「なんでこれ案件じゃないの?」の答え
にじさんじのパチンコ大会(#にじさんじVパチ)が発表されましたね。
私は全くパチンコをやらないので専門用語や台の名前等は全く分からないのですが、諸々配慮されたルール、版権を取り扱った台の採用、所属人数の約4分の1が参加する規模感など主催ライバーとパチンコメーカーの気合の入れようが感じ取れます。
この企画に対して「これが何故案件でないのか」という感想をたまに見ますが、これに対する答えを書きたいと思います。
企業がお金を出さなくてもライバーが宣伝してくれるから。
これが全てなのですが、もう少し掘り下げてみましょう。
そもそも「案件」とは
まず「案件」の定義ですが、要は「宣伝業・セールス依頼」または「コラボ商品販売」の2つに大別されます。
ある会社が「ウチの商品を紹介してください」とインフルエンサー(宣伝効果を持つ人。にじさんじの場合ライバー)にお金を出して頼むこと、もしくは文字通りライバーとコラボした商品(ゲームの場合は課金アイテム等)を売ることですね。
にじさんじの場合は「提供表記ガイドライン」という形でルール付けされている通り、Youtubeなら「プロモーションが含まれます」と表示されている動画、Twitterなら「#PR」を含むツイートが該当します。
案件の内容としては実に様々。前述の通り宣伝かコラボ商品かの他、動画か生配信か、何名でやるのか、どんな構成かなどで分類可能ですが多岐に渡ります。
配信でオーソドックスなのはライバー1名から数名で決められた台本を読みつつゲームプレイ等をする形式ですが、過去にはリレー形式や大会形式、クイズやラジオ形式などもありました。
何故企業は案件を頼むのか
これはもう単純に「自社の商品を売りたいから=儲けを得たいから」です。
企業は利益を得てナンボです。人選や内容は担当者の私利私欲という場合もありますが、それにしたって依頼する以上は相当以上のリターンを期待している筈です。
えにからやライバーには企業からの依頼料が入り、リスナーはライバーの配信を見て楽しみ、企業はリスナーからの売り上げが入る。全員がハッピーになれるのが案件なのです。欲しいと言っているライバーが多いのも頷けますね。
さて、今の文章に疑問を持った人もいるかもしれません。
「リスナーはライバーの配信を見て楽しみ」「企業はリスナーからの売り上げが入る」の部分。「案件配信なんてつまんねーよ!」「誰がそんなもんに金出すかよ!」と思っているリスナーもいるかと思います。
それは実際一理あります。
ライバーにとって好きな題材の依頼ならばいいのですが、そうでないものを宣伝するというのはなかなか難しいもの。それが出来ないから案件は断ると宣言しているライバーもいるぐらい、案件には一定の慣れと技能が必要だと個人的には思っています。
その点の議論は一旦置いておくとして、では逆に。
「お金なんて貰わなくてもいいからこれについて語らせてほしい・これをやらせてほしい」とライバー側から企業に言った場合はどうなるか。
これが「なんで案件じゃないの?」の答えです。
企業協力の理由
今回の事例で言うと、パチンコ業界はコロナ禍やソシャゲの台頭、社会的地位の問題で苦しい状況。
そんな中でパチンコ・パチスロが大好きで数万〜数十万の視聴者が見込めるインフルエンサーの方から「御社の商品(ネットパチンコサイト)を使わせてくれ」と言って来たら、企業側としては大喜びだったと思います。それ故に版権的に難しそうな台までもを用意してくれたのではないでしょうか。
無料で宣伝してくれるならこれぐらいの苦労は惜しまないよ(えにからに依頼料という形でコストを支払うのではなく企画のクオリティを上げるよ)、この台やシステムをもっと見てくれ、ということだと推測しています。
但しこの時、企業側がVtuberもしくはにじさんじに懐疑的・否定的な印象を持っていたら話はさっさと頓挫します。
世間一般にはVtuberという存在の知名度は然程高くなく、「それ何?」はもちろん、知っていたとしても「絵が喋るとか何それ怖い」だの「二次元キャバクラとかキモい」というマイナスイメージを持つ人も確かに存在しているでしょう。
それを払拭する可能性を持つのは、過去の実績と理解ある人の存在です。
例えばコナミのパワプロ、タカラトミーのデュエマ(デュエプレ)、Yostarの雀魂などは元々は個人配信で行なっていたものが公式コラボや協賛大会、公式番組への出演に繋がっています。他にも3Dお披露目等の特別な場所で憧れのゲームの筐体を再現してプレイする等の協力も時折見られます。
にじさんじのライバーはこのコンテンツが好きであり、誠実に本家企業に協力を願っていて、窓口となる担当者含めて問題が無く、本家企業もそれに応えて多くの視聴者に広告をしたという結果の蓄積は確実に行われている。
つまり案件ではないのに豪華な本家協力企画ができるのは、ライバーのこれやりたい!を形にすべく、ライバー・えにから・相手企業の大勢が頑張った成果であり、これまで培ってきた信頼と相手企業の期待の表れ。
端的に言えば企業上層部を説得出来るだけの数字と経験と情熱があるからと言えるでしょう。
なので今度からは「なんで案件ではないの?」ではなく「協賛すごい!」と素直に称賛すると各方面が喜ぶのではないかなと思います。