見出し画像

ちゃんとお別れしないと…わたしが10年愛を終わらせた理由

今日は旧まー(10年想い続けた人)のお母さんの話。

旧まーのお母さんは80歳を前に、すごくワガママで可愛らしい人です。愛する人のお母さんっていうのもあるけど…その可愛らしさに憧れる部分もあって、旧まー以上に好きな時期もありました。たとえ旧まーが居なくても、一緒に楽しく過ごせるって思っていました。

旧まーのお母さんとの出会いは去年の4月。わたしがシェアハウスに引っ越して来た日でした。シェアハウスがあるということは旧まーから聞いて、本格的にこの地でカフェを始めるのに引っ越すことを決めました。そのタイミングはバッチリで、ちょうど入居者が出て行って一人での入居となりました。他に誰かがいるのは気を遣うのでちょうど良かったのです。

引っ越し当日…。一番近くの駐車場に一時的に置かせてもらって荷物を運んでいました。
運び終えて車に乗ると、一人のおばさんが声かけようかなぁ〜やめとこうかなぁ〜って感じでふらーっと歩いて来ました。わたしは窓を開けて「こんにちは!」と挨拶しました。シェアハウスに引っ越して来たと話したら、息子の知り合い?苗字を言って母だと言う…。そして家はここだって、目の前の家を指差して「遊びに来てね」って言う…。

えぇー!旧まーのお母さん⁈
しかも家がシェアハウスの隣の隣⁈
どの家が旧まーの家か知らなかったので衝撃でした。そんな、隣の隣に住んでもいいの⁈って。

シェアハウスの関係者が「置いてても大丈夫だ」って教えてくれたので旧まーの家の前の駐車場に停めて荷物を下ろしていたのに、駐車場のおっちゃんに怒られました。少し離れたところに自由に停めてもいい場所があったのでそこに停めようと思ったんだけど、カフェの営業で荷物の積み下ろしが結構あるから借りることにしました。この日から停めてもいいという話をして車を停めようとしたら、既に誰かが停めている。その、停めてる人はなんと…旧まーの妹さんだったのです。たまたま実家に寄っていたのでした。もうーこの日は、ビックリ続きでした。

引っ越してからは、旧まーのお母さんとの距離はどんどん近づきました。カフェのことも応援してくれるし、変なお客さんに付き纏われた時には話も聞いてくれました。最初はわたしに対抗意識があったようで、肌の張りを比べたり、旧まーが帰ってきても教えてくれなかったり…。それが何ヵ月かすると、毎朝わたしはお母さんの家に行って喋ったり、一緒に車でスーパーに行ったり、夕方ウォーキングもするようになりました。「ひとみちゃんカワイイ♡」って、よく言ってました。旧まーと3人で畑に行ったり、3人で夜ごはんを食べることもありました。

妹さんの子どもたちを観ることもあって、一緒にお昼ごはんを作って食べたりもありました。お母さんも妹さんも子どもたちも「嫁さんよりひとみちゃんの方がいい。お母さんの面倒を見てくれるしいろいろしてくれる」そう言ってました。わたしが旧まーを思い続けてココに来ていることは隠していたので、旧まーとなぜ友だちなのか?深い話を聞かれると困るので、妹さんとは長く時間を取らないようにしていました。

そして今年のお正月。コロナで帰ってくるのは妹さんと子どもたちだけ。朝からお母さんに誘われてお餅を食べました。それから二人で寝正月。こたつで寝てました。そのうち妹さん家族が帰って来て、帰りそびれ…「お兄ちゃんとは何で知り合ったん?」ついに聞かれて事情を話すことになったのです。

妹さん「嫁さんよりひとみちゃんの方がいいのに、ひとみちゃんはお兄ちゃんダメだったん?」
わたし「お兄ちゃんがわたしのこと、ダメだったんだろうで」
妹さん「えー!お兄ちゃん見る目ないわー!」

なぜもっと、アプローチをしなかったん?って言われてすごく悲しくなった。いくら会いたくても、連絡しても返事はなかなか返ってこなかった。わたしは出来る限りのことをしたけど、結局フラれたんだという気持ちを思い出しました(旧まーと出会った時、既に奥さんとなる人と付き合っていたのです)。妹さんたちが帰ってからもお母さんと二人でこたつに寝転んでいたけれど、悲しくて一人、静かに泣いていました。この正月からは、毎日のように泣いていました。当時はフラれたという認識はなく、連絡がなくても旧まーの気持ちが届いていることを感じられたから「今じゃないんだ」って捉えていました。本当は寂しくて悲しい気持ちをここまで持ち越して来たから仕方ないと、思う存分泣いていました。

そして出会って10年の3月。お母さんと妹さんがわたしのお店に来たとき、わたしと旧まーの話になりました。旧まーは最初に結婚をしたいと思った彼女がいたそうで、それは美人で性格もスタイルもいい人だったそう。でも彼女はバツイチで男の子の連れ子がいた。旧まーは長男だから、その連れ子が跡を取るわけにはいかないとお母さんが反対して諦めたのでした。だからわたしに男の子の子どもが二人いて、わたしは引き取ってはいないけど、ダメだと諦めたのかもしれない。妹さんによると、今の奥さんのことはそんなに好きじゃないとのこと。お兄ちゃんはお母さんのために結婚をしてるよねって言ってた。いつまでも独身でいたらカッコ悪いから。お母さんの世間体のために…。だから嫁さんと別れてわたしと結婚するってなったら…?バツが付くのはカッコ悪いから今のままでいいって言われました。旧まーはお母さんが嫌がることはしないから、自分から別れるということはしないと思うと、妹さんも言いました。妹さんも最初は、「ひとみちゃんはお兄ちゃんをずっと想ってくれてる人かなぁ?って思ったよ。頑張って」って言ってくれてたんだけど、最終的にはお兄ちゃんの選択だからって逃げられたような感じになった。

人にいろいろ言われることを嫌うお母さんに、「わたしと結婚したらみんなが良かったね!って言うと思う」とか「旧まーもわたしのことが好きだから、ひとみちゃんがいいって言って!」とか、いろいろ説得したんだけど…。早くいい人が出来るといいねって、紹介の話を持って来たりされました。もうわたしには打つ手がない。迷路の行き止まりにたどり着いた気持ちでした。それでも旧まーを想っていれば何とかなるんじゃないかと頑張ってみたけれど、そのうち想うことが辛くなってきました。

わたしが可哀想だ。

そんなタイミングで旧まーの奥さんを目撃して…そんなに美人でもスタイルがいいわけでもない、ただ可愛らしい感じの奥さんを見て、この人を旧まーが守ってあげなかったら誰が守るんだろう?って思ってしまったのでした。それに実家が料理屋をしてるお嬢さんだそうで…旧まーがせっせと育てた大根をお店で出したり、お店で出た牡蠣の殻を畑に撒いたり…旧まーの望みを叶えてあげられる人が奥さんなのかもって思いました。お嬢さんってこともあって、世間体が重要なお母さんも、お嬢さんを人に自慢できるしね。お母さんの世話はしないかもしれんけど、旧まーには合ってる人だし、何って旧まーが選んでいる人。大切な人が選択しているのだから、それを尊重しようって思えたんです。旧まーは自分の気持ちを尊重しない人。わたしは自分の気持ちを尊重したい。違うのだから仕方ない。

それで10年愛を終わりにしたのでした。

わたしに彼(新まー)が出来たら、旧まーのお母さんは喜んでいるようでした。わたしがお母さんの家に行かなくなったので、なぜ来ないのか?聞かれました。「わたしはここの嫁じゃないから」都合良く家の掃除やごはんを作ったりしてほしいようでした。わたしを選択しなかったのはお母さん。分かってほしいわ。

そして顔を合わせるたびに新まーはいつ来るの?帰ったの?次はいつ来るの?ってうるさい。いつ結婚するの?先が長い訳じゃないから早い方がいい。そう、言ってたのに、わたしが結婚することを耳にしたら「いまいまじゃないだろ?そんなに早く結婚せんでも、今のまま通って会ったらいいが」って言う。訳分からん。「なにぃ、急に寂しくなったん?」「・・うん…」まぁほんと、よく分からないけどあんまりにもうるさくて顔を合わせるのがイヤになってしまいました。それで気付かないフリやスルーすることも増えて…。

毎週火曜日はムラナカで営業します。すぐ近くの酒屋に高齢のおばあちゃんたちが集まるので、キッチンカーで淹れたコーヒーを配達します。旧まーのお母さんは用事がなければ来ます。旧まーも休みのタイミングが合えば来てコーヒーを飲みます。昨日は外をウロついているのを目撃したけど、さすがにわたしの気持ちに気付いたのか出てきませんでした。少しほっとしていました。お母さんはこのムラで一番の嫌われ者です。わたしがムラナカに店を構える時、お母さんの家のすぐ近くだから行けれないと言う人がたくさんいました。わたしのことは応援したいけど、お母さんが見るから、見ていろいろ言うから嫌だと。近くの駐車場を借りてる人も最近車を見ないと思ったら、お母さんがうるさいから駐車場を別のところにしたって聞きました。昨日はお母さんが出てこなかったので、いつもは来ないお客さんが来たし、酒屋に来るメンバーも平和だとなごんでいました。いくら嫌われてても大好きなお母さんでした。ずっと見て行くって思っていたけれど、ちゃんとお別れするためにも距離を保ちます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?