言い出しっぺ
演者としては、制作や事業、営業、技術、編成など裏方の準備の上に乗っかって、いかにパフォーマンスを見せるかが勝負ですが、同窓会ではいろんなことを経験させてもらっています。
母校である兵庫県立長田高校は来年100周年を迎えます。記念事業の広報委員長として、微力ながらお手伝いをしています。
今日は母校のグラウンドを同窓会(神撫会)で使わせてもらって、フルマラソンの距離を1本のタスキでつなぐ周回走イベントを行いました。
公立の進学校である長田高校は体育の授業にも力を入れています。入学直後に体育の先生から「長田は体育学校です」と宣言され唖然としました。
中でもロングと称される長距離走は、嫌で嫌で仕方ありませんでした。
雨でグラウンドが使えないとき、寒風吹き荒ぶ冬季、外周約500mのグラウンドを20周、つまり10km走らされるのです。
その悪夢の周回走を駅伝形式で100周(現在のコースでほぼフルマラソンの距離)走ろうと、数年前の役員会で提案しました。
100周年の機運醸成という広報委員会の役割ですと言ったものの、正直良い反応はありませんでした。
そりゃそうです。大変な仕事になることは誰にも分かりますし、参加希望者が集まるとも思えなかったからです。
でも、私には成功する画面がカラー映像で見えていました(偉そうですが)。
自分自身、母校愛を形にすることなんてほとんどないまま中年になりましたが、関わってみると、なんとも心地よいと実感したからです。
日頃、同窓会に参加している人は感じていても、なんとなくハードルがあると思っている人に絶好の機会だと分かっていたからです。
役員会があるたびに提案しますが、なかなか動きはありません。別に意地悪されているわけではありません。当然でしょう。
でも言い続けているとアドバイスをもらいました。
「秋は部活でグラウンドが埋まっているから、日程から決めた方がいいですよ」というのです。
まだやるともやらないとも決まっていませんでしたが、とにかくいくつか候補を考えて問い合わせると、駄目な日程、いける日程が出てきました。
そこからは、いろいろありましたが、みんながやる前提で考えてくれるようになりました。
同窓会へのボランティアなので、仕事や家事の制約があり、スタッフみんなで集まれるわけでもない中で、LINEでの連絡を中心に準備を進めました。
言い出しっぺとして、とにかく明るく旗を振り続けることだけを心に決めると、周りの人たちが一所懸命動いてくれました。
本当に感謝です。
神戸新聞、毎日新聞にも記事を掲載してもらい、ラジオ関西にも『時間です!林編集長』に出演してPRさせてもらって、ギリギリのタイミングで走者、ボランティアともに人数が集まりました。
そして迎えた今日、絶好の青空が広がっていました。
現役野球部員から最高齢は85歳まで、42.195kmを1本のタスキで繋ぎました。
日没までに走り切れるか心配していましたが、3時間半余りで完走。あまりの早さに途中時計を止めて、豚汁とおにぎりの炊き出し休憩を取りました。
みんな大喜び。
「もう一度走れるとは思わなかった」
「じつはこんなイベントを夢見ていました」
言い出しっぺの役得で、そんなお礼の言葉をいただきました。
卒業生の両親と一緒に走った小さな子供たちにも、一生忘れられない思い出になってほしいです。
「念ずれば叶う」
この時代、金も手間もかかることに白けた空気ばかり広がっていますが、本当はみんなやってみたいんですよね。
感謝の気持ちでいっぱいです!