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『好み』の違う僕らが、ひとつのモノを作るまで

どうも10YCです。

今回は8/4に配信した10YC Podcast#8の書き起こしを公開。
第8回は10YCの後 由輝をゲストに呼んでの開催です。

10YC Podcast #8 『好み』の違う僕らか、ひとつのモノを作るまで
話し手:後 由輝(10YC)、下田将太(10YC)、岡山史興(70seeds)

聴きながら読んでもいいし、聴けない人は書き起こしだけ読んでもいいね。
それではどうぞ!

過去の回はこちら >
#1「10年選手になる洋服とは?
#2「わかりやすいだけがデザインなのか?
#3「束縛しない。自由でいい。人見知り10YCのユーザーとの付き合い方。
#4 「作っているのは「服」じゃなくて「生活」。10YCが考える洋服の価値。
#5「キラープロダクトはなぜ生まれたか?
#6「“お金”と“暮らし”のはなし
#7「10年後、あの角のたばこ屋さんになりたい。

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下田「はい、今回も10YC Podcastを始めていきたいなと思います。10YCの下田です、よろしくお願いします。パーソナリティーの岡山さんです。引き続きよろしくお願いします。」

岡山「よろしくお願いします。」

下田「はい、ということでね、10YCのPodcastも、第7回(※正しくは8回目)ですかね、これで、はい。前回の左利きの加藤さんを呼んでの回がですね、無事終わりまして。今日からまたちょっと違う、第7回目からは違う感じでやっていきたいなと思うんですけども。」

岡山「はい、今日は誰がゲストなんでしたっけ。」

下田「そうですね、今日は初登場というところでですね、10YCのものづくりをね、基本的にやってくれてる、あんまりね、出してこなかったんですけど、ちょっと久しぶりに出てもらおうかなと。Podcastは初登場ということで、10YCの後くんです。よろしくお願いします。」

後「よろしくお願いします。10YCの後です。」

岡山「よろしくお願いします。」

後「お願いします。」

下田「お願いします。でね、10YCのものづくりっていうところの話は今まであんまりPodcastでは取り上げてこなかったので、どういう風にものを作ってるかとか、っていうところを今後、3回に分けてやっていけたらいいと思います。」

岡山「はい、お願いします。今回ものづくりの話ってことで、後さんに来てもらったんですけど、後さんて10YCでどういう立ち位置というか、役割をやっているんですか?」

後「そうですね、商品の開発のところと、あとは実際に販売する商品の作るところですね。お店に出すまでのところの管理とかをやらせてもらってます。」

岡山「なるほど。そしたら、だいたいもういつも10YCの商品は後チェックが入って初めて世に出るみたいな形なんですか?」

後「そうですね、最終的なチェックはメンバー全員でやるんですけども、ある程度その形になるまでの組み立てとかは僕の方でやっています。」

岡山「なるほど。これって後さんがもともと勤めてた頃にそういった役割をやってたから今もやってるっていう感じなんですか?」

後「や、全くそれは関係なくて。勤めていたときはいわゆる生産管理という、工場からお店に並ぶまでの工程を管理する業務だけをやっていたんですけども。僕自身の興味というか、『やりたい』、『面白い』と思えることが今やっているようなことだったので。自然とこのメンバーのなかでそういう役割分担になっていったのかなと思います。」

岡山「なるほど。下田さんがブランドを立ち上げるときに、後さんとの間でこう役割分担というのはスムーズにいったんですか?」

下田「たぶんね、そんなになかったと思うんですよね。イメージ、最初は二人で結構ものづくりしてたんですけど。二人で工場行ったりとか。途中から僕の方は僕の方で回らなくなっちゃって。こう二人で同じ行動してるとこれちょっとやばいな、みたいなところがありつつ。口頭で『ちょっと頼むわ』ってことはたぶん発してはいないと思うんですけど、自然と僕がフェイドアウトしていった、みたいな感じで『ものづくり頼むわ』みたいな感じの流れだった気がします、はい。」

岡山「そうなんですね。」

下田「はい。」

岡山「二人の、二人のというか、10YCはもともと三人で始まってると思うんですけど、作りたいものって、そんなに違和感なくというか、違いはなかったんですか?」

下田「あー全員のなかで、っていうことですよね?」

岡山「はい。」

下田「あー、どうなんですかね。結構細かいところでいうとあるんですかね。シルエットも全然たぶん三人とも違うシルエット着るし。今回のパンツがね、発売されたときのシルエットの話もありますけど、みんなそれぞれたぶん着てるシルエットとかも違うし、サイズ感も違うし、あったんでしょうね。でも『シンプルで』みたいなところはみんな同じような感じで思ってたので、そこは共通項として持ちながら、みたいなところだと思うんですけどね。」

岡山「なるほど。後さんもそんな感じだったんですか?」

後「そうですね。やっぱり細かいところは、それぞれ思うとこ違ったと思うんですけど、大まかなところで言うと、同じ方向性だったのかなと思うんで。はい。だからだいたい新商品作るときは最後にちょっとこう揉める、みたいなことが多いですね。最後の最後で(笑)

岡山「(笑)。もうほんとディテールのところでそれぞれちょっとぶつかる、みたいな」

後「ぶつかるっていうと表現がちょっと激しすぎるかもしれないですけど。うん、なかなか意見がまとまらない、みたいなのはあります。」

下田「うん、うん。」

岡山「大筋では同じようなことを考えてやってきた、っていうことですよね。」

後「そうですね、はい、はい、はい。」

岡山「一番最初、よく10YCの創業秘話みたいなところで語られる、根津さんが『なんでこんな…、おまえのとこで買ったやつペラペラだったんだけど』みたいな。」

下田「や、『おまえんとこ』じゃないです、『おまえんとこ』じゃ(笑)」

岡山「あ、『おまえんとこ』じゃない(笑)」

下田「あれは別の、ちょっと自分の晴れ着として、別のブランドで買ったTシャツの話で、そうそうそうそう、それを…」

岡山「同じ業界の人間として…」

下田「同じ業界の人間として『おまえらはそういう、いい値段する…』、人によっていい値段って違いますけど、『俺がいい値段として買った一張羅のTシャツが1回で洗っただけでヨレヨレになるっていうのはどういうことだ』と。『おまえらの業界は何を考えてやってるんだ』みたいなところの話が結構ありましたよね、はい。」

岡山「それを受けて二人とも『やっぱりこういうものを作りたい』っていう想いが芽生えた感じだったんですか?」

下田「えーどうなんですかね、あのときって。ちょっとあんまり思い出せないんだよ。『Tシャツ作ろうぜ』の方がすごく大きかったような気はするかな。僕と後は同じ会社にいて、後は後で『自分で』、てか『自分たちで何かやりたい』っていう想いがあるし、僕らも『やりたいな』と思ってる。そこの『別のことをやりたい』みたいなところが一番大きかったのかなっていう気はしながら、たまたま作れるものが出てきたんで、作り始めたみたいな感じですかね。」

岡山「なるほど。もうそこからずっと一貫して自分たちの欲しいものを作るっていうスタンスで来てるわけですよね。」

下田「そうですね、はい。」

岡山「『自分たちの欲しいもの』って言っても、結構、際限なくなりそうな気はしてて、なにかしらみんなのなかで『こういうものだよね』っていうフィルターがあったりはするんですか?」

下田「でもまだ言語化できてないような気はする。最近、結構その話になるんですよね。例えば、お客さんから結構『こういう物を作ってほしい』みたいな話も、インスタライブだったりとか、普通にDMだったりとか、あとポップアップに来てもらってるお客さんにも言われたりするんで。で、そういうものは、じゃあ自分たちが作りたいものじゃないから作らないのかとか、自分たちだけが欲しいものを作っていいのかみたいな話は、あるんですけど。フィルターとしては、結局自分たちは『好み』というか、あとは自分たちが成し遂げたい『概念』みたいなものに対していいか悪いかぐらい。あとはざらに言う『直観』ですよね。『今、直観的にこれだったらいいっしょ』みたいな感じで製作しちゃったりするんで。なかなか曖昧ではありますけどね。」

岡山「なるほど。後さんどうすか。」

後「そうですね、僕も直観的なところが、最初、ごく初動のところとしては一番大きい要素かなと思いますね。やっぱり自分たちでもまだ言語化できてないルールというか、骨子もまだ固まってないので。なんだろうな。そうですね、思いついたものからやっていってるみたいな感じですかね。」

岡山「パッと思いついたときに、3人が一致して『あっそれいいじゃん』ってなる瞬間もあるわけですか?」

下田「ありますね。どっちかっていうと確かに、誰かが『なんかやりたい』みたいなのに対して、っていう感じかな。『自分たちが作りたいもの』っていうのが『俺、これ作りたいわ』みたいなものから始まるかもしれないですね。それで結構、今言ったように、3人が『作りたい』って思うのか、『いいじゃん』って思うのか、みたいなのがあるかもしれないです、はい。」

岡山「なるほど。それが3人揃ったときに、『じゃあ、それ作るか』ってなるんですか。それとも3人揃ってなくても『おまえがやりたいならやってみる?』みたいな感じなのかっていうと、どうですか?」

下田「どうですかねぇ。」

後「そういうパターンも、あるとは思います」

岡山「ていうか最近だと、新しくデニム出たりして、デニムっていうのは、初めてボトムスの挑戦でもあって。結構勇気がいったのかな、って思ったりもしてたんですけど。」

下田「パンツとかは、たぶんみんな作りたいんですよね。やっぱり10YCとしてコーディネートしたい、みたいのは結構あるんで。Tシャツとかパンツとか、シャツとかは、もう言うこともなく『あい、やる?』『やる』『やりましょう』『作りたいです』みたいな。例えばちょっとディテールに近いですけど、例えば、ボタンダウンのシャツがあって、バンドカラーシャツを作りましょうみたいな話って、結構本当好みの話になってくるじゃないですか。で、好みの話になると結構みんなバラバラになっちゃうんですよね。『え?バンドカラーシャツ着るー?』みたいな。、大枠はみんな『それは作ったらもちろん俺も着たいし』みたいな話なんですけど、そっからディテールの変化が出てくると、結構個人の趣味的なところが反映されていくのかなっていう気はしますけどね。そうやって決めて来たわけじゃないですけど、今思い返してみると、そんな気はしないでもないですね。」

岡山「なるほどね。でもそうすると、作りたいものを作る楽しさと、自分たちが納得いくものを作る楽しさって、ちょっとまた変わってくるじゃないですか。なんとなくですけど。そこの間のところで、すごい絶妙なチョイスを続けてきてるのかなってふと思いました、今。」

下田「うんうん。」

岡山「だからなおさら、商品になる・ならないの基盤みたいなところって、10YCのみんながどう考えてやってるのか、すごい気になりますね。」

下田「うん、いや、最初のほうは結構ねぇ、たぶんガチガチだったんですよ。『新商品出すの、結構時間かける?』みたいな。『全員の承認が取れるまで頑張る』みたいな感じだったんです。最近はちょっと、誰かがもし、誰かがっていうのは自分たちのなかでですけど、必要とするとか欲しいものだったらとりあえず作ってみてもいいんじゃないのかな、みたいな感じにはなってきてるっていう感じですかね。」

岡山「それは、変わってきたのは何かきっかけがあるんですか?」

後「なんだろう、あるのかな。」

下田「あんまりないと思いますけど、自分たちのなかでもっと狭めずにやっていこう、みたいなのが結構、最初からだんだん『10YC丸くなってるよね』みたいな話ありますけど、やっぱそういうところはちょっとずつ、がんじがらめにするんじゃなくて、少しずつ柔軟に考えていこうよ、みたいな感じになってきてるのかもしれないですね。」

岡山「それ、後さんも感じます?」

後「そうですね、はい。まぁそうですね、最初のほうはどういうものを作るかっていうのも、どういう作り方をするのかっていうのも、自分らでポリシーをガチガチに固めてやろうと思ってたんですけど、やっぱりそれでは、発想の幅が狭まるというか。あまりにもやりたいことっていうか、楽しくできないようなジョブになりそうだったので、たぶんそれを自然と回避してきているのかなっていうのは思います。」

岡山「なるほど。」

後「はい。」

岡山「Tシャツでデビューしたあと、例えばもうTシャツ専業ブランドとしてやるみたいな道もあったかもしれないなぁと思ったけど、そうじゃなくっていろいろ広げていく方が楽しい、っていう。やってる自分たちが楽しいってことですか?」

後「それはもう、そうだと思いますね。」

岡山「うんうんうん。」

下田「わかんないですけど、例えば『Tシャツブランド』としていたほうが、もしかしたら刺さるブランドになったのかもしれないなぁとも、今思い返すと、たまに思ったりはするし、言われたりするんですけど。」

岡山「はい。」

下田「でも、それよりもやっぱり自分たちが作ったものに囲まれていたいみたいなほうが面白くもあり、楽しそうでもあったみたいな感じだと思うんですけどね。」

岡山「なるほど。」

下田「そう、ビジネスビジネスで、これだけに絞ってやっていこうとかじゃなくて、どっちかっていうと好奇心ベースで進んでいっちゃったみたいな、ビジネス的でいうと悪しきやり方かもしれないなぁと思ったりはしますけど。そんな感じで進んできたって感じですかね。」

岡山「なるほど、なるほど。」

下田「そうそう。」

岡山「だからこそ、楽しんでやり続けていられるってところもあるんですかねぇ。」

下田「そうですね。たぶん、それなりに楽しみながら過ごしてるんじゃないのかなとは思います、はい。」

岡山「うーん。」

下田「もしかして後は違うかもしれないですけど(笑)」

岡山「(笑)」

後「(笑)」

岡山「後さんは、楽しんでますか?」

後「そうですね、まぁ(笑)、まぁ、はい、楽しんでます(笑)」

岡山「(笑)」

後「でも確かに、最初はねぇ、Tシャツから始まって、Tシャツだけでやるっていう道も、もちろんあったんでしょうけど。そこは自然と、これはたぶん全員一致で、Tシャツだけでやっていくっていうのは考えてなかったと思いますね。確かに将来的な考え方はそこでは全然持ってなくて、作りたいものをどんどん作っていくと。」

岡山「うんうんうん。なるほど。その『作りたい』の支えというか、原動力になるものって何なんですか?『自分が着たい』なのか、それとも『こういうめっちゃいい素材があるから、それ使ってみたい』とかなのか。」

後「あー、でも素材から考えることはないですね。やっぱり自分が着たい、こういう場面で着るもので、こういうものがあったらいいな、から始まるのがすべてですね、ほぼ。」

岡山「なるほど。」

後「はい。」

岡山「で、その『あったらいいな』を形にするために、今度は逆に素材を探しにいくとかっていう。」

後「そうですね、そういう形ですね。作り方としては。」

岡山「なるほど。じゃあ、このあとは素材の話とか、いろんな生産者さんとの関わり方の話みたいなものを聞いていきたいなと思います。」

下田「はい。ちょっと、右往左往してましたけども。はい。ということで、ものづくり回は第1回、こんな感じでよろしいですかね。」

岡山「はい。」

下田「はい。じゃ引き続きよろしくお願いします。」

岡山「はい。ありがとうございました。」

下田「ありがとうございます。」

後「ありがとうございました。」

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