雑筆48 不愉快なニュース⑱ 亡国予算 闇に消えた特別会計

映画「マトリックス」の中に出てくる、「赤い薬と青い薬」。「赤い薬」を飲むと現実世界に行けますが、つらい人生が待っています。「青い薬」を飲むと、偽りの世界で楽に生きていけます。もし現実だったらどちらの薬を飲むのか、かなり迷います。映画では、赤い薬を飲んだ人が、以前の偽りの世界に戻るために、仲間を裏切りました。旧約聖書の「出エジプト記」は、 エジプトに居留したイスラエル人がモーセに率いられて、圧政のエジプトから脱出し、シナイ山に至るまでの話です。人びとの中には奴隷的な状態のままであっても食べ物の心配もなかったしエジプトにいた方がよかったと不平をもらす者もいました。結局、モーセたちは、カナンの地を求めて40年も彷徨いました。食べ物は神様が「マナ」を与えてくれました。けれども、かなり辛い旅です。人は目の前の苦しみを回避したいという気持ちになります。この旅が、今のイスラエルとパレスチナの問題につながっています。私は神様が約束したカナンの地は、本当はアメリカのような気がしています。
「赤い薬と青い薬」の私のイメージは、ニワトリを選択するか、スズメを選択するかの違いだと感じています。ニワトリならば、毎日の食事や外敵の心配をしなくても済みます。雨にも濡れないで快適な環境の中で生活できます。ただし狭いゲージの中で生活ですし、病気が出れば殺処分にされます。毎日卵を産む以外の生き方は選択できません。スズメならば、食べ物がなくて空腹の日や、カラスに襲われる心配しながらの生活になります。雪の寒い日や夏の猛暑の中でも生きていきます。でもどこに飛んでいくかは自分で決められます。平穏無事な家畜でいるか、艱難辛苦の野生でいるかの選択です。私には、ひもじくても空を自由に飛べるのは素晴らしいことのように思えます。
 
「特別会計」に関しての本を探しました。ようやく「亡国予算 闇に消えた特別会計」北沢栄著、(株)実業之日本社を見つけました。この本の発行は2009年です。現在までに「特別会計」に関する書籍が、私が捜した範囲ではほとんど出版されていません。そんな中でマスコミの報道だけを信頼するのは、「青い薬」を飲み続けることです。インターネットが無い時代では、情報統制は簡単でした。今の時代は、ネットの中にいろいろな情報があります。それを探して考えることは「赤い薬」を飲むことに繋がります。それが証拠に、マスコミの報道では「特別会計」の内容はほとんど伝えられませんし、ましてや、日本のことを考えて命を懸けた国会議員の石井紘基氏に関して報道することはありません。最近はYouTubeでは、政府などに都合の悪い投稿は直ぐに削除されますが、それでもすべてのネット情報を統制することは現在では無理です。若い人ほどネット情報に敏感です。多面的な見方ができます。高齢者ほど、新聞テレビが伝える情報の中だけで生きています。
 
亡国予算 闇に消えた「特別会計」 北沢栄著 : 2009年の本ですので、データはその当時のものですから、現在とは少し違うと思いますが、共通する問題点を抜粋してみます。ただし、私は財政には詳しくないので、難しい内容も多いですので、理解不足でおかしなところもあるとは思いますが、ごく一部を出来るだけ簡単に要約します。
 
・はしがき ようやくスポットライトが浴びせられた「闇会計」 : 上田清司委員(当時)の「日本国の本当の財布は特別会計だ。こういうのにメスを入れない限り、この国はよくならない。大臣所見はいかがでしょうか」の質問に、塩川大臣は「要するに母屋(一般会計)ではおかゆを食べて、辛抱しようとけちけち節約しているのに、離れ座敷(特別会計)で、子供がすき焼きを食べている。そういう状態が実際行われているのです」
 
・序章 浮上してきた「特別会計」問題-官僚の意のままに使われる国家予算 : 特別会計とは官製事業の「資金源」 「独立行政法人」の独立は有名無実のシロモノ。特別会計が官製事業の「資金源」なら独立法人は「実行部隊」。省庁が特別会計から資金を供給し、天下り先の独立行政法人や特殊法人に事業をゆだねる。そして、さらに天下り先の公立法人や関連企業に随意契約して、補助金や委託契約金を独占させる。国民の税金や保険料で集めた特別会計のお金が、天下り確保の資金源になっている
 
第1章 国民の目から隠された特別会計の全貌-戦前に創設された特別会計が現在もなお存続する理由 : 特別会計の予算規模は一般会計の5倍。日本国の2008年度予算は、歳入ベースで一般会計は総額が83.1兆円。特別会計は394.3兆円。歳出ベースで、83.1兆円、特別会計で368.4兆円。08年ベースで見ると、特別会計の予算規模は歳入ベースで一般会計の4.7倍あまり。歳出ベースで4.4倍あまり。ところが、一般会計と特別会計の間で資金が重複掲示用されているため、国の財政規模の本当の姿を知るには、重複を除いた純計ベースでみる必要がある。純計ベースで08年の国の予算は、一般会計と特別会計を合わせて、歳入で236.6兆円、歳出で212.6兆円になる。これが日本の国家予算になる。内訳は、一般会計の歳入純計が、81.0兆円。特別会計が、155.6兆円。歳出純計が一般会計34.2兆円、特別会計が178.3兆円になる。特別会計の資金規模は、歳出純計だと、一般会計の5.2倍に膨れ上がる
 
第2章 特別扱いを受け続ける特別会計の実態-「官」が自由自在に操る魑魅魍魎の世界 : 特別会計に従属する一般会計。法律上は一般会計と特別会計は同格だが、実際は超マンモス会計の特別会計に、火の車の一般会計から毎年50兆円近くも繰り入れられている。あたかも、「特別会計が主、一般会計が従」の倒錯した状況と化している。
 
第3章 特別会計のムダ-損失の大穴は税金で補填、官製事業を支える幽霊会計 : 特別会計に従属する一般会計。財務省の修正か意図的なのかわからないが、予算ベースの財務資料に偏って発表される弊害は大きい。最大の弊害は、特別会計の予算が具体的に何に、どのように使われたかが、皆目わからないこと。予算ベースでの無発表からは、初めから除外されてしまうデータもある。その典型例が、各特別会計から出資や補助金、委託費支出の詳細である。例えば、各特会から出資している法人名、出資金、補助金、交付金、委託費などの句大的な内容が、官庁から公表されることはまずない
 
第4章 国民の前に明らかにする「究極の制度改革」-埋蔵金は毎年10兆円を掘り出せる金脈 : 主要国の会計には、日本の特別会計のようなシステムはない。
①米国の会計方式。米国の会計に特別会計はない。米国民はだれでも米連邦政府の予算を調べようと思えば、ネットでホワイトハウスにアクセスし「大統領予算教書」に始まり、各項目を一覧して全体像をつかむことができる。米国の会計は「統合予算」と呼ばれ、一般目的のため連邦政府の所有に係る資金を管理する「連邦資金」と社会保険などの特定プログラムを遂行するための会場として設置され、連邦政府に信託される資金を経理する「信託基金」からなる。2006年度大統領予算案によれば、「連邦資金」と「信託基金」の比率は、ほぼ2対1である。
②英国の予算方式。英国の予算は、「統合国庫資金」と「国家貸付基金」からなる。前者は租税などを財源に経常的支出を賄うもので、日本の一般会計に相当する。後者は財政資金などの貸付、国債発行と償還を経理するもので、日本の財政投融資特会と国債整理基金特会にほぼ相当する。前者と後者の歳出比率は、2003年度決算でおよそ5対1である。日本の会計制度より複雑でなく分かりやすい。
③ドイツの予算方式。ドイツの予算は、「総予算」と「個別予算」からなる。一般会計、特別会計の区分はない。総予算は、予算一覧、資金調達一覧、信用資金計画で構成され、全ての収入と支出を連邦予算に計上するのが原則とされる。個別予算は、各省庁別の歳入歳出を示す。予算の全体像が把握できる一覧性において、日本より優れている。
④フランスの予算方式。フランスの予算は、日本の一般会計に相当する「一般予算」と「特別勘定」および「付属予算」からなる。後者は、特定の歳入をもって、特定の歳出に直接充てるとされ、日本の特別会計にほぼ相当する。ただし、日本とは逆に一般予算の全体の歳出に占める比率は大きく、おおむね6割を占める。フランスの会計制度は日本の会計制度に似ているところがあるが、予算額などで「一般会計が主」になっている点が大きく異なる
欧米の主要4カ国はいずれも一般的な会計と分けて経理する資金を持つとはいえ、予算の中心はあくまでも「一般会計」なのである。日本のように「国の会計を分って一般会計及び特別会計とする」として対等に並立させている国はない。しかも財政規模で特別会計が歳出ベースで一般会計の実質5倍に上がるいびつな会計は他国に類を見ない
 
・あとがき : 「失われた10年」と言われてから、さらに10年が過ぎようとしている。この゜ほぼ20年にもわたって、日本は迷走した。閉塞感はいつまで続くのだろうか。この本の出版は2009年です。そこからさらに「失われた30年」と言われ、さらに2024年まで続いています。本書のデータは、2009年当時のものですが、専門家ではないので詳細までは分かりませんが、当時と比べて「特別会計」の金額はさらに増えていますし、「特別会計」の構造はほとんどそのまま維持され、官僚の「特殊法人」や「関連会社」への天下り体質は一向に改まる気配はありません。
 
・ネットで「特別会計」に関する本を探していると、ようやく3冊見つけました。①「日本が自滅する日。官制経済体制」が国民のお金を食い尽くす! – 2016/9/12。②「日本を喰いつくす寄生虫―特殊法人・公益法人を全廃せよ! 」– 2001/11/1。③「だれも知らない日本国の裏帳簿 」– 2002/1/22です。いずれも、著者は石井 紘基(いしい こうき)氏です。石井氏は、2002年〈平成14年〉10月25日に暗殺されています。「日本が自滅する日」はオンデマンド版で再販されています。それ以外の本は絶版になっています。中古ではとんでもなく高価です。
日本が自滅する日」の紹介文は、小泉首相が進めている構造改革で本当に日本は再生できるのか。7年も前から構造改革の必要性を直言してきた衆議院議員である著者が調べあげた事実を基に検証する。日本の「経済」は極端にいえば、国と地方と合せて、国民の税金と貯金、年金、保険積立金など350兆円を上から流し込んで消費しているだけのものだ。つまり、市場特有の拡大再生産機能によって生み出される果実はないに等しい。“市場”が死亡状態となり、借金が借金を呼ぶ財政破綻構造に陥っている。積もり積もったほんとうの借金額は1000兆円を超えている日本再生の鍵は国家体制を官制経済から市場経済に移行させることである。小泉首相は構造改革を経済政策や金融政策と混同していると批判し、著者渾身の真の構造改革のための25のプログラムを提示する。日本を破産させる利権システムの全貌を踏まえた提言には、著者の日本再生への思いがこもっている。
2023年2024年のカスタマーレビューは高評価です。一部紹介します。「30年もの永きに渡りこの国の思考回路が停止いたままで衰退の一路を辿ってきたのか、国民各位はもっと知るべきでした。想像以上に腐りきっています。消された訳が良く分かりました。」「20年以上前に石井紘基は渾身の怒りをあらわしこの本を書いた。その為に、反対勢力の手先に暗殺された。特殊法人、特別会計の問題については、その後改革があったとされるが、組織の名前を変えただけで、今も何も変わってはいない。国債頼りの歳入で、無駄遣いをしまくる政治は以前にもまして劣化し続けている」。レビューを見ると現代でも読まれていることを嬉しく思います。石井 紘基氏以外に今に至るまで「特別会計」を糾弾した政治家は誰もいません。「特別会計」に関する書籍もほとんど出版されていません。誰もが命の危険は冒したくないですから。元明石市長と衆議院議員の泉房雄氏は、Xに「我が恩師『石井紘基さん』は、日本の裏側の不正を追及しようとし、殺された。そして、真相は今も闇に葬られたままになっている。殺される直前、石井さんは手紙にこう記している。『こんな国のために身を呈する必要なんてあるのかな、との自問自答なきにしもあらずです』と。この国の闇は今も深い・・・」と投稿しています。
私には、石井紘基氏が、西郷隆盛のイメージと重なります。明治維新の英雄でありながら、政府の腐敗した体質を批判し政府の要職を辞任し、鹿児島に帰り、日本のために将来の、若者の教育を行う私塾を作りました。政府の策謀で国と戦うことになってしまい、戦死しました。戦後は賊軍としての扱いでしたが、その後、西郷の人柄を愛した明治天皇の意向や黒田清隆らの努力があって、大赦で赦され、正三位を追贈されました。上野に銅像も建ち、今でも国民に愛されている存在です。石井紘基氏の思いは、必ず後世に伝えられ、いつの日か石井紘基氏が望んでいたような日本になることを信じたいです。
 
・政府は、一般会計の歳出総額が112兆700億円となる来年度の予算案を閣議決定しました。少子化対策や防衛力強化などが予算の巨大化に拍車をかけています。 一般会計の歳出総額は、過去最大だった前年度の当初予算より2兆3095億円減ったものの、2年連続の110兆円台となる112兆円717億円です。児童手当の拡充や高齢化への対応などで社会保障費は前の年度より8506億円多い37兆7193億円、防衛装備品の充実などで防衛費は1兆1277億円多い7兆9496億円といずれも過去最大です。 また、金利の上昇によって国債の返済などに充てる国債費も過去最大の27兆90億円が計上されました。 一方、歳入では、定率減税などの影響で税収は前年度とほぼ同じ69兆6080億円にとどまり、財政健全化への道は厳しいままです。財務省も政府もマスコミも「一般会計」のことは報道しますが「特別会計」のことは報道しません。そもそも信用出来ません。国民は財務省に騙されています。
昨年の日本国の本当の税収は、特別会計と一般会計を合わせると約389.5兆円、ここから特別会計と一般会計の重複計上を除いた純税収は約197.0兆円もの多額の税収が有る。 だが、その半分の約100兆円の税金は『独立行政法人』へ流れ、その管理運営費用に、そして天下りした元官僚の給与として支払われている。 だから、その『独立行政法人』を統廃合して、浮いた税金を防衛予算や少子高齢化対策等の社会保障予算に回すべき「底の抜けたバケツ状態」で増税しても無駄、既得権益や上級国民の為の増税になっています
 
・国会が開催中です。与野党が対決している風を装いますが、所詮、シナリオがある茶番の三文芝居です。国民にやっている感を見せているだけです。政治家は自分たちの利権にしか興味ありません。国民のことなど髪の毛一本ほども考えていません。本当に討論するなら予算で「特別会計」のことを審議してください。どうせ与野党とも甘い汁を吸っているのでしょう。「特別会計を一般会計にまとめる」「特殊法人の民営化」「トリガー条項の発動」「消費税減税」「政党助成金の廃止もしくは政治献金の廃止」「連座制の法案」など、審議する必要があることは山積みです。政府は都合の悪いことは伝えません。例えば、岸田首相が海外にばらまいている30兆円の予算はどこから出ているのか。コロナ対策費に100兆円かかったと言われているがどのように使われているのか。いずれもはっきりしません。全て国民の負担になっているはずです。
 
元財務官僚の高橋洋一氏は、「財源は50兆円もある。過去2年分の補正予算からの税収の上振れと、今年度の予想できる上振れ。また、過年度分の経済対策の余り。それに外為特会を合わせると50兆円ぐらいです。外為特会だけで含み益が30兆円ほどあります。円安だと法人税収も所得税収も上がるし、徐々に物価も上がっているので、消費税収も上がります。税収増と持っている含み益だけで50兆円です。なぜ、これを吐き出さないのか不思議ですね。政府が外国為替相場市場で円売り・外貨買い介入を行うための特別会計。財務省が管理している。 ドル高・円安になると、外貨を円に換算すると、ドーンと額が増えます。かなりの余裕資産ができるわけです。2022年から円安傾向が強まり、2023年には1ドル=140円台になって、日本は為替差益でボロ儲けしているはずです。 にもかかわらず、財務省は明確な「儲け」は発表しません。外為特会でドルや米国債がどれだけの割合を占めるかも表には出しません。」
財務省がバランスシートを説明したがらないのは、本当のことがバレたら困るからです。財政再建路線は根拠を失い、増税は困難になります。豊富な資産があることに気付かれ、積極財政派の政治家につけ込まれると、怖がっているはずです。政治家に、「外為特会でこれだけ捻出できますよ」と知恵をつけると、「それを出せ」と言われるから困るわけです。いわゆる〝埋蔵金〟です。 どうやって反論しようかと、財務省はただ頭を悩ませています。「すぐに現金化できません」とか、言い訳ばかりしています。 言い訳をしないで、国民を富ませるために活用する方策を考えるのが、本来の国家エリートのはずです。これではせっかくの優秀な頭脳も退化してしまいます。日本の不幸です。」と発言しています。財務省の望みは、官僚を豊かにして、庶民を貧しくすることです。

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