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夏ノ鎖*感想

※18禁ゲームのレビューとなります。直接的な表現はありませんが念のため注意喚起しておきます。
※作品のネタバレを含みますのでご注意ください。

夏ノ鎖との出会い

『フラテルニテ』の感想でも書きましたが、とあるYouTubeの動画で『フラテルニテ』購入を決意したことがきっかけです。
FANZAのセールで『フラテルニテ』を購入する際に、同チャンネルにてサクっと遊べるCLOCKUP作品として紹介されていたので一緒に購入しました。

『フラテルニテ』完走後に『夏ノ鎖』をプレイしました。
それまでじっとりしすぎて悪臭を放つようなゲームをプレイしていたため、比較的爽やかな気持ちでプレイしましたが、こちらもじっとりじめじめ系のシナリオです。

”あの夏”を思い出す青臭いストーリー

バイオリン教室に行くためにバスを待つ美月

高校1年生の主人公とヒロイン・白井美月の関係は”中学の頃の同級生”。
特に接点はなく本当にただ、たまたま同じ学校に通っていただけの同級生です。
主人公からみた美月は、徹底して交わらない存在として描かれています。
”地元民”の主人公と、”ニュータウン”に住む美月。
とにかく毎日がつまらない主人公と、バイオリニストの夢を一生懸命追いかける美月。
幼く卑劣な主人公と、聡明で芯がありまっすぐな美月。
主人公は「退屈な日々から自分を解放する計画」として、台風の日に美月を攫い隠された地下に監禁し凌辱の限りを尽くします。
主人公が美月を選んだ理由は「この計画に相応しい」からとト書きで書かれているものの、自分にないものを持っている美月を自分のものにしたいという強い意志が感じられます。
計画を実行したきっかけは「美月を監禁したい」「美月を凌辱したい」ではないかもしれませんが、美月に主人公が特別な感情を抱いているからこそ計画を実行したと思います。

また、主人公のことを幼いと書きましたが、本当にとにかく幼い思考の持ち主です。
高校一年生ですがいっちょ前に世の中のことを分かってる風で、家族も同級生も基本的に見下しています。
自分は冷酷で、知的で、だれにもできないことが実行できて、高次元の存在であると思っているようなト書きが常に続きます。
実際は計画に使う道具と監禁場所は祖父のものであり、主人公はスネかじりイキり犯罪者くんです。
この主人公のやることは決してよくないことなのですが、この年頃独特の全能感や痛々しさを堪能できる作品となっています。
夏の似合う作品ですね。

5つのエンディング

本作のエンディングは5つあります。
私は主人公の暴走に付き合ってたら一番最初はBAD ENDにたどり着きました。
BAD END以外は鑑賞モードに名前が出ていたのでそれに合わせて記載します。

BAD END

共通ルートではわざと美月を逃がして希望を持たせたあと、折檻し心をバッキバキにしちゃおうという計画を実施します。
その折檻をやりすぎてしまうと美月が死んでしまい、BAD ENDになります。
主人公は本を読んでいるので人体のことは理解できており、死ぬかどうかのギリギリを攻めるんだ。奴隷を管理するのも仕事だとイキっているのですが、大丈夫だろうと思ってやってたら普通に殺してしまいます。
それに動揺し、これからどうしたらいいかわからなくなった主人公は勢いで自死。
実況見分にて監禁部屋がバレて、美月も計画ノートも見つかって終わりというエンディングです。
このエンディングで印象的だったのは、主人公が「あいつが死ななければ」という他責すぎる怒りを感じていたことですね。
自信過剰ゆえ、自分の失敗を受け止めきれなかったのでしょうか。

通常エンド

BAD ENDを回避した後、主人公は美月に引き続き凌辱の限りを尽くすのですが、ちょっと奴隷としていい感じになってきたなと浮かれます。
そこでそろそろ完全に従属させようと思い、その小道具として美月が発表会で着ていたドレス(=夢の象徴)を美月の家から盗み出そうと計画。
なんとも大胆な計画ですが、主人公は調子乗っていて俺TUEEEモードなのでしっかり実行。
盗み出したところまではよかったのですが、敷地から出るときに正面の門から出たため美月の父親が帰ってきたところに鉢合わせしてしまいます。
捕まりたくないので大雨の中必死に逃げ回るのですが、逃げながらなんでこんなことになったのかとグルグル考えます。
その中で一瞬”自業自得じゃないか”と頭をよぎりますがそれを振り切り、途中で逃げ込んだ小屋で一夜を明かしたため風邪をひいた主人公。
監禁部屋に戻ってすぐ主人公は倒れてしまい、美月に看病されます。
看病されている間の美月との会話で美月が自分のものになっていない、美月は美月の世界にまだいることを知り主人公は美月を逃がしました。
その後、事態が発覚した後に周りの人間から軽蔑されることを想像して絶望し自死を試みますが、失敗し逮捕。
罪を償って1人の前科者として生きていくという、綺麗にまとまったエンディングです。
このエンディングの好きなところは、更生の末主人公は”普通の人間”になることですね。
しっかりと”あの夏の終わり”を感じられてよかったと思います。

愛玩エンド

美月のバイオリンを破壊して心もバッキバキにすることに成功した主人公。
俺にできないことは何もないと、全能感を加速させて「邪魔な父親を消そう」「女を増やそう」「俺だけの王国を作ろう」など考える主人公を見守って終わりとなります。
個人的には印象の薄いエンディングです。

隷従エンド

愛玩エンドとは違い、こちらではバイオリンを壊しません。
バイオリンは壊しませんが、美月の捜索を打ち切ったニュースを聞かせて絶望させ、心は壊します。
主人公は大満足。
なんたって美月を監禁して言いなりのお人形にしたことで満ち足りた人生になり、クラスメイトとの関係も上手くいって成績もアップしてモテモテになって順風満帆!
ですが美月は身体が弱っているような描写があり、幸せな生活は長く続かなそうな雰囲気で終わります。
その儚さに少し心惹かれるエンディングでした。

未遂エンド

上記4つのエンディングを見た後、最初から始めると美月を誘拐するシーンで今まで出なかった「誘拐を躊躇う」選択肢が出ます。
それを選ぶと誘拐は未遂に終わり、主人公と美月はそのまま交わらない人生を歩み同窓会で再会。
再開した美月は主人公のパーソナルなことを覚えてはいないようでしたが、誘拐をしようとした際に少し顔を合わせたことを覚えており「あの時傘を貸してくれようとした人」と言って少し世間話をすることができます。
そして美月が友達に呼ばれて会話は終了。もう二度と二人の人生は交わらないんだろうなという感じでエンディングムービーへ。
この後主人公は美月への強いあこがれを心の隅にしまって、人並みに生きていくことでしょう。
それが一番いいと思います。。。

最後に

しばらくあまりこういったタイプの作品に触れてこなかったので、ガツンと効きました。
不完全なものを愛するのには賛否両論あると思いますが、やはり未熟な思春期の少年(少女)が間違ったり悩んだりする様子はいいですね。
とはいえそう思えるようになったのも大人になったからなのかなと思います。
過去にエウレカセブンを最後まで見返そうと何度かチャレンジして、その度にレントンが家出するあたりで挫折していたのですが、今ならレントンの全てを受け入れて最後まで観れそうな気がしてきました。
ちゃんとアニメを完走して、映画のANEMONEを観たいんですよね。
(放送当時時々観てたが、全部は観れず飛び飛びの知識しかない)
とはいえしばらくは積み18禁ゲームと積み前期アニメと仮面ライダー龍騎でちょっと手一杯な感じですが、落ち着いたらもう一度チャレンジしてみたいです。


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