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【2021年度版】Embedded Finance(プラグイン金融)のカオスマップ【欧米編】

前回、フィンテックの第3の波となりつつある「Embedded Finance(プラグイン金融)」とは何かについて、こちらのnoteで説明させていただきました。日経新聞のフィンテック「今年のトレンド」等でも、この「Embedded Finance(プラグイン金融)」について触れられており、日本でもいよいよ注目が高まりつつあるな!と実感しています。

今回は、「Embedded Finance(プラグイン金融)」を担うプレイヤーを紹介していきます!市場を盛り上げていくためにも、事業を考えるうえでこの数年貯めに貯めた海外企業に関する情報を全部大放出なので、是非感想やらコメントやらくださいませ笑。

「Embedded Finance(プラグイン金融)」とは…

「Embedded Finance(プラグイン金融)」とは、「金融以外のサービスを提供する事業者が金融サービスをシームレスに組込んでサービス提供すること」です。詳しくは前回のnoteをご覧ください!

この「Embedded Finance(プラグイン金融)」には、①Brand、②Enabler、③License Holderの3つの役割が必要になります。
(再掲)

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このうち、”Enabler”の役割を担っている海外のスタートアップを分野別に紹介していきます!!

 海外の主要プレイヤーまとめ

【2021年度版】Embedded Finance(プラグイン金融)のカオスマップ_米・欧州版

①送金/決済(ペイメント)

■概況
・送金/決済は全分野の中で、市場規模としても最大で、最も進んでいる分野です。
・これまでは、StripeやAdyenのようなSME向けPayment Facilitationを提供する企業が中心でした。
・しかし、数年前からある程度規模の大きいBrand(顧客を豊富に持つプレイヤー)のうち、自社内で決済システムを持ちたいと思う企業が増えており、それを可能にするプレイヤーが出てきています。

主なプレイヤー
(アメリカ)
Stripe
・Payment Facilitationとしての最大手の1社
Finix
・自社内で決済処理インフラシステムを立ち上げることを可能にするサービスを提供
・サードパーティの決済プロバイダーに依存していた決済を自社で行うことが可能に
Moov
・決済処理インフラシステムをオープンソース型で提供するスタートアップ
※今最も先鋭的な取り組みをしていて個人的超注目企業です!

(欧州)
Adyen
・Payment Facilitationとしての欧州最大手の1社
Railsbank
・1つのAPIで決済やデビットカードなどの金融機能を組み込むことが可能な仕組みを提供
※社名に"bank"がついていますが、銀行ではないです
Solarisbank
・この分野では珍しくライセンスをもったEnabler
・決済にのみならず幅広い金融機能をAPIで提供しており、今後結構成長していくのではないかと期待しています

②送金/決済(カードイシュイング)

概況
・様々なウォレットサービスやチャレンジャーバンクの立ち上りに合わせて、ここ数年非常に成長してきた分野で、(たぶん)最大手のMarqetaは2021年に時価総額1兆円越えで上場との噂です。
・欧米ではプライバシーやセキュリティへの問題意識の観点から、クレジットカードの保有率自体が減少傾向にあるともいわれており、直近ではPrivacy社の様な情報管理に配慮した機能を持つ企業も登場しつつあります。

主なプレイヤー
(アメリカ)
Stripe
・決済からの横展開で、Stripe issuingというカードイシュイングサービスを提供開始
Marqeta
・カードイシュイングのプラットフォームを提供する大手
・Square、Uber、Affirm、DoorDash等々強めの大手スタートアップを顧客に持つ
・ファーストクライアントをしっかり掴んで一気に成長したこの分野のトップ企業です。個人的には上場時の目論見書を早く見たいです
Gallileo
・昨年、Sofiが$1.2bnで買収
・MonzoやChimeなどのフィンテック企業を顧客に持つ
Privacy
・情報流出やスキミングされにくい技術を用いたカードを発行できるサービスに強み

(欧州)
Starling Bank
・リテール向けのチャレンジャーバンクがメインだが、BtoB向けやBaaSなど幅広く手掛けている企業
・チャレンジャーバンクの中ではいち早く単月黒字化を達成!
Railsbank
・決済も手掛けているが、特にアメリカではCredit Card as a serviceを中心に展開

③融資

概況
・BNPLまで含めると、今最もホットな分野であり、向こう数年で顧客体験としても大きく改善が見込まれる領域だと思います。
・一方、欧州では早くも社会問題化しつつあり、近々規制変更が入ると思われ、各社その対応に追われる1-2年になるのではないかと予想されます。

主なプレイヤー
(アメリカ)
Affirm
・EC加盟店(特に高額帯)向けに、分割払いを可能にする仕組みを提供
・融資商品自体は裏側の銀行が組成しそれをつなぐ役割を担う
・自宅フィットネスのPelotonを顧客に持ち同社の成長とともに一気に拡大
Amount
・主に既存の銀行のデジタライゼーション及びプラットフォーム戦略を支援する企業
・License HolderがEnablerの役割を担えるように支援するイメージ
・2020年末にGSが出資しており、GSがうまく活用していくのではとみています
Provenir
・融資にかかる審査モデルを簡単に構築できるプラットフォームを提供
Wisetack
・EC加盟店がPOSレンディングを可能にするシステムを提供

④銀行口座

概況
・ネオバンクになりたいプレイヤーのためのプラットフォームというイメージで、非金融の既存サービスへの組込みはそこまで多くなかったものの、2020年末にStripeが参入を発表し非常に大きな話題となっている分野です。
・なお、Googleも2021年にはシティなど11の金融機関と連携し、この辺りの分野にBrandとして参入してくる見込みです。

■主なプレイヤー
(アメリカ)
Stripe
・Stripe Treasuryというサービス名で参入を表明
・既にShopifyが顧客として決まっており、提携のLicense Holderは、GS、Evolve、シティ、バークレイズ
Cambr
・主にBrand向けに預金口座機能をAPIで提供(デビットカードや決済の機能も一応提供している模様)
・Money LionやCAPITALといったネオバンク等を顧客に持つ
Green Dot
・2011年にBonneville Bankを買収し、グループ内でライセンスを持って預金口座機能を提供
・もともとはプリペイドカードの発行支援をしている会社として結構歴史が長く、その後多角化
・この分野ではWalmart等を顧客に持つ
Bond
・BrandとLicense Holderをつなぐプラットフォームを運営
・預金口座等の提携プログラムが同社の複数プラットフォームに載っており、Brand、License Holder側それぞれ、提携プログラムの成果を簡単にモニタリングできることが特徴

⑤保険

■概況
・ペイメントに次いで大きな市場規模になることを予想される分野です。
・これまでは自身が保険会社になって自社保険商品をAPIで提供するプレイヤー(Full-stack insurerとか言ったりします。)が多かったですが、近年はManaging General Agent(MGA / 総代理店)として様々な保険商品をEnablerとしてAPIで販売できるようにするプレイヤーも増加しています。

■主なプレイヤー
(アメリカ)
Lemonedo
・主に家財保険を提供する保険会社
・自社販売だけでなく、APIを解放し不動産会社のサービスへの組込みも可能
・ブランディングに非常にたけており、直近ではペット保険の販売も開始し、生命保険分野へも進出予定
Extend
・EC加盟店等が商品故障にかかる保証を簡単に販売可能にするAPIを提供
・保険会社として商品の組成も行う
Trov
・MGAとして主にモビリティ関連プレイヤー向けに、損害保険を簡単に組込ことができるAPIを提供
・保険会社にシステムをホワイトレーベルで提供することも行っている
boost insurance
・保険を組成、運用するのに必要となるシステムを提供
・License HolderがEnablerの役割も担いやすくする支援を行うイメージ

(欧州)
Simplesurance
・MGAとして、EC企業向けに保険をクロスセルできるシステムを提供
Qover
・MGAとして、APIのみならず、フロントの開発能力がないBrand向けにホワイトラベルのフロントエンドを提供
・自転車保険、旅行保険、返金保険など様々な保険に対応しており、RevolutやWoltを顧客に持つ

⑥証券

■概況
・欧米ではまだそこまで盛り上がっていない分野になります(そのため、めちゃめちゃ手前味噌ですが、当社スマートプラスは世界でも進んでいる方だと思います!)
・チャレンジャーバンクやウォレットサービス等が収益化を目指していく中でクロスセルとして投資商品を追加する可能性が非常に高いため、今後成長する分野だと見込んでいます(アリペイは、クロスセスの金融商品としては、レンディング>証券>保険の順で売上が上がっています)

■主なプレイヤー
(アメリカ)
Drive Wealth
・ETFや株の取引機能をAPIで提供
・チャレンジャーバンクのRevolutやMoney Lion等を顧客に持つ

(欧州)
Lemon Markets
・基本的にはDriveWealthとほぼ同じ機能を有する(まだβ版の模様?)

以上が海外の主なプレイヤーの紹介でした。かなり私見での整理になりますので、「これ違うよ」とか「この会社もあるよ」とかあれば、是非是非情報をお待ちしております。皆さんでアップデートしていけると嬉しいです!

次回は、国内のプレイヤーについてもまとめてみようと思います。

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