
『メスとたましいのブログ』第9ターン;道端に潜む罠、その名はノギ
こんにちは。獣心力の『メスとたましいのブログ』です。
教科書では読んだことがありました。セミナーでも聞いたことがありました。ノギの鼻腔内への迷入。。。つい先日、獣医師人生でついに初めて診察を担当することになりました。最終的にはなんとか内視鏡を使って回収することができましたが、いやはや手強い相手でした。
自分が実際に相対するまでは「どうやって診断つけるんだろう??」と思っていましたが、決め手となったのは【ご家族の押しの強さ】でした。催吐処置、レントゲンを経て、内視鏡で十二指腸まで観察しましたが、ご家族が「散歩中に何かを絶対に飲み込んだ」と仰るその「何か」は全く見当たりません。
もう一つ、鼻腔内異物を疑った理由がいわゆる「逆くしゃみ」症状です。逆くしゃみをご存知でない方はこちらの動画をどうぞ。
↓↓↓
https://www.youtube.com/watch?v=dIulGAx5uRU
(※2:30~3:00のあたり)
今までこんなことをしたことがなかったというワンちゃんに突然この症状が見られるようになりました。うーん、、、確かにおかしい。。。しかもご家族は「絶対に飲み込んでいる。」と仰っておられる。
ということで、内視鏡を使って喉の方から鼻の中を見るという、昔教えてもらったやり方を試してみたら、、、みつかったというわけです。回収後は嘘のように症状が治りました。
逆くしゃみの原因についてはよく分からない部分もあるとされていますが、鼻の奥、喉の手前にまで達している異物で全く同じ症状が出るということは、逆くしゃみの原因というのも鼻咽頭部になんらかの異物が紛れ込むことか、少なくともそこになんらかの違和感をワンちゃんが感じていることにあるのではないか。今回のことで、これはかなり自分の中では確信が持てるようになりました。収穫でした。
と同時に、繰り返しになりますが、やはりご家族が「絶対そうなんです!」とある意味でこちらを押し切ってくださったことが今回の一件落着に繋がったことは間違いありません。
多分ないと思うけど、、、という周囲の声はさておき、時には断固として譲らず、
「絶対飲み込んでると思うので、もし間違いでもいいから検査してみて!!」
と獣医師に言ってみるのも必要なことかもしれませんね。また獣医師の方も、
「万が一、てこともあるからなー。ご家族がやってくださいと仰っているならやってみるか!」
という姿勢を持っていなければならないと思います。今回は、手前味噌ですが、その二つがちょうど良い感じにコラボできた賜物でした。
ちなみにこのノギですが、一般的には鼻から吸い込んでなると言われていますが、おそらく今回は飲み込んだ後にワンちゃんがむせたような感じになり、それが鼻の方に入ったのだろうと思われます。我々の経験するうどんやネギのあれと一緒ですね(笑)
いやー、本当によかったですー。
みなさまも道端に生えているあの稲穂みたいなやつには注意してくださいね!!
それでは、今日も動物たちとの幸せな生活を楽しみましょう!