったところから繋がりが出てきて、不思議な気分になる。本の中の、どこか違う世界のものだと思っていたことが、連綿と地続きになっていて、自分はそれに立ち会えていた。

終盤、楽器奏者が集う。ライブハウス内を歌い、演奏しながらぐるりと行進。その日の出演者たちーーりれんさん、フーテン族、ルカタマさんも加わっていく。
曲は『Be My Baby』(The Ronettes)へ。終演を惜しむようにフレーズを繰り返し、ついにフィナーレ。
この日のステージ全てが、オムニバスの映画か小説なんじゃないかと思える大団円だった。

何でもない平日の夜に、こんな素敵なことがあって良いのか。

フーテン族、ここへ連れてきてくれてありがとう。





帰り道、今日のライブを振り返りながら、帯同者と渋谷を歩く。

あがたさんの作る空気が本当に素晴らしかった。
観れてよかった。
写真や動画を撮ったけど、絶対にSNSでは伝えられない体験。
等々。

ええこと言うやん。そうだね。とてもいい経験をしたと思う。


彼は過去、私の好きな音楽やエンタメを、ことごとくこき下ろし否定してきた。THE YELLOW MOMKEYもそれに漏れない。
それを覚悟の上で、
「フーテン族はどうだったよ」
と、訊いてみる。回答は、


「……俺、oasis知っちゃってるからなぁ」

だった。

……君、フーテン族とoasisを戦わせてるの?

まぁいいよ。前回のライブでも、特に彼から感想を得られなかったので、賞賛なんて間違っても期待してはいなかった。
でも、今回2回目のライブに誘って、それに応じて来たってことは、否定できない何かがあるのかもね。

このバンドを無理矢理にでも好きになってほしいとは思わないけど、いつか認めさせてやりたい。