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日本語配列 自作キーボードの作成

はじめに

 自作キーボードの作成をしていてやっと形になったため、備忘録を兼ねてここに記事を書いておきます。

カスタムされた市販品が圧倒的に少ない日本語配列キーボードこそ、自作をお勧めするべきであるはずなのに、自作キーボード界隈では日本語配列関連の情報が圧倒的に少なく、これはある意味闇なのではないかと感じたのが、この記事を執筆した理由です。
なお、こちらもアマチュアなので、間違っている点等ございましたら生暖かい目で見ていただければ幸いです。アドバイスはありがたいですが、素人質問等はご遠慮ください。

日本語キーボードを自作したいと思われている人の一助となることを。

可能なら自作キーボードは作らない方が良い

 いきなり何を言っているのかと思いますが、自作キーボードを作りたいと思う人であれば、現状のキーボードに何らかの不満を抱えていることかと思います。
 正直自作キーボードを作成するにはハンダ付け作業やら、キーアサインの設定作業やら、やらないと、覚えないといけないことが沢山あります。しかも商品ではないため、誰も教えたりサポートしたりはしてくれません。
 自作パソコンと違う点は、挿せるところに挿せばよい訳でなく、パーツ構成が確定しているだけなので、自分でレイアウトを決めてパーツを配置し、それにあったプログラムを書き込まねばならず、正解が無い点につきます。
 最終的に、どのくらいの費用がかかるかはパーツ次第のこともありますが、ほとんどの場合、市販のものを買った方が安く済みます。
少しくらいの不満であれば、市販品で我慢するに越したことはありません。

以下の方は、自作キーボードより市販キーボードを探した方が良いと思われます。

・英字配列のものが良い方。
・日本語配列でも、フルサイズや10キーレスで良い方。
・無線キーボードでないと嫌な方。

特にメカニカルの英字キーボードは、意識高い系の人が買って、まともに使いこなせずに売りに出すケースが多い模様で、沢山の新古品がメルカリ等にあふれています。いろんなものが安価に試せますので、おススメです。
逆に日本語配列のメカニカルキーボードはUS配列と比較すると、全然出品されていないんですよね…。闇が深い…。

また、無線についてはまぁ絶望的です。2.4GHzはメーカー独自なので製品自体が少ないです。なお技適なんかあるわけない。また、Bluetoothは遅延が酷いですし、無線にしてもバッテリーどうすんのよ問題もあります。できなくはないですが、市販の製品を買った方が百万倍マシでしょう。

よって、
60%~75%キーボードでお好みの日本語配列を行いたい。
分からないことがあっても自分で何とかする。
有線キーボードで問題ない。
市販キーボードより高くなっても泣かない。

以上を踏まえてもまだ、自作キーボードを作ってみたいなら・・・。

自作キーボードの世界へようこそ。

実際作ったキーボードの紹介

ということで今回このようなキーボードを作成しました。

60%の日本語配列(カーソル付き)キーボード

コンセプト

 コンセプトとしてはMinila-Airの日本語版をその時点での最高のキーボードと思っていましたが、以下の点を不満に感じていたからそれを解消するのが目的でした。

なんで後継もこの配列のままにしてくれなかったのだろう…。
  • Bluetooth専用機のため、チャタリングや遅延が酷い。

  • ホワイトがない。US版には存在するホワイトが、日本語版がいつになっても出ませんでした。ツイッターで何度も担当者にお願いしたのに…。

  • Ctrl+Alt+Deleteが片手で押せない。

  • 右Shiftが1Uのため、たびたび誤爆する。

  • 2.4GHz及び有線対応した後継のMinila-Rの配列がひどすぎた。

  • 後からHHKB Professional HYBRID Type-S 日本語配列が出たが、下段左右に微妙な隙間があってカスタムしづらい。あと約3万7千円と高い。

ということで、こんなことを企みました。

こだわりポイントと妥協ポイント

〇 一番右下をCtrlとし、カーソルを1つ左にずらした。
〇 右Shiftは1Uでは小さく誤爆するので、2Uにした。
 ➡ ✖ 結果 ”_” アンダーバー のキーが置けなくなったので、Fn+↑ とした。
〇 変換・無変換キーは、左右ALTの押し方で対応とした。
 (ポン押しで左ALTは変換、右ALTは無変換、長押しでALT動作)
〇 同様にWinキーは左Fn、かな/カナは右Fnの押し方で対応。
〇 右Fn+WASDでマウス移動。右Fn+QRを左右クリックとした。

キーマップ等は別記事で紹介予定
なお使っていくうちにいろいろ改良や修正するはず。沼だ…。

※キーボードのキーの大きさをUと表現します。一番小さいキーを1Uとし、右に長くなる分を倍数で1.25Uとか、1.5Uなどと表現します。

使ったパーツ

※ほぼAliexpressでの購入となります。
PCB(基盤)    :XD60 Ver3.0               約4000円
プレート        :Poker互換 2U SHIFT プレート        約2000円
ケース    :Poker互換アルマイトアルミケース       約8000円
キースイッチ :Cherry互換銀軸(70個購入)           約5000円
その他スタビライザーUSBケーブル等             約1000円
キーキャップ  :いろいろごちゃまぜ(詳細は別記事)     ???円

キーキャップにこだわらなければ、1万円以下で揃いそうなので、材料費は約3万円です。なお、今回のケースはいいものなので、安物であればここから5000円は減らせるでしょう。
そこにハンダごてやニッパーなど、工具が必要となります。
(3万円もあれば超高級キーボードが買えますよ。それでもやりますか?)

各パーツの選び方(というかこう選んだ)

PCB(基盤)

PCBの選び方については、以下の点に注意してください。

①ホットスワップではなく配列が選択できること。
残念ながら、日本語配列のキーボード用(というか、ISO配列)のホットスワップのPCBは恐らく売られていません。(売っていたら教えてください)
ハンダするなんて大変だと思われますが、Youtubeを見て参考にするなりで、まったく初めての自分でもなんとかなりましたので、ここは頑張って  or あきらめてください。

それでも不安な方は、お金を払ってもよければ遊舎工房のハンダ付け講習サービスなどをお勧めします。

②QMK Configuratorに登録があること。

ここの KEYBOARD 覧に載っていればOK

ノンプログラミングで作成するには、QMK Configurator の利用が便利です。
メジャーなPCBはほぼ登録があると思いますが、念のため確認を。
QMK Configurator の操作については別記事で。

③PCBの説明文の配列について、自分がやりたい配列が実現できること

XD60/XD64 のレイアウト説明文の例。
60%キーボードなので、縦5列となりますが、1列目は右上の紫部分が1個の2U
もしくは2個の1Uのキーとして作れます。2-3段目は水色部分を3パターンから、
4段目は点線の中、5段目はその下の各行のいずれか選択可能となっています。
囲いのあるパターンを今回のキーボードでは選択しました。

以上の判断により、今回はXD60を選択しました。当時はDZ60が正義な感じでしたが、DZ60では右SHIFTが右から1+2Uがダメで、1.75+1Uしか選択できなそうだったため、除外しました。(上記図でオレンジしか書いてなかった)

プレート

 プレートはキーの位置の固定のための金属板です。
プレートについては必須ではありませんが、基盤のハンダとプレートの抑えを2か所でとることにより、キーの位置がきれいに揃います。キーを押した際にキー自体が斜め方向にずれたり、ぶれないようにあった方が良いです。左SHIFTキーが一般的には2.25Uとなりますが、今回は2Uになったため、2Uプレートを購入しました。
また、このプレートでも配列に制限がありますので注意して下さい。
(なお、電子部品ではないので、切って加工してしまえばOKです)

ケース

 60%キーボードの場合は殆どPoker互換になるかと思います。見た目と値段で選んでください。
逆に75%などであればPCBにあったものが売っていると思いますので、専用のものになると思われます。

キースイッチ

 自作キーボードを作りたいという人には釈迦に説法かと思いますが、
キーの押した際の感覚がこちらによって変わります。
基本的にフィーリングで選びます。
薄型等の変わったものでなければ、Cherry互換のものを選ぶ形となります。
こだわるのであれば、実際に遊舎工房などで実際に触ってみて確認するのが良いかと思われます。地方在住などで出向くのが難しい場合でも、基本的ないわゆる赤茶青軸については市販品で確認できますので、家電店でまずは試してみてください。
なお、ハンダ失敗や足折れを考え、利用個数より数個多めに購入をおすすめします。

クリッキー:いわゆる青軸で、キーを押すとカチカチ音がします。うるさいですがカチカチすることで入力した/していないがダイレクトにわかります。昔はみんなこれでした。
タクタイル:いわゆる茶軸で、打鍵感は特徴があまりないタイプです。キーを押した際にある程度の反発がありますが、クリッキーのような明確な反応はありません。
リニア:いわゆる赤軸で、打鍵感が軽い特徴があります。手ごたえが薄いため、どこまで押したら入力があったのかがわかりづらい特徴があります。

基本的には 青軸 or 茶軸 の派生で、やれ打鍵が軽いだ重いだ、音が静かかうるさいか、手前/奥のどこまで押し込めば入力される、等の違いになります。
(赤軸は茶軸の軽い版で、もっと軽くすると銀軸になったりします。)

キーキャップ

 日本語配列における一番の鬼門がこちらです。基本的に日本語配列にキーキャップは殆ど売っていません。
ただし、日本語配列で特徴的なキー以外については、US配列のものを簡単に購入できますので、日本語のキーキャップとは別に入手し、組み合わせて利用することをお勧めします。

機能キー
 
ESC、ALT、SHIFTなどの文字が入力できないキーで、Enter以外のもの(※)は普通に購入できます。デザインやユニットサイズ等を見ながら好きなものを購入して下さい。ただし、EnterについてはISOの設定がない場合があるので、ISO Enterキーがついているもの、オプションで追加購入できるものを買いましょう。※下記にある日本専用の機能キーを除きます。

Enterキー
通常の日本語配列向けEnterキーは、ISOと呼ばれる左下が欠けた縦長長方形のものになります。ISOはUS配列(ANSI)よりもマイナーではありますが、そこそこの国で利用していますので、そこまで入手性が悪くはありません。

左がANSI 右がISO のEnterキー

※一部例外 日本専用の機能キー
JIS配列固有のキーがこれにあたります。
[半角/全角] [無変換] [変換] [カタカナ/ひらがな] が対象です。
概ね1Uサイズですが、ちょうどいいキートップは入手不可能と思われます。
下記の文字キーと同様の対応を取るか、他のキーで代用しても困らない場合がほとんどです。
(どちらも位置が左上だったり、スペースバーの左右だったり押し間違いづらい位置かつ、文字を見ながら打つキーではないため。)

よくある代替例:[半角/全角] → ESC 
[無変換] [変換] [カタカナ/ひらがな] → 無刻印、おまけのデザインキー等

文字キー
日本語配列(JIS)の特徴の部分のため、ほぼ市販品はありません。1Uのものが対象です。
JIS専用の文字キーは以下18個。

[ 2 ” ] [ 6 & ] [ 8 ( ] [ 9 ) ] [ 0  ] [ - = ] [ ^ ~ ] [ \ | ] [ @ ` ] [ [ { ][ ; + ] [ : * ] [ ] } ] [ , < ] [ . > ] [ / ? ] [ \ _ ] 

某お店はこのセットを作って売ればいいのに…。

と、いろいろ説明をしてきましたが、日本語配列のキーボード向けキーキャップについて、簡単かつオススメの入手方法は以下となります。

①FILCO もしくは HyperX のキーキャップを購入する
現状新品で入手できるのは概ねこちらの2パターンしかありません。
アリエクを探してみるのもいいですが、恐らく徒労に終わるでしょう。
FILCO https://www.diatec.co.jp/shop/list.php?s[]=100:1002:0

HyperX https://row.hyperx.com/ja/products/hyperx-pudding-keycaps-abs-full-key-set?variant=40847343059149

上記のキーキャップが気に入らない場合、次の選択肢はこちら。

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