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愛の楽曲工房エンディングテーマのサムネイラストが出来るまで
大人気Podcast番組「愛の楽曲工房」のエンディングテーマの、ストリーム配信用サムネイラストを描かせていただきました。
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私はデザイナーで、この仕事をして15年以上経ちます。以前は「出したとこ勝負!作ったもののことを後から言葉にするのは野暮では…?」と思ってたこともありました。でも今回は備忘録+ものづくりに興味ある人に向けてnoteに残しておこうと思います。昨年から子供向けの工作教室でも働くようになって、自分の普段の仕事が、誰かの発見になるかもしれないと思った次第です。
私と、愛の楽曲工房の出会いは、コテンラジオ→この人たち面白い→調べる→愛の楽曲工房へと流れつきました。もともと北九州のコミュニティFMで配信されていたものがPodcastになった番組だったので、初期の愛の楽曲工房は、よりラジオっぽい感じで作業のBGMとして一気に聞きました。
その中で、エンディングテーマが出来た経緯ももちろん聞いていたし、#98の中で「曲を配信したいけど、サムネ用のイラストが必要なんよね〜」と軽〜く白羽の矢が立った時は、光栄な反面、「ガチのクリエイターさん向けに描くの、ぶっちゃけ怖ぇよ!」と言うヘタレた気持ちがありました。
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そんなヘタレた気持ちと日常にかまけ、スルーして半年ほどたったある日、新しく番組の構成作家に就任したイムさんから、非常に申し訳なさそうに「あの〜…エンディングテーマのイラストの件なんですが」と打診の連絡がありました(笑)
言いづらいことを言わせちまった…と思いつつ、私も番組のことが好きだし、「イラスト描く量を増やす」という今年の目標もあり、これがイムさんの就任祝いになれば!とも思って重い腰を上げました。
普段、デザインの仕事をする場合、クライアントの希望や形にならないイメージをヒアリングしてデザインを始めます。ヒアリングは超重要で、相手の希望や目指したい世界観を把握したり、お互いの相性を確認する場になります。
しかし今回は、自由に描いていい!というイラスト。有り難さと恐ろしさが同居します。これまでの番組すべてが貴重な情報であり世界観です。
殿堂入りPodcasterの樋口さん、CM音楽トップクリエイターの太陽さん、大人気Youtuberの青柳さんの胸を借りるつもりで、妄想と好きな気持ちをイラストにしよう!と思って制作を始めました。
今回、エンディングテーマのサムネイラストを描くにあたり、最初に浮かんだことは、「愛」を感じるものであること。
「Ye tou bus humesha hai tere aas pass」→「愛があるのが当たり前(和訳)」この曲のタイトルに相応しいものを。そう考えてラフを切り始めました。
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愛は見えないけど、そこにある感じがいいな…。
番組の雰囲気に合わせて明るく楽しい感じで…明るさ、ユーモア感?いやわりと真面目?可愛いさ?は、いるかな?ヒンドゥー語…インド感?どこまで出す?
書き出すと雑多ですが、言葉にならないあれやこれが浮かんでは消える状態で手を動かします。ふわふわしたイメージをなんとかラフにしていき、それをPCや絵の具で清書。
noteでは没案になった別のイラストも掲載してしまおうと思います。
【A案】花を咲かせる音楽隊
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【B案】愛の楽曲工房の工房図
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【C案】ハートを作る三人
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イラストを描くと毎回「いや脳内イメージでは、もっとなんかこう、すっごい!なんか、いい感じなんだよ!」という興奮した私と、「いや、今のお前の限界ここだからな?」という冷静な私がせめぎ合います。私には逆立ちしても、井上雄彦先生のような画力がないのです。つらみ…。でも今の精一杯を出すしかありません。
一緒にPodcastをやっている相方まゆちゃんに、3案見せたところ「B案がいいと思う!可愛い!」と言われ、参考に……は、ならないが、気がまぎれるなと思いました。
確かに、B案はエンディングテーマに関係なく、ずっと頭の片隅にあった工房のイメージでした。愛の楽曲工房には、音楽部屋があったり、駄菓子屋スペースがあったり、哲学部屋があったり…くるくると空間が変化しながらも、三人のわちゃわちゃ楽しい笑い声や歌声が聴こえるようなそんなイメージです。今回、それを頭の片隅からアウトプットしたのでスッキリ(笑)
提出した時の心境は「あ〜〜やってなかった冬休みの宿題、学年上がってやっと提出したわ。スッキリしたあ」でした。やはり制作の現場は、〆切のコントロールが一番大変だなあと改めて思います。
提出した3案の中で、太陽さんからB案が直感的にいいと返答をもらい、「B案の背景とフォントの組み合わせが全体的にクールな感じがあるので、少しあったかい印象にもっていけないか?」というご相談をいただきました。これを聞いた時、内心「よっし!」と思いました。
自分がふんわり持っていたゴールのイメージがズレていないことがわかったからです。エンディングテーマのイメージは暖色だったんですが、初稿3案とも似たテイストを出すのは、クライアントのイメージから大外れだった場合こけるので、バリエーションをつけるため空色にしていたのでした。
(出したとこ勝負とか言いつつ気が小さいのでを潰しを効かせたがる 笑)
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そうして色やフォントのバリエーション、小さな修正などブラッシュアアップして、今回のサムネイラストができました。ストリーム配信画面で見ると不思議な気持ちです。曲が入るとより楽しそうに見えます。本当にいい曲だなあ✨
愛の楽曲工房はその名の通り、開始当時から、音楽や企画、人生そのもののライフプランに至るまで、試行錯誤をリスナーに見せ、クリエイターの苦労や頭の中を開示しつつ、その場でモノづくりを行うという制作現場のスリリングさと面白さを教えてくれる番組です。それを6年も継続しているパーソナリティーさん、支えてきたスタッフさん、本当に頭が下がります。
妄想・想像から世界観へ、そこから表現へ…「思い切り表現してみなよ。一緒にやろうよ」と、どんな人にもクリエイティブへの扉を開いてくれるような愛の楽曲工房。今回のイラストも、リスナーさんの小さな発見と、そこから想像が膨らむものであれば嬉しいなと思います。
それから、番組の中でも長編大作として語られた、太陽さんの「GOOD MUSIC vs BAD MUSIC」プロジェクト、私にはロックであり、クリエイティブ業界に対する愛ゆえのテロ行為だと思えました。同じクリエイティブといえど業界の片隅で羽虫のよう生きてきた私にはスペクトしかありません。自分では、あんなに過激でかっこいいことはできないけれど、スピリットの部分は受け取って、これからも、ものづくりしていきたいです。
貴重な機会をいただい樋口さん、太陽さん、青柳さん、作家のイムさん、どうもありがとうございました!