気持ちが分かればいいわけではない
人の気持ちが分かるのはよいこととされている。でも本当にそうだろうか?
確かにあまりに無神経なのはよくない。だが、なんでもかんでも気持ちが分かられるのは気持ち悪い。
こんなことがあった。小学生の頃、私には不登校の友達がいた。卒業式の日、私はその友達にどうしても卒業式に出てもらいたかった。
「あなたは逃げてるよ。」と私は言った。
するとその友達は
「あなたに私の気持ちなんて分からない。」と言った。
私は「分かるよ!」と言った。
今でも鮮明に覚えている。
私は何年かその友達の気持ちが分かるなんて軽々しく言うものではないと後悔した。
今、そのことを振り返ると、気持ちが分かる分からないとは別にその友達は最初から誰にも自分の気持ちを分かられたくはなかったのではないかと思った。
人間はどこかで、私の気持ちなんて分かってくれない、と優越感に浸っていたいところがあるのではないだろうか。
だから人の気持ちは分からないと心に留めると同時に人の心の領域に入りこまないで、やや鈍感でいることが大切なのではないかと思った。