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Vol.8 わたしの不動産人生 ~出向解除後~

こんにちは。
nUe(ヌエ)株式会社の今井です。
二か月間のS部署の出向解除を終えて、不動産部署に戻りました。
S部署へ異動するために不動産部署のトップに直談判をしました。
その時に気が付いた大事な価値観について書きたいと思います。

■事業部長へ緊張の電話

不動産部署に戻ってから、S部署に異動をするべく、会社に希望を伝えにいく決心をしました。
通常は人事部を通すところかもしれませんが、わたしは不動産部の事業部長に直談判をしにいきました。
3年目社員の若造がいきなり事業部長に電話をかけることはかなり勇気がいることでしたが、あれこれ考えては恐ろしくて電話ができないと思い、何も考えずに電話をかけました。

自分『あの、、、初めまして。わたし、〇〇店の今井と申します。部長に相談があります(;゚Д゚)』
部長『今井君だっけ?どうしたの?』
自分『S部署に異動をしたいと考えております(; ・`д・´)ストレート(笑)』
部長『そうか~。それは電話ではあれだから、本社においで~。』

ちょうどこの頃、新しい事業部長が他部署から交代されたばかりで、新事業部長は優しい口調で話しをしてくれたので、安心したのを覚えています。

■本社直談判に現れたのが、、、

数日後
いよいよ、部長に会う運命の日。
本社に行くだけで若造のわたしにとっては緊張してしまうのに、この日はさらに緊張が増していたのを覚えています。
普段では入ることのない応接室に通され、緊張して待っていると、
ドアが開き、部長が入ってきました。

部長『いや~、今井くん初めまして。わざわざ悪いね。』
今井『と、と、とんでもないです(;゚Д゚)』
部長『わたし部署に異動したばかりで営業さんのことが良く分かっていないので、今日はエリアの責任者であるI部長代理も呼んでるから、本題に入るのはちょっと待ってもらえるかな(*’▽’)』
えっ!I部長代理が来る!?

I部長代理は話したことはほとんどありませんでしたが、いつもニコニコしていて、話し方も優しい口調なので一見すると温厚なイメージはありました。
I部長代理の営業マン時代は誰も記録を塗り替えることができない位の圧倒的な成績を残している伝説の営業マンだったようです。
その後は本店の責任者として長期の間、好成績を叩き出し、圧倒的な実力からか、部署長ではありませんでしたが、会社で偉い方含めてI部長代理には頭が上がらない絶対君主みたいな方でした。
周りの諸先輩方はI部長代理のことをかなり恐れており、本人は歳を重ねて性格は温厚になっているものの、バリバリの頃はかなり武闘派だったようで、周りの先輩や所長たちがかなりビビっているのを見て、わたしもビビっておりました(;´Д`)
数分後、I部長代理が入ってきました。

濃いめグレーのYシャツに、黒ネクタイ、グレーのダブルのスーツ、ロレックス高級腕時計。

これぞお手本になるような不動産屋スタイルに身を包み、煙草に火をつけて、静かに私に話しかけました。

まるで映画に出てくるようなマフィアのボスだ(;・∀・)
I部長代理『いや~、今井くんでしたっけ?異動希望があるのは話に聞いているので、その理由を聞かせてもらってもいいですか(^。^)y-.。o○』
自分『S部署に出向にいって、感銘を受けて、わたしも注文住宅の世界に飛び込みたいと思い、お、お、お願いに上がりました(;’∀’)』

あまりの緊張で細かなことは覚えておりませんでしたが、わたしは緊張と圧力に押しつぶされないように気丈に振る舞い、熱意が伝わるように話しをしました。
I部長代理は優しく、丁寧にゆっくりとわたしに話をしてきました。

I部長代理『話しは分かりました。今、君はまだ若いし、成績も出せているわけではないよね?』
自分『は、はい。おっしゃる通りです。』
I部長代理『部署としては成績が上がらなくても、いつか成績を出せる人財に育つまで先行投資をしているのは分かってもらえているかな?』
自分『もちろん理解しています(; ・`д・´)』
I部長代理『これから君は立派な営業マンとして部署に還元をしてもらえると思っていたのだけど、このタイミングで抜けてしまうということは、部署にとってかなり痛手であることは分かりますか??』
自分『ぐっ・・・。その通りです( ;∀;)』

やばい、押されている!
I部長代理の思いのままに話が展開しているという危機感を感じていたのを覚えています。
これがいわゆる、理詰めってやつだった。

I部長代理『それでも君が強引に異動することは可能かもしれないけど、それは部署にとっても嬉しくないことですし、君の異動を喜ぶことはできない気持ちは分かってもらえますか??』
自分『・・・はい(;´д`)』
I部長代理『異動しては駄目ということではなく、ここでの責務を果たしてから異動するのではどうだろうか?』
自分『そ、そ、それでは、漠然としていて、わたしはいつになったら異動ができるか分かりません(; ・`д・´)』

この時、既に敗北みたいな感じを受けてしまい、追い詰められて子ウサギが最後の悪あがきでI部長代理に突っかかるように話してしまいました。
この時、かなりの緊張で全身発汗でやばいことになっていました。
そこで、I部長が切り出してきたのが、、、

I部長代理『営業としての成果を出せば異動は約束しますよ。』

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
暗雲の中に一筋の光明が差しました。
そして、興奮を抑えるように言いました。

自分『本当ですか!?その条件とはなんですか??』

ドキドキ((〃゚艸゚))ドキドキ

I部長代理『そうですね。できれば半期(6か月)で2000万円以上出せるようになってもらえると嬉しいですね。そうすれば部署として気持ちよくS部署に送り出せます。』

半期で2000万円、、、(。´・ω・)ん?

一瞬、理解ができずに固まりました。
お客様が回ってくるわけでもなく、取引単価が高いエリアでもなく、新人に毛が生えたばかりのわたしにとってこの数字はかなり未知数でした。
月平均330万円以上の成績を出さなければならないため、月5本ほどの契約をしなければならない数字だったため、今の2倍以上
一瞬、脳裏に『無理だ、、、( ;∀;)』とよぎりました。
しかしすぐに切り替え、これくらい実力をつけてからS部署にいかなければ、逆にお荷物になってしまう
数秒間のできごとでしたが、静かに決心を固め、


自分『分かりました。その成績を出して部署に恩返しをしてから異動します(; ・`д・´)』

とても清々しい気分になったのを今でも覚えています。
確かにI部長代理の言う通りで、無理やり異動して憎まれていくより、誠心誠意仕事で恩返ししてから異動する方が全員に取って良いことであること。
それが自分の中で腑に落ちたことで、清々しい感情を抱いたのだと思います。

■この時の決断で備わったもの

I部長代理とは今でも交流があり、当時の話しを会った今でもよくします。
I部長代理は当時、わたしが直接異動の話しをしに単身で本社に乗り込んできたことをとても驚いたようでした(;’∀’)
ただ、話してみたら部署に不満がある訳ではなく、やりたいことがあって異動したいということだったので、I部長代理も頭ごなしに怒ることもできなったようです。
本音としてはそこで異動を諦めさせたかったようで、当時のわたしの成績では絶対達成できないであろうノルマとして、半期で2000万円と言ったようです(;゚Д゚)
仮に達成して成績が上がれば、仕事が楽しくなり、収入も増えることで、S部署に行くこともなくなるというのがI部長代理の描いたシナリオだったそうです(笑)
今思うと、I部長代理はかなり敏腕営業マンだったことが分かります。
I部長代理はその時のわたしの表情を見て、絶望していた顔だったと勘違いしていたため、まさか課されたノルマを達成してS部署に再度異動を申し出てくるとは思っていなかったようです(;^_^A

結果、わたしはフワフワしていた気持ちをしっかり固めることができ、何よりも目的や目標ができたことにより、自分を高めることができたのは本当に良かったです。
原理原則という意味は当時のわたしはあまり理解をしていませんでしたが、数年経ってからこの時の決断は、とても大事なものだったことに気が付きました。

原理原則である、筋の通った、道理にあう、世間一般の道徳に反しないもの

という価値観がわたしの中に生まれた瞬間でした。
それから十数年経過しましたが、仕事上においても、人間関係においても、この価値観を守ってきたことで救われたことが多くありました。
I部長代理とのやり取りがなければ、そのことを意識するタイミングはもっと遅かったかもしれません。


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