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みる人に絶大な影響を与える『面白いストーリー』のつくり方

この記事は2024年3月9日に更新されました。


「ストーリーは人を魅了する」


漫画や映画、ドラマの影響を受けた経験は誰しもがあるはずだ。

  • 映画をみてロケ地に足を運んだ

  • 漫画の影響を受けてバスケをはじめた


これらは、ストーリーに魅了された結果として起きる行動である。面白いストーリーをみて、心に変化が生じ、その変化が行動となって現れるのだ。そして、そのストーリーが心の中に残るため、ストーリーによる変化は長く続く。

このことから、ストーリーの影響力は絶大なものだと言えよう。

良い本は、読んだあとに思考や行動に一定以上の変化をもたらすと言われている。そのため、私は記事を読んでくれた人に何かしらの影響を与えたいと思っている。

自分が書いた記事で、誰かに大きな影響を、変化を与えたいのだ。そのためには、ストーリーの力を使いこなさなければならない。人を魅了し、絶大な影響を与える、そんなストーリーの力を、だ。

そんな思いから、ストーリーについて調べ上げた。だが、ストーリーの世界は奥が深い。奥深くまで潜ってみたつもりでも、まだまだ底は見えていないように感じる。しかし、ストーリーの本質の一端は見えた。


今回の記事では、その中でも特に重要なポイントに絞って、みる人に絶大な影響を与える『面白いストーリー』のつくり方をまとめていく。私のように、なにかしら人に影響を与えたいと考える人の一助となれば幸いだ。





面白さ=影響力の強さ


話を進める前に、一つだけ前提を共有しておきたい。それは、ストーリーにおいて『面白さは影響力の強さである』という前提だ。

人は、漫画を見ても映画を見ても、面白くなければなんの影響も受けない。


「ONE PIECE嫌いだけど、ルフィは好きだからルフィの恰好してます!」


そんなヤツは聞いたことがない。逆に、面白ければとてつもない影響を受けたりもするだろう。


「王騎将軍が好きすぎるから、笑い方が『コココココ』になったわ!」


そのため、この記事では『人に影響を与えるストーリー=面白いストーリー』と定義する。なお、『面白さ』については以下の記事にまとめてあるため、この記事を読む前にぜひ目を通してみてほしい。


さて、それでは次章から面白いストーリーの世界に切り込んでいこう。



面白いストーリーの3つの特徴


面白いストーリーには以下の3つの特徴がある。それぞれについて、以下で詳しく解説していこう。


①ターゲットが明確である


「すべての人が面白がるストーリーを作ろうとすることは、誰も面白がらない平凡なストーリーを作ろうとすることと同じである」


ターゲットが曖昧だと誰にも刺さらないストーリーができあがる。ストーリーの持つ力が分散されてしまい、人の心に届かないからだ。

人の心をつかんで離さない面白いストーリーは、とてつもない力で心に突き刺さる。これは、力を分散させず、一点に集中することで起こるものなのだ。そのため、ターゲットは必ず明確にしておかなければならない。そして、設定したターゲットに届く表現を使う必要がある。


  1. パリピになれない女たち

  2. 踊りきれない女たち


前者は20代向けで、後者は60代向けのストーリーのタイトルだ。それぞれ、20代へはパリピのイメージを、60代へはバブル期のイメージを表現している。

明確なターゲットを設定・理解したうえで、そのターゲットに刺さるものを選ぶ。そうしなければ、誰にも見向きされない平凡なストーリーになってしまうだろう。

面白いストーリーには、必ず明確なターゲットが設定されている。



②内容がシンプルかつわかりやすい


「面白いストーリーには無駄がなく、イメージの共創にブレがない」


人の脳はめんどうなことを嫌がる。つまり、楽な方へ楽な方へと流されていくということだ。


「やらないといけないことを、つい後回しにしてしまった…」


という経験は、誰しもしたことがあるはずだ。この現象は脳科学でも立証されている。何かしらの情報を処理するとき、脳はできるだけエネルギーを節約しようとするのだ。

当然、ストーリーをみたり聞いたりする際にも同様の力が働く。そのため、ストーリーの内容は可能な限りシンプルかつわかりやすくすべきなのだ。

考え方のコツは以下のとおり。

  • ストーリーに必要なものだけを扱う。

  • くどくど説明するのではなく証明する。

  • 頭の中に具体的なイメージが浮かぶように表現する。


また、ストーリーの中の大事な要素を連想できるような表現を多く扱うというのも良いとされている。

『家族』がよく出てくるストーリーであれば、大きなテーブルや食事、旅行などの要素を入れることで、脳に『家族』の潜在的なイメージを持たせることができる。脳が、ストーリーの骨となる要素である『家族』を自動的に意識してくれるようになるのだ。これは、脳の認知負荷を少なくすることに役立つ。

面白いストーリーには、シンプルさとわかりやすさが必要だ。



③ストーリーの『変化』にギャップがある


「変化のない日常ほど退屈なものはない」


変化のないストーリーは面白さに欠ける。そんなストーリーなど、誰も望んでいないことだろう。河川敷をただ2時間散歩するだけのストーリーなど、誰も求めていないのだ。

人はストーリーをみたり聞いたりすると、そのストーリーを追体験する。
これは、共感細胞と呼ばれるミラーニューロンによるものだ。(※ミラーニューロンについては先ほど紹介した記事にまとめている。)

われわれ日本人の普段の生活は、変化のない生活であるケースが多いように思える。そのため、どうせストーリーを追体験するのであれば、非日常を味わいたいと思うはずだ。

非日常感は面白さを誘発する。非日常には、面白さの要素である『驚き』や『気づき』が備わっているためだ。(※面白さの要素についも先ほど紹介した記事にまとめている。)

この非日常感をかもし出すためには、ストーリーを構成する変化(驚きや気づき)に加え、以下のような『ギャップ』を与えることが必要になる。


「ハッ…気付いてしまった。ワイ天才」

「エッ…マジか…。ありえんやろ…」


たくみにギャップを扱うことで、みる人の心をつかむことができる。そうすれば、どんどんストーリーが面白くなっていき、ストーリーの虜となっていくのだ。

面白いストーリーには、ギャップのある『変化』が内包されている。



面白いストーリーに必ず存在する3つの要素


前章では面白いストーリーの特徴について解説してきた。だが、これらの特徴は少し抽象的過ぎるようにも思える。

そのため、本章では実践するにあたって必要な、面白いストーリーに必ず存在する具体的な要素を3つピックアップした。それぞれについて、以下で詳しく解説していく。


① 魅力的な登場人物


登場人物は、みる人から共感してもらうために存在する。共感させることで、みる人を客観的な立場から主観的な立場に移行させるのだ。

主観的な立場からストーリーを追体験することで、ストーリーにのめりこんでいく。強い共感を得ていくにつれ、底なし沼のように埋まっていき、最終的に抜け出せなくなることだろう。

共感してもらうための具体的な方法は別の記事に詳しくまとめているため、以下のリンクを参照してほしい。


なお、強い共感を得るためには信ぴょう性も必要となってくる。信ぴょう性は、一貫した価値観や世界観を表現したり、状況の詳細を伝えたりすることで与えることができる。

まずは、親近感を感じてもらえるような、そんな奥深いキャラクターを設定する。そして、ストーリーに一貫性を持たせ、場面ごとの詳細を伝えることで面白さの種を育てることができる。



② 葛藤が生じる出来事


主人公の感情を揺さぶり、みる人の感情も揺さぶる。面白いストーリーには、そんなインパクトのある出来事が必要だ。

ストーリーの中で、主人公の感情が揺れ動かない出来事が起こったとしよう。例えば、鉛筆が床に落ちたといったような出来事だ。

これが何かの伏線であればいい。だが、ただ鉛筆を拾って終わりということであれば、ストーリーの中で起こる出来事として0点と言わざるを得ない。

面白いストーリーには、主人公を含む登場人物たちに対立や葛藤が生じる出来事が、必ず存在している。これは追体験(共感)という視点から説明できる。登場人物Aに共感した人が、Aが乗り越えたい壁をまるで自分毎のように認識し、Aを応援するようになるからだ。

登場人物が、立ちはだかる大きな壁を乗り越えたとき、登場人物の人生に意味のある変化が生まれる。そして、その変化はストーリーをみる人にも与えられるのだ。

そのため、出来事と登場人物を合わせ鏡のように考えてストーリーを構成する必要がある。



③ 内的または外的な変化


出来事をとおして登場人物は変化する。ある要素が、プラスからマイナスへ、あるいはマイナスからプラスへと目まぐるしく変化していくのだ。

魅力的な登場人物が葛藤の生じる出来事を経験することで、内的または外的な変化が生じる。以下の記事のとおり、面白さは『変化』とも言えるため、このような変化が生じることで面白さが生まれるのだ。


感情の本質的な軸は『苦楽』であると言われている。マイナスを苦、プラスを楽としたときに、プラス→マイナスやマイナス→プラスといった具合で、うまく登場人物の感情を揺さぶっていきたい。

また、ストーリー全体をとおした変化を与えるために、最初の状態とストーリーを経験した後の状態を示すというテクニックがある。ストーリーの最後に、主人公を最初のシチュエーションに戻すのだ。

冒頭のシーンが家族との団らんであれば、最後のシーンも家族との団らんといったように。こうすることで、ストーリーという経験をとおして登場人物がそれぞれどのように変化したかがわかる。

このテクニックを使うことで、主観的にストーリーをみている人にも、ストーリー全体をとおしたあとの大きな変化を経験的にわからせることができるのだ。



まとめ


これまで、面白いストーリーの特徴と具体的な要素を3つずつ解説してきた。それぞれ、簡単にまとめると以下のとおりだ。

面白いストーリーの特徴は以下のとおり。

  • 明確なターゲット

  • シンプルさとわかりやすさ

  • ギャップのある変化


面白いストーリーにおける具体的な要素は以下のとおり。

  • 魅力的な登場人物

  • 葛藤が生じる出来事

  • 内的または外的な変化


これらを意識してストーリーを構成することで、面白いストーリーを組み立てることができるようになるだろう。私自身、ストーリーについてはまだまだ未熟であるため、この記事を適宜見直して必要なストーリーを考えていきたい。



さいごに、一つだけ。

ストーリーとは『時間芸術』であり、『人生の隠喩』であると、アメリカの脚本家ロバート・マッキーは言っている。言葉ではなく出来事を組み立てて生み出される、『人生とはこんなものだ』を語る隠喩なのだと。

これはすごく腑に落ちた。

共感によってストーリーを追体験できる我々は、目新しく面白い隠喩を常に探し求めているのだろう。人が面白いストーリーを求めるのは、退屈な日常に新たな刺激を取り入れたいからなのかもしれない。

毎日が退屈であるというのは、平和な証である。が、退屈であるが故に刺激が欲しくなるのだ。


こんなことを考えていたら、刺激が欲しいときはストーリーを追体験すればいいという考えに至った。

漫画、音楽、ゲーム、映画、ドラマ…何かしらの刺激を得るために、毎日ほんの少しだけでも、退屈な日々を静かに抜け出すことをここに宣言したい。



参考文献


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