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Finatextがビジョン/ミッションからカルチャーをアップデートするまでの全容

 前回、カルチャーを「ビジョン/ミッション/ビジネスモデルから見直す」ことで、ストーリーのあるカルチャーを創ろう!というnoteを書かせていただきました。(ご覧になっていない方は是非、こちらもご覧いただけると嬉しいです!)

 今回は、上記の考えに基づき、実際Finatextグループではどのように新しいカルチャーに至ったのか、その全容をご紹介したいと思います。皆さんがカルチャーを見直される際のアクションのご参考になれば嬉しいです。

前回のおさらい

 前回のnoteでは、メンバーが増えてきて、戦うべき領域が明確になってきたところで、カルチャーを見直すべきだというお話をさせていただきました。見直す際、「気付いたらありきたりなカルチャーになっていた」という陥りがちな失敗を避けるために、「そもそもカルチャーとはなにか」、そして「なぜ見直すのか」という前提から考えてみました。

 簡単にまとめると・・・・

- カルチャーとは、所属するメンバーの日々の行動そのもの
- つまり、カルチャーを見直すとは、メンバーの行動を変えるためにある
- なぜメンバーの行動を変えるかというと、会社の「ビジョン/ミッション」の成功確度を上げるため
- よって、カルチャーを見直す際は、あくまでも「ビジョン/ミッション/ビジネスモデルから見直す」べき
- こうすることで、ストーリーを持った、自然と浸透するカルチャーが作れる

 この考え方に基づき作られたFinatextグループの新しいプリンシプル(行動規範)がこちらです!!!

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 以降、このプリンシプルに至った具体的なプロセスと、それぞれのプロセスにおいて議論した内容をご紹介します。

見直しプロセスの概要

 カルチャーを「ビジョン/ミッション/ビジネスモデルから見直す」ということなので、

1) Finatextグループのビジョン/ミッションについて改めて共通認識を持っ た上で、
2) それを実現するためのビジネスモデルはどうであるべきか、
3) そのビジネスモデルを可能にするために組織として持つべきユニークネスは何か、 

という順番で、議論をしていこうと考えました。

冒頭からのつまずきー意外とあいまいな定義

 しかし、、、この取組みを始めた直後、メンバー間で微妙に噛み合わないことがありました。なぜなら、各自が考える「ビジョン/ミッション/ビジネスモデル」の定義がバラバラだったから。誰もが同じように口にするこれらの言葉には、実は様々な定義があります。

 色々な本やブログを調べてみたのですが、これ!という正解はなさそうだったので、まずは自分たちなりの定義を決めることから始めました。

Finatext版!ビジョン/ミッション/ビジネスモデルの定義

 話し合いの結果、以下をビジョン/ミッション/ビジネスモデルの定義としました。(これらの定義が世の中一般の定義として正しいかはわかりませんが、正しさよりもメンバー間で共通認識になっていることが大事だと思います。)

・ビジョンとは・・・世‌の‌中‌を‌ど‌う‌し‌た‌い‌の‌か?
・ミッションとは・・・そのために私たちは何をやるのか?
・ビジネスモデルとは・・・ 顧客提供価値 × 持続的競争優位性
 - 顧客提供価値とは・・・ 誰がなぜ使ってくれているのか?
 - 持続的競争優位性とは・・・ ほかの人が真似したくてもできないのはなぜか?

※ビジネスモデルは、「IT ビジネスの原理」や「ネットビジネス進化論」などで有名な尾原さんの定義をそのまま使わせていただいています。

 定義の明確化を踏まえて、ようやく「1)まずはビジョン/ミッションの共通のものにする」に取り掛かることができました。皆さんもビジョン/ミッションについて話し合う際は、是非その定義についてきちんと認識を合わせることをお勧めします

1) ビジョン/ミッションの共通認識にする

 そもそも、ビジョン/ミッションなんてわざわざ改めて共通認識を持つ必要があるの?と感じるかもしれませんが、案外重要です。

 特にFinatextグループは、創業当時から現在のビジョン/ミッションがあったわけではありません。「テクノロジーの力で金融をより良いものにしたい」という想いはずっとありましたが、事業をやっていく中で提供してきたサービスの変化とともに、ビジョン/ミッションが徐々に形作られてきたのが実情です。

 成長したベンチャーのビジョン/ミッションを見ていると、創業時からすごく研ぎ澄まされたものがあったように思いがちですが、これこそ生存者バイアスというか、、、実際はそんな会社ばかりでなく、多くの会社においてビジョン/ミッションはビジネスをやりながら少しずつ形になっていくものだと思います。なので、既にあるものを当たり前だと思わずに、じっくりと「ビジョン/ミッションをもう一度振り返る」ことはとても大事なのです。

 そして今回、共通認識として改めて確認したFinatextのビジョン/ミッションはこちらです。

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 ビジョンの「金融がもっと暮らしに寄り添う世の中にする」を叶えるには、
① みんなが普段使う身近なサービスから簡単に金融機能が使えるようになる
② 既存の金融機関のサービスがもっと使いやすくなる
の2つを実現することが大切だと考えています。

 ※特に①については、a16zのブログ「すべての企業は FinTech 企業になる」(オリジナル日本語訳)に詳しく書かれていますので、是非ご一読ください!めちゃめちゃ面白いです。

 そして、そのビジョンを叶えるために私たちが自らに課したミッション「金融を“サービス”として再発明する」をどのように実現したいかというと、、、

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 「基幹システム」のインフラストラクチャを"as a Service"型で提供することで、誰でも少人数かつ低コストで、金融機能を提供可能にする
フロントエンドサービスをレガシーな「基幹システム」から分離することで、優れた顧客体験を備えた"サービス"と呼べる金融を提供可能にする
統合的にデータを蓄積することで、顧客体験の継続的な向上に活用可能にする
ということを考えています。

2) 目指すべきビジネスモデルを明確にする

 ビジョン/ミッションがクリアになったところで、次にこれらを実現するために、私たちのプロダクトが持つべき「顧客提供価値」と「持続的競争優位性」について考えました。
※なお、この持続的競争優位性については、「moat」と呼ばれたりして非常に面白いです。詳しく知りたい方はこちらのnoteがお勧めです!

提供価値

① 低リソースで簡単に金融機能を利用できる基幹システムインフラの提供
 ⇒ 複雑かつ高額な基幹システムをクラウドで共通基盤化すること、また開発チームとオペレーションチームが一体となって業務の最適化を行うことで実現
 ※低リソースとは、少人数、短期間、低コストであること

② ユーザーが使いたくなるサービスを企画・実装
 ⇒ 金融を単なる機能ではなく“サービス”として昇華させられるアイデアを企画・実装することで実現

③ データによる顧客行動の深い理解に基づくサービス改善
 ⇒ 最適なターゲットに、最適なタイミングで、最適なサービスを提供できるようなデータ基盤を整備することで実現

持続的競争優位性

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 短期的には、お客様の重要な業務を担うシステムとして採用いただき(最近では、よく「Embedding」とか「Embedded」とか言ったりします。)、リレーションを構築することが重要です。複雑かつ大規模なエンタープライズ向けSaaSは、導入までのディスカッションに時間を要します。逆に一度導入していただいたら解約されにくい領域を担うことで、期待されるLTVを高め、導入に向けたディスカッションにじっくりと時間がかけられるようにしていかなければなりません。

 中期的には、私たちは所謂「インフラビジネス」であるため、とにかく規模の経済を効かせコストを下げていかなくてはなりません。初期の段階から規模の経済が効きやすいシステムアーキテクチャとコスト構造に徹底的にこだわること、そして私たちのインフラを利用していただくパートナーを増やしていくことで、価格競争力を高めていくことが重要です。

 長期的には、私たちのインフラに蓄積されるデータを用いてサービスの顧客体験を改善し続けることで、価格競争力を越えた競争優位性を持つことを目指しています。

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3) ビジョン/ミッション/ビジネスモデルを実現するには、組織としてどのような特徴を持つべきか

 これらのビジョン/ミッション/ビジネスモデルを実現するためには、私たちの組織にはどのような特徴がなければならないか。またどんな特徴があればビジョン/ミッションの実現確率を上げることができるか?について、徹底的に議論をしました。
 そして、、、次の4つの特徴を持たなければならないと考えました。

A) 複数のBtoBtoC共同事業を通じて、パートナーと共に成功する必要がある
・パートナーの業務に完全に組み込まれる形でプロダクトを提供するので必ず長期的なお付き合いになります。なので、何よりもパートナーの成功を考えられる組織でなければなりません。
・また、ビジネスモデル上、単一サービスのみを運営していくことはないため、複数のサービスを同時に立上げ、改善していける組織でなければなりません。
※Finatextグループは基本的にパートナーの事業収益に合わせて自社収益も伸びていくような収益モデルを採用し、収益面でもパートナーと同じ方向を向いていける状況を作っています。

B) 多様な専門性を持つ人が協業する必要がある
金融ドメインの専門的知識と技術ドメインの専門的知識の両方が共存できる組織でなくてはなりません。
・特に、開発メンバーと金融機関としてのオペレーションメンバーによる密接なコミュニケーションがあって初めて効率的なシステムとオペレーションを構築・運営できると考えています。イメージとしては「DevOps+Operation」で、開発側のDevOpsにとどまらず実際にシステムを利用するオペレーションも一体で動ける体制を目指します。

C) パートナーが圧倒的な低リソースでインフラを使える必要がある
・ 持続的競争優位性でも触れた通り、中期的には規模の経済による「コスト競争力」が何よりも重要です。
・よって、中長期的な視点に立ったコスト意識を常に持ち続けている組織でなくてはなりません。
・ここでいう「中長期的な視点に立ったコスト意識」とは、目の前の費用だけでなく、3年スパンで考えたときに時間や人的リソースをいかに削減できるかを考えることを指しています。

D) 常に私たちにしか提案できないユニークさを求められている
・提供価値の1つである「ユーザーが使いたくなるサービスを企画・実装」するためには、常にユニークなアイデアや手法をパートナーに提供し続けなくてはなりません。
・そのためには、新しい発想やチャレンジを前向きに捉えられる組織でなくてはなりません。

組織が持つべき特徴を実現するプリンシプル

 ここまで来てようやく、プリンシプルを検討する材料が揃いました!
A)からD)の特徴を持つ組織であるために、私たちメンバーはどのような行動をとるべきなのか?を考え、最終的にプリンシプル(行動規範)に落とし込んでいきます。その結果が、以下のスライドです!

 

カルチャーの話をしていたはずなのに、後半はほとんど事業やサービスの話ばかりになってしまいましたが、、、まさにこれがやりたかったことなのです!

 このように、カルチャーを独立したものとして考えるのではなく、ビジョン/ミッション/ビジネスモデルから落とし込んでみると、改めて「自社のビジョン/ミッション/ビジネスモデルは何なのか」、そして「それを実現するために組織に必要な特徴は何なのか」を考えることができます。

 もしこれからカルチャーを見直す機会があれば、ビジョン/ミッション/ビジネスモデルを振り返るところから始めてみてはいかがでしょうか。

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 Finatextグループでは、テックリード、サーバーエンジニア、テックPMを中心に積極採用中です!
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https://twitter.com/110110110110/status/1306403910609821697


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