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わたしの本棚

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#新潮文庫

わたしの本棚135夜~「楽隊のうさぎ」

わたしの本棚135夜~「楽隊のうさぎ」

 去年、重版で25刷になったというロングセラーです。わたしが持っているのは平成22年の15刷の値段です。中沢けい先生というと、「海を感じる時」の衝撃が大きく、大ベストセラーですが、こちらの「楽隊のうさざ」もまた、吹奏楽部の中学生を描いた成長物語として、不朽の名作です。

☆「楽隊のうさぎ」 中沢けい著 新潮文庫  550円+税

 主人公奥田克久くんは、小学生のころ、いじめられた経験があり、引っ込

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わたしの本棚79夜~「高円寺純情商店街」

わたしの本棚79夜~「高円寺純情商店街」

 2015年に船団東京句会の主催で、高円寺商店街を吟行をしました。さすがに小説の世界からはずいぶんとモダンになりましたが、初めて訪れた高円寺商店街は、和菓子店など、風情あふれる街並みでした。直木賞受賞作であるこの作品、商店街に暮らす人々のあり様を丹念に描き、昭和の香りあふれる人情豊かな物語になっています。2011年の3刷の値段です。解説は秋山駿氏です。

 ☆「高円寺純情商店街」ねじめ正一著 新潮

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わたしの本棚64夜~「白洲正子自伝」

わたしの本棚64夜~「白洲正子自伝」

 自伝、自伝的小説を読むのが好きです。事実は小説よりも奇なりのことに感動したり、その人のひたむきさや頑張る姿に元気をいただいたり。本音の部分にやはり共感してしまったり、です。わたしが持っているのは、平成二十年の23刷の新潮文庫で、その時の値段です。

☆「白洲正子自伝」白洲正子著 新潮文庫 476円+税

 文庫本の解説は、今は亡き車谷長吉氏によるものですが、端的に白洲正子さんを評していると思いま

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わたしの本棚61夜~「シーシュポスの神話」

わたしの本棚61夜~「シーシュポスの神話」

 もう少し、70話までは書いてみようと思いました。今朝、教会で救われた横田早紀江さんの話を知って、感動しました。生きていたら、不条理なこと、あります。不条理と自殺という命題を論じたこの本、「人生が生きるに値するか否かを判断する、これが哲学の根本問題」という書き出しで始まるのですが、今も変わらない名言がたくさんです。わたしが持っているのは、平成元年十二月出版の三十七刷で、その値段です。

☆「シュー

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わたしの本棚56夜~「道ありき」<青春編>

わたしの本棚56夜~「道ありき」<青春編>

 幼少期に、近くの教会に通った経験は、わたしにとって「死」の考え、とりわけ自殺は絶対してはいけないという考えを植え付けました。社会人になって、仲のよかった友人が信仰を受け入れたとき、わたし自身に迷いもありましたが、なぜか三浦綾子さんの本を読み続けました。「塩狩峠」や「氷点」といった小説に涙しましたが、やはり自伝的小説である「道ありき」三部作は大きな感動をもたらしてくれ、当時、悩めるときに読み返し、

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わたしの本棚48夜~「錦繡」

わたしの本棚48夜~「錦繡」

 宮本輝さんの小説は、河(泥の河・蛍河・道頓堀河)の三部作も好きですが、やはり「錦繡」が一番好きです。紅葉の蔵王に行ってみたくなります。書簡形式は、インターネットやSNSが発達した今では珍しいことですが、抒情豊かで、想像力が膨らんで好きです。わたしのなかでは、連城三紀彦氏の「北京の恋」という短編小説と双璧をなす書簡形式の傑作です。文庫本の値段は、平成二年十七刷のときのものです。

☆「錦繡」宮本輝

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わたしの本棚43夜~「こころ」

わたしの本棚43夜~「こころ」

 最近の本を紹介してきましたが、少し、何度も読み返している好きな本や亡くなった方の本、思い出の本も書いていこうと思います。怠け者で、3日で終わるかな、と思っていましたが、なんとか楽しみながら、43日まできました。読んでいただきありがとうございます。

☆「こころ」夏目漱石著 新潮社文庫 324円+税

 夏目漱石の小説のなかで一番好きです。「坊ちゃん」や「それから」とかもいいですが、やはり、「ここ

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