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わたしは姫

落ち着いた関係で、話すほど共通点もあって楽しい。でも、3歩進んで2歩下がるじゃないけど、仲良くなっては距離を開け、仲良くしては距離が開き…をしている。

こないだの二日間のデートで、Nさんはいろんなことを話してくれた。未熟児で生まれて死ぬと言われたこと、2歳半で大火傷をして生死をさまよい、4年前に心臓の病気で死にかけた。こんだけ死にかけた人なんだから、絶対感覚鋭いよなぁ…持ってるものを発揮したら輝かないはずがない。だけど自分の過去は最低で酷い。だから友だちでいた方がいいと言う。わたしも最低な酷い経験をしてきたし、いろんな人の悩みを聞いてきた分、そんなにビックリすることでもないんじゃないか?と思う。「聞かれないし聞きたくないのかもと思って話してないけど、わたしも酷い」という内容を送ると、「本当に自分は酷いから友だちでいた方がいい。ごめん、おやすみ」と閉店ガラガラ…。Nさんの話を聞いていて、今が充実して満足すれば、過去は全て癒されると感じた。なのにわたしは過去を探ってしまった。そしてNさんに励ますようないいことを言えば言うほど凹む。

そこで気付いた。大丈夫、良くなるよっていう内容を伝えると、「今が良くない」という認識になる。だから「オレは最低なんだ」という状態を引き出してしまって、今が良くないのだからますます過去も癒されない。・・・やっぱりNさんは感覚が鋭いんだ。わたしもそう。意識してなくてもそういうのを感じて苦しいのだ。本来男性は、女性の願いを叶えてくれるもの。そんな優しい言葉や癒やしよりも、もっと男になれることが必要なんだと思った。

そもそもわたしがNさんに惹かれたのは、一緒にコーヒーを飲みに来た女性の帽子を、車まで走って取りに行く姿を見たときだった。この人は姫の扱いを知っている「男」だと感じた。わたしは余計なことは言わず、してほしいことを言うだけでいいんだ。女性が姫でないと、男性は男になれない。女性が男性にいろいろやって尽くすというのは間違いだと、そうだと分かっていてもなかなか出来ないものだ。

わたしは姫。もう癒しはいらない。

また「友だちでいた方がいい」と閉店ガラガラされたけどスルー。返信しないまま朝になり、リセットして「おはよう」を送る。Nさんはガソリンスタンドで働いている。こないだのデートのときに洗車においでよ、と、プリペイドカードを渡してくれていた。それを持ってNさんのところへ行った。Nさんが洗車機に入れてくれたからプリカも使わず、一緒に車を拭いた。仕事中のNさんはコーヒーしてるときと違って、少し違和感があった。ハッチバックを開けて中を眺めて…「ここにカウンター作ったらええなぁ!」と、すぐにもう一人のスタッフを呼んで話しだした。材料ももらえそうだとどこかに電話してサイズを伝えてた。その早さに、わたしは呆気にとられていた。わたしは、このカウンターはゆくゆく、Nさんがお客さんと喋りながら楽しむものになるんだろうなぁ…と感じた。

帰ってカフェ営業。Nさんには他のお客さんが来てロクに挨拶もせずに帰ったから、ありがとうとLINEしてた。その返信で明日は友だちと釣りだと言うから、休みだったら釣りの後、お店を手伝いに来てねと送ってみた。上手にお願い。明日は田んぼの作業もあるから微妙と言いながらも、なるべく行けるようにしますとの返事が来た。わぁ!嬉しい。明日の釣りも行きたいと言ったけど、友だちとだからと断られた。でも次回、一人なら声かけてくれるだろうし、カフェの手伝いも時間が合えば来てもらえるキッカケになった。

あれしてこれしてって言うのは、わたしにとっては難しい。でも、10年愛の彼のお母さんは甘えるプロフェッショナル。お母さんの要望を、いつも彼がサクサク聞いているのを見ていたのだ。わたしも日々、実践ですね。

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