「彼女がその名を知らない鳥たち」


ずっと気になっていて、ようや〜く観ました。「彼女がその名を知らない鳥たち」!

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予告は何度も観ていたんだけど、不気味で不快感のあるものみたいだったのでなんとなく、メンタル爆強の時以外観れないな〜と思っていたのです…



だってキャッチコピーが「共感度ゼロ」「全員最低」。なかなか重たそうで覚悟がいるでしょ……


しかし!何故こうしてnoteを書いているかと言うと!




めっちゃくちゃ!!!!!!面白かったからです!!!!!!!!!!




信じられないかもしれないけど、観終わってむしろ爽やかな気持ちになった。

どういうこと?って感じだけど本当なの〜〜〜!



あ、ちなみに、”元気をもらった!明日からも頑張ろう!”みたいな爽やかでは全然ないです。マジで。




あえて言うなら、2時間感じ続けた違和感・気持ち悪さがラストに全部繋がってスッキリ、ですかね。



先でも語りましたが、私は事前に何度も予告を見ていたので、「多分こういう話なんだろうな」というのは自分の中で出来上がっていたんです。


その予告がこちら↓



常に薄化粧でくたびれた雰囲気の十和子(演:蒼井優)、

十和子を愛しすぎている、汚くて必死で惨めな陣治(演:阿部サダヲ)、

笑っちゃうくらい「正統派⭐︎不倫男」の看板を背負って登場してくる水島(演:松坂桃李)、

事あるごとに十和子の脳内に現れる忘れられない男、黒崎(演:竹之内豊)



うん、まあ、キャラクターはこんな感じかなって。


で、物語も”陣治の異常愛”がなんかやばい事を起こしちゃうんだろうなって感じで。

予告見たら、皆さんもこういう印象を抱くと思います。



そして実際に鑑賞開始して、冒頭10分くらいはイメージ通りでした。




というかまずは、これでもか!ってくらい蒼井優の女優としての能力を感じさせられます(笑)


一般的に”本格派女優”って言われてる人達って、地上波のドラマやバラエティ番組にはあまり出ないじゃないですか。


だから、意外とまともに蒼井優の演技を観たことは少なかったような気がします。




ちょっと脱線しますが、”本格派女優”って言葉、なんなんですか?(笑)


「主演にドーン!キラキラッ!」なビジュアルの華がない人たちにあてがわれている言葉が”本格派”なのか?って思ったこともあります。(これはメディアに対する嫌味)



だってそうじゃないですか?女優に本格派もおふざけ派もないでしょーよ。


かといって、やっぱり女優の演技を見ていて「本格派だなあ!」と感じる時もあるし「ふざけてんのか?」ってなることもあるし…。その2組を一緒くたに”女優”にされてしまうのはなんか悔しいものがあります(誰なの?)



私からしたら、顔はバカ可愛いが一向に演技が上達しない”自称女優”を”片手間派”と名付けてほしいです。



私は、女優としてその役に魂売るくらいの勢いでやっている人たちが好きだし、観てれば大体視聴者側も”そういう人たち”には気づいちゃうものなんです。


まあここでやいやい言っても仕方ないので!この辺で終わりにします。




で、話を戻しますが、

この作品は、まさしく”本格派”の蒼井優の演技力と表現力にぶん殴られます。



地上波で垂れ流すにはもったいないから”本格派”って言葉を借りて、舞台や劇場での活動を選んでるのかしら…と勝手に考察しておりました。



それくらいの十和子っぷり。(いや十和子の肉親の方?)




怠惰で口煩くて行儀は悪くて性欲は強い恋愛脳。


予告よりもしょ〜〜〜〜もない女に見えました。



でも何故か、十和子の一挙一動から目が話せないんですよね。

瞬きや口角の動き、ほっそい手首や、幸せな時に花が咲いたように笑う表情。


もうここまでくると蒼井優の魅力なのか、十和子の魅力なのかわかんないんですけども。



もしかしたら、陣治が十和子に執心してるのは、この私の気持ちと同じだったのかな?っていま振り返ると思います。




だって、ちょっとアレなお話ですけど、行為が場面としてたくさん出てくるんですよ。


先にも言いましたけど、十和子はだらしない女なので、ま〜〜何回も、男性とそういうシーンがあるんですね。


でもビックリなのが、その場面でも私が目で追っちゃうのは十和子なんです。


松坂桃李にも竹之内豊にも目もくれず、十和子を見ちゃうんですね…。


何故なのか。


とりあえず、蒼井優と十和子の魅力ということで片付けておいてください。





あとはまあ男性キャラへの嫌悪感。



なんなん。全員ゴミやん。ってシラけた目で見てました。



ここで怖いのは、十和子も十分それに匹敵するゴミ人間なのに、なんとなく「敵は男!」って思っちゃってる所ですよね。蒼井優、怖。完全に視聴者味方につけちゃってる。







そうこうしながら、キャラクターが出揃ったのが30分経過したあたりだったかな。




そのあたりから「あ〜もうわかっちゃったけど…ラストだけ観ておくか…」になると思います。


キャラも過去も先の展開もなんとなく分かったし、誰がどんな罪があるのかも大体想像ついたし、みたな。




でもね。そう思いながら1時間が経過。




なんっか言葉にできないような違和感があるのです。



思っている通りだけど、思っている通りじゃないような。


予想とは合ってるはずなのに、もう一つの物語があるような。



多分その違和感が、この作品が最後まで人を惹きつける魅力なんだと思います。




そして、ラスト20分かな。


そこからの展開が怒涛。







私は非常に浅はかでした。お恥ずかしいでございます。




鑑賞中にず〜〜〜っとあった違和感というか、作中に散りばめられている気持ち悪さが、少しずつ少しずつ解消されていくような…!




あの、身体が前のめりになるような感覚、めちゃくちゃワクワクしますよね。


多分最後の方はスキージャンパー?ってくらいに前傾姿勢で鑑賞していたと思います。





ネタバレは回避したいので、この辺で…。


あとはもう、見てくださいって感じです。



きっと後悔させないし、高クオリティの物語だったなってつくづく思いました。



あと今見返すと予告のBGMが不気味で気持ち悪くて、なかなか良い。




予告の中でのキャッチフレーズは「あなたはこれを愛と呼べるか」。


私は、愛ではない、かな、と思いました。


皆さんも、ご自身がどう感じるか、試してみてください。




以上、最後まで読んでいただきありがとうございました♪♪





注:今回の教訓【何回も予告を見てしまう作品はさっさと本編を観る。絶対後悔しない】