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わたしの本棚

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#夏の読書感想文

わたしの本棚120夜~「ザリガニの鳴くところ」

わたしの本棚120夜~「ザリガニの鳴くところ」

 2021年本屋大賞翻訳小説部門1位で、2019年アメリカで最も売れた本で、原書の累計700万部を突破したそうです(2021年現在)写真は、版元の早川書房さんの画像を借りました。

 日本語訳が読みやすい文章なので、長編ですが、すらすら読めます。物語は、ノースカロライナ州の湿地で町の有力者の男の死体が発見されます。他殺、事故かわからないまま、犯人を捜すミステリーの様子を展開しながら、主人公カイアの

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わたしの本棚119夜~「彼岸花が咲く島」

わたしの本棚119夜~「彼岸花が咲く島」

 昨年韓国映画「マルモイ」を観て、母国語を変えられた人たちの悲痛な叫びを知り、今年、日本統治下の台湾でも日本語の強要があったこと知りました。そして、今回の芥川賞受賞作。二ホン語、女語が入り混じり、女性の統治と島全体が共同体のような架空の島を舞台にしたこの小説。読み応えありました。今回、文藝春秋9月号は、芥川賞2作品の全文掲載、選評もあってお得でした。

☆「彼岸花が咲く島」 李琴峰著 文藝春秋9月

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わたしの本棚116夜~「知的ヒントの見つけ方」

わたしの本棚116夜~「知的ヒントの見つけ方」

 立花隆氏が亡くなってから、追悼特集がテレビやネット、雑誌、本などのメデイアであり、近くの本屋さんや図書館も追悼コーナーが設けられています。そんなか、手に取った1冊です。文藝春秋の巻頭を飾った随筆(2014年8月号から2017年12月号)、特集記事と別のメデイアに頼まれて話をした記事をまとめた構成になっていました。

☆知的ヒントの見つけ方 立花隆著 文藝春秋 文春新書 920円+税

 「知の巨

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わたしの本棚115夜~「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」

わたしの本棚115夜~「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」

 岸田奈美さんのエッセイが好きです。帯に阿川佐和子さんが「この本を読んだら強くなれる、たぶん。泣きながら笑う技と、怒りながら信じるコツが書かれているからね。」と書かれています。納得、というか、この本、読んでいて気持ちが癒されます。書くことで救われることがあるなら、読むことで救われることもあるはずで、わたしにとっては、岸田さんのエッセイが今、その状態です。

☆「家族だから愛したんじゃなくて、愛した

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