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12弦、ぢゃなく、10弦です←よくあるマチガイ

…まだまだ多弦はマイナーです(←そもそもこの先、メジャーになる時が来るのか?)──

──これまでにしばしば、親切な方が:

「この人はね、10弦ギターを弾いているんですよ!スゴイでしょ?」

と第三者にご紹介してくれます。それはそれでたいへんにありがたいことですが(スゴイかどうかは、さておきはしおき)……ちょっと困ることもあります──

10弦ギターって、まずその単語からして聞き慣れないものですので、よくあるあるが、

「え?ああ、12弦ですか、ふーん…」

と空耳されてまうことです──

ギター界隈では12弦ギターはわりと一般的なのです。ジョージ・ハリスンやイーグルスなどの著名なロックレジェンドのアーティストが弾いていたからですね。たとえば12弦ダブルネックのエレキギターソロが有名なイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」は、ロックファンだけでなく、広く一般に知られた名曲です。

──12弦ギターは下記画像のように、ふつうの6弦にそれぞれ細い弦をカップルにして12弦としているもので、二本のギターで同時に弾いているような豊かな響きが特徴です。ただし、左手は二本の弦を一本の指で押さえますが、これは実際、左指の感覚がおかしくて、すぐにパッとできるものではないですね。ネックの幅は5ミリほど広くなります(アコギ)。右手も、弦の位置と厚みが変わるので、やはりそれなりの習練が必要です。

12弦アコギのネック

12弦ギター属では、見かけはふつうの6弦と同じ(ヘッドはデカくなる)のアコギの12弦、ホテル・カリフォルニアで使われた6弦と12弦のダブルのネックになっているエレキギターが知られています。また12弦ベースもあるようです。複弦ではない12弦ギター(アコギ、ナイロン、エレキ)は見当たらない様子。なお、一本少ない11弦のクラシックギターはあります。

…12弦ギターを弾くといってもソロでやることはないようで、曲の中でそういうサウンドがほしいときに持ち替えて弾く、という使い方が主でしょうか──

 店にはエピフォンを始め、低価格帯の12弦ギター新品がよく入荷します。けど、小生的にはソレは鬼門です。入荷もさることながら、試奏させてほしいと来るとおもわず緊張が走ります…

──なんとなれば、とにかく複弦が切れやすいのですね───特に3弦の細い方の弦はことのほかに弱く、うっかりふつう気分でチューニングしてるとあっさりプチンといきます。入荷したときの検品でチューニングしていて切ることもざらです。切れたので交換してチューニング中にそれもまた切るというヘタを、慣れない頃はうったモンです笑。ですから、ものすごく慎重にペグを巻くことを心がけております────

────ダブルネックのギターも一時期立て続けに入ったことがありました。こいつには専用のケースがつかないのです。エピフォンで付いている場合もありましたが、通常はありません。通販で、念入りに梱包したつもりでしたが、遠距離だったせいか、お客様着荷時にネック折れが起きました。さいわい代替え品があって、”象が踏んでも壊れない”(昭和のサンスター筆箱のテレビCMのキャッチコピー)ぐらいに梱包を厳重にしました。

……こんな具合に、売るにも弾くにもやっかいなのが12弦ギターの実態であります。

 とまあ──そんなわけで、12弦に勝手に脳内変換されてまう10弦ギター、実物を見せない限り、ゼッタイにその人が真の10弦ギターを認知することは不可能な現状にあります──

トコロで。

 ずっと前になりますが──10弦ギターのライブを聴いてくれた知人が、「これ、10弦でやってよ」といわれたのが、イーグルスのデスペラードでした──ぢつはその時、その曲を知らなかったんです。それで、せっかくたのまれたからにゃあ、ピアノ譜かなんか探して編曲せにゃならんなあとおもったのです───

ところがなんと、なにげにすぐに、ギターソロアレンジ譜がウチにあることがわかりまして───それでさっそく弾いてみると…

…いやいや、なんですか、これは!メチャメチャいいぢゃないですか!6弦ギターではちょっとアレかもしれんけど、10弦で弾くとその響きが曲にピッタシ!

───とゆーわけでイッパツで気に入ってしまい、以来、ライブでは必ず入れるようになりました。有名な曲なので、こんなのデスペラードぢゃない!の物言いがつくかとおもってましたが、どこでも好評です。倍音が豊かな10弦のサウンドがよく生かされる曲だとおもいます。この曲を10弦で弾くと、10弦ギターはダイナミックレンジが広いのだと感じさせます。

だので、今回のおまけ動画はデスペの10弦ギターソロです。世界広しといえども、他に弾いた人が(いまんところ)見当たりません。視聴回数も少なく、この動画にまみえた貴方はきわめてラッキーなのかもしれませんゾ笑。

今回はフルコーラスではないので、またあらためてフルコーラスバージョンを録画するつもりです。

なお10弦ギターの音ってニュアンスが細かいので、パソコンのスピーカーではなく、オーディオ用のヘッドフォンで聴いた方が、その倍音サウンドがわかるかもしれません。


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