#絵本未満・・・、ぼくのへそのゴマ星人⑫
#チャレンジ・・・ 、ぼくのへそのゴマ星人⑫
おじいちゃんのへそからは、とにかく、たのしそうなうたごえが聞こえてきた。
おじいちゃんの夢や希望がいっぱいつまった、とてもなつかしいうただった。
ぼくは、ずっと耳をすませて、そのうたを聞いていた。
「へぇ。おじいちゃんって、船乗りになりたかったんだ。」
「でも、けっきょく、わしは、船乗りにはなれなかったんだけどな。」
「そうかぁ。じゃぁ、これからのぼくのほうが、夢がかなうかもしれないね。」
「もうすこし、長生きしていればなぁ。」
ぼくは、おじいちゃんの時代にタイムスリップして、おじいちゃんの夢をかなえてあげたくなった。
「だいじょうぶだ、健太。わしの夢や希望は、おまえにあずけてあるからな。おうえんしているぞ。」
おじいちゃんは、そういって、水のなかから、上のほうを見つめた。
すると、ゴマ湖の水面が、ほんとうに七色にキラキラ輝いて、ぼくは、なんだか、涙がでそうになった。
どうして、水面が七色にキラキラ輝いて見えるのか、ちょっぴり、ほんのすこし、わかったような気がした。
「健太、どうして涙ぐんでいるゴマ~?!」と、ピカキラのおじいちゃんに聞かれて、ぼくはあわてて、あたりを見回した。
でも、ぼくのおじいちゃんの姿は、どこにも見当たらない。
カンちゃんやサっちゃんたちも、いつのまにか、いなくなっていて、ぼくひとりだけが、ゴマ湖の土手にとりのこされていた。
「ゴマ湖のゆうやけもきれいだゴマ~。」そう、いわれて、ふりむくと、ゴマ星から、ぼくたちの住む町が、ゆうやけのように、赤くひかって見えた。
(つづく)