日記テイストな創作話
今日は用事があって外出をしました。
とある繁華街へ。とは言ってもフラッと寄った程度です。
私はついに、前々から気になっていた古本屋に足を踏み入れました。その古本屋はいつも若干シャッターが閉まっていて、外からは店内を見渡せない仕様になっています。
夜になるとそのシャッターが完全に閉まります。そこにはシャチ(のいる海)の絵が描いてあるんです。これがなんだか不気味。
シャチの上から誰かの落書きがされていて、まあまあ年季が過ぎてると思われます。肉眼で見るとちょっと怖いです。
話が逸れました、本屋の話ですね。その本屋の中はというと広さは学校の教室の半分くらいの明らかに狭い店でした。しかし外観からは想像できない程高い本棚が何列も聳え立っていました。てっぺんの本はどうやって置いたんでしょうか。また、誰がどうやって取るんでしょうか。あんな高さの梯子があるとも思えません。そのくらいの高さです。
客はお爺さんやお婆さんばかりでした。私と歳が近い人なんか1人もいません。数えるほど客数も多くはなかったのですが。
古書の匂いが漂う店内を何か良さげな本が有ればと徘徊していました。しかしどこを見ても歴史書や伝記のようなものばかり。私が無知なのでしょうか。聞いた事のない名前ばかりです。
そんなラインナップに少しだけ落胆した直後、不意に目をやった棚には「ゲーテ詩集」が。ゲーテに詳しくない私は、もうハズレ覚悟で手に取りました。おお、しかしこれが案外良さげ。しかも三十円。買っておきましょうか。
会計をしていたのはこれまたお爺さん。きっと店長でしょう。値段の表記がなかなか見えずに苦戦していました。何と読むのか聞かれるまでは教えないべきかなど考えていましたが、普通に自分で判別できたようです。お年寄りを舐めてかかってはいけないですね。
変わった本屋です。買い物は結構良かったとしましょう。
嘘です、本屋には入っていません。ゲーテは元々家にある本です。