【FX】本気で勝ちたい人のためのテクニカル分析基礎講座
―――非情なFXの世界で戦う戦士たちよ。
―――損失を避ける聖靴『テクニカル』を授けよう。
「本気でテクニカル分析を学びたい」
そんな鉄の意思が感じられる。
ファンダメンタルズ分析と双璧を成すテクニカル分析。多くの本や記事でその分析指標が解説されている。
その内容を読むだけで、テクニカル分析の概要を理解する事は可能であろう。だが、実践となると話は別だ。
テクニカル分析のシグナルどおりに取引しても勝てないことが多いはずだ。それは、テクニカル分析が値動きの結果から生まれるものだからだ。
「テクニカル分析の結果が未来の値動きになるんじゃねえ、過去の値動きがテクニカル分析の結果になるんだ」
かの有名な安西先生も矢沢君にそういっていた気がする。つまり、未来は誰にも予想できないというわけだ。が、テクニカル分析はエントリーまたは決裁ポイントを絞るために使うことができる。テクニカル分析によって導き出されたポイントが、多くの人から意識されているポイントであるためだ。
そのため、テクニカル分析を知れば、取引に優位性が生まれる。その結果、FXで勝つ確率が格段に向上することだろう。
この記事には、知らないだけで損をしないために必要な『FX初心者が絶対に知っておくべきテクニカル分析の知識』をまとめた。テクニカル分析を実践で使うための知識を、本質的なところだけを解説したつもりだ。
この記事の中身さえ理解できれば、テクニカル分析を実践で使えるようになるだろう。記事に書かれた内容を完全に理解するため、何度も読み返してもらえれば幸いである。
さて、それではこれから、あなたがまだ知らないテクニカル分析の世界へとお招きしよう。
※この記事はわかりやすさに重点を置いているため、厳密な解説にはなっていない箇所がある。その点には注意して読み進めてほしい。
1.相場
相場には以下の3つの種類がある。
上昇相場:価格が右肩上がりで上昇している相場
下落相場:価格が右肩下がりで下落している相場
レンジ相場:価格が一定の幅で上下に推移する相場
※上昇相場と下落相場のことを合わせてトレンド相場と呼ぶ
これらの相場は次々と、繰り返し発生する。今が上昇相場であれば、いずれば下落相場もしくはレンジ相場がくるのだ。
一般的に、稼ぎやすいのはトレンド相場(上昇・下落相場)であると言われている。チャートが一方向に動くことから、値動きが読みやすくなるためだ。しかし、為替相場はレンジ相場が7割、トレンド相場が3割と言われている。したがって、稼ぎやすい期間は短い。
FXで効率よく勝つためには相場の中で長く生き残っている必要があるということになる。長く生き残ってさえいれば、トレンド相場が来たときに大きく勝つことができるからだ。
長く生き残るためのコツは、値動きが読みづらいレンジ相場のタイミングで取引を休むことだ。『休むも相場』という相場の格言のとおりである。
基本的に、機関投資家やヘッジファンドなどの大口は休むことができない。増やさなければならない資金をそのまま貯金していたのでは、資金を預けた人たちが納得しないからだ。そのため、『休み』は我々個人投資家のみに許された特権であると言える。資金力で勝てない我々の強みは最大限に生かすべきだろう。
「鳴かぬなら、鳴くまで待とうホトトギス」
德永家康の精神で、急がず焦らず、トレンドの鳴き声が聞こえるまでチャンスを待ち続けるのだ。そして、チャンスが来たらそのビッグウェーブに乗る。ビッグウェーブに乗っている間はとてもいい気分になれるだろう。
だが、波が静かなときに波乗りの準備をするように、ビッグウェーブに乗っている間にそこから降りる準備をするべきなのだ。ビッグウェーブにも終わりがあるからだ。
つまり、勝つためには利確(損切り)のポイント設定が重要になる。テクニカル分析を用いて、あらかじめ逃げる算段をつけておこう。
2.テクニカル指標
テクニカル分析にはさまざまな指標がある。
一般的に、トレンド相場のときにトレンドの方向を見出す指標をトレンド系指標、レンジ相場のときにトレンドの反転を見出す指標をオシレーター系指標と呼んでいる。
それらの中でも特に有効な指標は『多くの人が信じている指標』である。多くの人が信じているということは、そのテクニカル指標のシグナルどおりに取引するからだ。
その結果、テクニカル分析の結果どおりにチャートが動く。特定のテクニカル指標の信者が多ければ多いほど、その信頼度は高まるのだ。
そこで、テクニカル分析は複数の指標を組み合わせることをおすすめする。テクニカル分析の結果を信じている人の母数が増えるためだ。複数のテクニカル分析で買いのシグナルが出ている場合は、多くの人が買いでエントリーする確率が高くなる。だから、実際に価格が上昇していく。
基本戦略は、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析を組み合わせて環境認識(相場の方向性など)を行い、その大局に順張りする。エントリーポイントは、上昇トレンドなら『押し目買い』、下降トレンドなら『戻り売り』で、チャートの反転が確認できたタイミングをおすすめしたい。
この章では、前述した基本戦略に、特に有用な(信者の多い)分析指標についてまとめていく。
※チャート分析ツールは『Trading View』がおすすめだ。
(1)ローソク足
ローソク足とは『一定期間の始値、終値、高値、安値の4つの価格を1本の線で表したもの』である。考案者は日本人で、江戸時代に米商人をしていた本間宗久だ。
ローソク足は実体とヒゲから構成されており、特に重要視されるのが実体だ。というのも、実体部分の終値が最も直近の値動きであるためだ。
終値をみて、陽線であれば上昇の機運が、陰線であれば下落の機運が高いと判断できる。特に上ヒゲのない大陽線、下ヒゲのない大陰線はその様子が顕著だ。
一方、ヒゲはその期間の『パニック』を示す傾向にある。
無計画な買いで入った人は、急激な値下がりにパニックを起こして売るためだ。この性質から、特に長いヒゲは『最大級のパニック』であり、トレンド反転の指標としてみることができる。特に長いヒゲ『カンガルーテイル』が現れたら、逆方向へのトレードを考えておきたい。
また、ローソク足は短い期間より長い期間のものが重要視される。単純に長い期間の値動きの方が、長期的なトレンドの判断に利用できるからだ。
そのため、長い時間軸のローソク足を使ったテクニカル分析は、より長期的な視点での判断材料として活用することができる。すなわち、大局の流れを知ることができるということだ。
ローソク足を見るうえで見落とされがちなことがある。それは、一定期間のローソク足をまとめるとその上位の時間足になるということだ。
1時間足を24個まとめれば日足に、日足(休場日を除く)を5個まとめれば週足になる。1時間足が上がって下がって、全戻しとなっていれば日足では大きなヒゲとなっているだろう。
前述した『波が静かなときに波乗りの準備をする』を考えてみたい。すると、ローソク足が短いときにエントリーし、長いときに利食いするということになる。これはすなわち、相場が激しく動いている時はエントリーしないということにもつながる。
これらを意識して取引すべきだろう。
(2)サポートライン・レジスタンスライン
サポートライン(支持線)とは『チャートの下落が反発するライン(価格帯)』である。一方、レジスタンスライン(抵抗線)とは『チャートの上昇が反発するライン(価格帯)』である。
サポートラインは過去のチャートの複数の安値をつないだ線で表すことができ、レジスタンスラインは複数の高値をつないだ線で表すことができる。
以下の画像を参照してもらえればイメージしやすい。
サポートラインとレジスタンスラインは、基本的に水平もしくは斜めに引く。このとき、水平に引いた線を『水平線』、斜めに引いた線を『トレンドライン』と呼ぶ。
サポートライン・レジスタンスラインは、テクニカル分析の指標としてその確固たる地位を確立していることから、多くの人が信じているものだ。そのため、チャートポイントとして機能しやすい。
流行の服をみんなが求めて着るように、相場の流行にはしっかりと乗る必要がある。優れたトレーダーは全員がミーハーなのだ。
ラインを引くコツは以下の3つだ。この3つさえ覚えていれば、ラインを引き間違えることはないだろう。
ヒゲ・実体に関係なく反応点の多い場所に線を引く
意識しやすいキリ番(0が多い価格)に水平線を引く
過去にサポートライン・レジスタンスラインとして機能したラインに水平線を引く(特に直近の押し安値、戻り高値など)
上記のとおり引いたラインにはそれぞれ強さが異なる。以下の条件が整っているほど強いため、チャートがそのラインをぶち抜く(ブレイク)するには、それ相応の材料が必要となるだろう。
長い時間軸で引いたラインほど強力
何度も反発しているラインほど強力
上下に引いた水平線のレンジの値幅が広いほど強力
ラインのブレイクはダマシであることも多いため、常にダマシを警戒する必要がある。基本的に、背景にファンダメンタルを伴った大きな実体ベース(大陽線、大陰線)のブレイクでなければダマシを疑うべきだろう。
というのも、ラインのブレイクには強い力が必要であり、その強い力が損切りの力をも利用するためだ。新規のエントリーにプラスして、損切りという燃料を巻き込みブレイクするのだ。
一般的に、レジスタンスラインで売りのエントリーをした際、レジスタンスの上に買いの損切り注文を出す。その損切り注文が多ければ多いほど、つまりレジスタンスラインが強ければ強いほど、大きな力を伴ってブレイクするという仕組みだ。
だから、本当にブレイクしたときのローソク足はとても大きな実体となる。大陽線や大陰線を伴った、ラインの明確なブレイクだけを信用するべきだろう。
しかし、大きな実体ベースでブレイクしたとしても、すぐに全戻しとなった場合は警戒が必要だ。長期のローソク足でみるとその部分がヒゲになることから、市場のパニックである可能性が高いためだ。
ちなみに、ブレイク後には損切りという燃料がなくなるため、チャートが逆行する可能性が高いということもあわせて覚えておきたい。ブレイク方向にかかる力が新規のエントリーしかなくなるためだ。
さて、さいごにサポートライン・レジスタンスラインのトレードルールを明記したい。以下のルールに基づいた取引を湖なうことで、その成功確率が格段に上がるはずだ。
水平線・トレンドラインに近づいたら逆指値による決済注文を入れておく
強力な水平線・トレンドラインに近づいたら逆指値によるエントリーを検討する
レンジ相場のときに水平線・トレンドラインに近づいたら逆張りのエントリーを検討する
トレンドラインをブレイクしたあとに一旦戻ってトレンドラインにワンタッチしたときにエントリーする
ファンダメンタルを伴わないダマシのブレイクが出たときに、ヒゲ端の少し下に損切り注文を入れてブレイクと逆方向にエントリーする
(3)出来高
出来高とは『特定の期間中に成立した取引量』である。言いかえると、売りと買いの注文がマッチングした数量のことだ。
そのため、出来高が多い時間帯は取引が活発であると判断できる。それはすなわち、相場が大きく動きやすい時間帯であるとも言える。
しかし、FXでは株式ほど出来高に注目されていない。FXでの取引は取引所を介さないため、システムで正確な出来高集計ができないからだ。正確な出来高を把握できない以上、FXでは出来高をあまり当てにすることはできない。
だが、株式のチャートには活用できる。
詳細は以下の記事で解説しているが、株式市場の動きもFX市場に影響を及ぼす。出来高から、株式市場の動きを把握していきたい。
では、出来高を用いた株式でのトレードルールを以下に明記してこう。
出来高の急増によって発生した真のブレイクアウトの方向にトレードする(出来高大=トレンド発生中)
新高値をつけたタイミングで出来高が最高潮であれば高値を更新する可能性が高いため、買いでエントリーする(新安値の逆もまた然り)
上昇トレンド継続中に出来高が減少するとトレンド反転の時期が近づいているため、取引を手仕舞う(株式のチャートで下降トレンドのときは薄商いになるため機能しない)
(4)ダウ理論(高値と安値)
ダウ理論とは『19世紀後半に米国の証券アナリストであるチャールズ・ダウ氏が考案した相場理論』である。
ちなみに、ダウ平均株価の『ダウ』は、米国の経済統計学者ダウ・ジョーンズが設立したダウ・ジョーンズ社が創案し、公表したものであるため、チャールズ・ダウとは別人である。
ダウ理論には6つの基本法則があるが、その中でも特に意識されている『トレンド認識』の部分に絞って話を進めることとする。
ダウ理論では、連続する高値・安値が、それより前の高値・安値より上に位置する状態を『上昇トレンド』、下に位置する状態を『下落トレンド』と定義している。
そのため、ダウ理論を用いることでトレンドの判断ができるようになる。
上図のように、上昇トレンドは安値にトレンドラインを引き、下降トレンドは高値にトレンドラインを引くことで理解しやすくなる。
ダウ理論のトレードルールは以下のとおりだ。
新高値をマークした押し安値を基準として損切りを置く(逆もまた然り)
押し安値を下回ると上昇トレンドの終わりとして認識されるため、買いでのエントリーを控える(逆もまた然り)
押し安値が上目線の起点、戻り高値が下目線の起点であるため、そこでチャートの反転を確認できたタイミングでエントリーする
(5)移動平均線
移動平均線はトレンド系指標の一つであり『一定期間の価格(一般的には終値)の平均を結んだ折れ線グラフ』である。トレンドとその反転を特定するのに役立つテクニカル指標だ。
移動平均線は、計算期間における合意された価格の平均値である。その性質から、参加者の強気弱気が見て取れるものとなっている。チャートが移動平均線よりも上にいる状態では買い優勢、下にいる状態では売り優勢となるのだ。
移動平均線には、単純に終値の平均を結んだ単純移動平均線や、直近の終値に重きを置いた指数移動平均線など、数多くの種類が存在している。一般的によく使われる移動平均線が単純移動平均線と指数移動平均線であるため、どちらか一方を使っていきたいところだ。
そして、それを見続けることでトレンドの変化を感じ取ることができるようになる。これは他のテクニカル指標にもいえることではあるが、同じテクニカル指標を見続けるからテクニカル指標に意味があるのだ。
同じ指標を見続け、その変化を感じ取ることが相場を知ることにつながる。気分で設定を変えてしまっては意味がないのだ。
移動平均線の設定は、短期であれば5日、中期であれば20日、長期であれば200日が一般的である。これは、休場日を除いた5日間が1週間、20日が1か月、200日が1年というところからきている。
なお、株式の場合は短期50日、中期100日、長期200日が一般的だ。株式のチャートを見るときは上記の設定をおすすめする。
移動平均線の短期と中期の間には『本質的な価格帯(バリューゾーン)がある』という考え方がある。バリューゾーンを見たい場合は、短期1に対し中期2の期間の割合でパラメータを設定する。
移動平均線のトレードルールは以下のとおりだ。
短期、中期、長期の移動平均線が上方向に交差するゴールデンクロス(パーフェクトオーダー)は買い、下方向に交差するデッドクロスは売りでのエントリーを検討する
上昇トレンドのときは移動平均線まで下落してきたタイミングで買い、それと同時に直近の安値よりも下に損切り注文を入れ、含み益が増えたら収支トントンの場所に損切り注文を移動する(逆もまた然り)
移動平均線自体がサポートライン・レジスタンスラインとして機能するため、サポートライン・レジスタンスラインのトレードルールに則って取引する(強いトレンドであればあるほど短期の移動平均線で反発しやすい)
ちなみに、トレンド系指標はレンジ相場のときには役に立たない。
移動平均線であれば水平方向に移動し、頻繁にクロスすることになるだろう。
(6)ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドはトレンド系指標の一つであり『移動平均線と標準偏差で構成される価格の変動範囲を示す指標』である。なお、標準偏差は『平均からのズレを表す統計学の指標』である。
ボリンジャーバンドを用いることで、移動平均線と比較して値動きがどれだけズレているかを測ることができるということだ。標準偏差は、平均から約68.3%のデータが入る距離を『±1σ』、約95.5%のデータが入る距離を『±2σ』、約99.7%のデータが入る距離を『±3σ』と表す。
一般的には、チャートが±2~3σに到達した際に逆張りを狙いたくなる。だが、±2~3σへの到達は、トレンドの発生と同タイミングになるケースが非常に多い。
そのため、ローソク足が±1~3σに沿った動き(バンドウォーク)をしているのであれば、それはトレンドが生まれていると判断できる。つまり、逆張りではなく順張りを狙うべきタイミングなのだ。
ちなみに、ボリンジャーバンドの幅が拡張することを『エクスパンション』、縮小することを『スクイーズ』と呼ぶ。
目安ではあるが、ローソク足の終値ベースで±2σに達したらエクスパンションと判断していい。一般的に、トレンドが生まれるとエクスパンションし、レンジの時はスクイーズする。そして、エクスパンションとスクイーズを繰り返すのだ。
ボリンジャーバンドはトレンド系指標ではあるが、機能しない場面はないため、必ず表示しておきたいテクニカル指標である。
ボリンジャーバンドのトレードルールは以下のとおりだ。
ボリンジャーバンドがエクスパンションし、ローソク足がバンドウォークしたら順張り方向でのトレードを検討する
『±1σ』、『±2σ』、『±3σ』の線がそれぞれサポートライン・レジスタンスラインとして機能するため、サポートライン・レジスタンスラインのトレードルールに則って取引する
(7)MACD(Moving Average Convergence Divergence)
MACDはトレンド系指標、MACDヒストグラムはオシレーター系指標であり『移動平均線を応用したテクニカル指標』である。日本語では『移動平均線収束拡散』という。
MACDでは 、MACDとシグナルと呼ばれる2本の移動平均線を用い、この2本の線の差分を『MACDヒストグラム』として表示する。そのため、2本のラインが交差するタイミングは、MACDヒストグラムが0ラインとイコールとなる。
MACDは移動平均線を改良したものであり、移動平均線よりも早く動く指標である。早く動けば動くほど利益を得られる投資の世界では、早いというだけでとても有用な指標であると言えよう。早くたどり着いたものだけが、甘い果実を手にすることができるからだ。
だが、他のトレンド系指標と同様に、レンジ相場のときや強いトレンドが継続しているときはMACDが横ばいになる。上記のタイミングでは、テクニカル指標として意味をなさないことに注意しておきたい。
また、MACDでは『ダイバージェンス(逆行現象)』も良く知られる。ダイバージェンスとは『オシレーター系のテクニカル指標が実際の相場とは逆方向に動いている状態』である。
ダイバージェンスは、高い確率でトレンドの転換を示唆する。例えば、下落トレンド中にチャートが下落していて、MACDヒストグラムが上昇している場合、近いうちに上昇トレンドへ転じる可能性が高い。
MACDにおけるダイバージェンスの判断は以下を参考にしてほしい。
強気のダイバージェンス:下落トレンド中にMACDヒストグラムの深い谷→0ラインを超えた小さな山→最初の深い谷よりも浅い谷の形成(チャートは下落を続けている状態)
弱気のダイバージェンス:上昇トレンド中にMACDヒストグラムの高い山→0ラインを下回る浅い谷→最初の高い山よりも低い山の形成(チャートは上昇を続けている状態
※一度0ラインを抜いていることが重要となる。
MACDのトレードルールは以下のとおりだ。
ダイバージェンスが発生した場合は逆張りエントリーを検討する
MACDヒストグラムが上昇したら買い、直近安値より下に損切りを置く(逆もまた然り)
トレンドが長く続いたところでの反転タイミングはより確度が高くなるため、逆張りを検討する
MACDがシグナルを下から上に抜けるゴールデンクロスは買い、上から下に抜けるデッドクロスは売りサインとなるため、エントリーを検討する
(8)三角保ち合い
三角保ち合いとは『売りと買いの力が拮抗している際によくみられるチャートの形』である。売りと買いの力が拮抗すると、上下の値幅が徐々に狭まっていくため、チャートの形が三角形を形成していく。
ちなみに、トレンド転換のタイミングで良く表れるチャートの形『ダブルトップ』や『三尊』も三角保ち合いから派生したものだ。
三角保ち合いには、その継続期間が長ければ長いほどブレイクしたときにその方向への動きが続く傾向にあるという特徴がある。これはポジションがたまることで、ブレイクのガソリンとなる損切りがたまるためだ。
このことから、急こう配な三角保ち合いはその継続期間が短くなるためあまり参考にならない。こう配がなだらかで、期間の長い三角保ち合いを信用したい。
また、三角保ち合いの派生形である『上昇三角』と『下降三角』も、それぞれ長期足であればあるほどその信頼度は高まる。すなわち、上昇三角であれば上抜けする可能性が、下降三角であれば下抜けする可能性が高いということだ。
三角保ち合いはチャート上でよくみられる形であるため、取引をするうえで必ず覚えておきたい形だと言える。
三角保ち合いのトレードルールは以下のとおりだ。
三角保ち合いを抜け、一度トレンドラインに戻ってきて反発したところでエントリーする
水平線やトレンドラインにローソク足が張り付くとブレイクする可能性が高いため、ブレイクしそうな方向へのエントリーを検討する
3.マルチタイムフレーム(MTF)分析
マルチタイムフレーム(MTF)分析とは『複数の時間軸を用いた相場の分析方法』である。
MTF分析を行うことで、長期の時間軸で長期的な視点から、短期の時間軸で短期的な視点から見ることができるため、より広い視点でチャートを分析することができる。鳥の目、虫の目というやつだ。
MTF分析はすべてのテクニカル指標で活用できるため、手間ではあるが毎回MTF分析を行うことをおすすめする。リスクにさらしているのが、手持ちの大切なお金であるためだ。
だからこそ、少しでも勝てる確率を高めていくべきだと考える。
MTF分析の基本は、相場の大局を知るために長期足を見たのち、エントリータイミングを見定めるために短期足を見ることにある。長期足を見て大局が上昇トレンドであれば、短期足で買いのエントリータイミングを探るということだ。
トレードスタイルによって違いはあるが、スイングトレード視点で長期は週足、中期は日足、短期は1時間足が目安である。
決済時は長期足を見て利食いタイミングを探り、短期足で損切りタイミングを探るのもまた良しだろう。
4.エントリーと決済(利食い・損切り)のポイント
エントリーはファンダメンタルズ分析とテクニカル分析による総合判断で行うべきである。複合的な要因がすべて同一の方向を指しているのであれば、それはその方向に動く確率が非常に高くなるためだ。
そして、分割エントリーをしておくことで低いリスクでの取引が可能となる。分割エントリーにより、含み益のあるトレードを分割利確したり、損切りラインを引き上げたりすることで確実に利益を残せるからだ。
低リスクで、安定的なエントリーと決済を行おう。低リターンにはなるだろうが、確実な利益が一番重要だ。1000円の勝ちを1000回繰り返せば、100万円の勝ちになる。
では、前述してきたことに加えて、おすすめのエントリーポイントを以下に明記する。
極端な価格の動きの反転狙い
ダイバージェンスを伴う騙しのブレイクアウトの反転狙い
強力なトレンドにおけるバリューゾーンへの戻りで反転狙い
また、決済ポイントはテクニカル指標とともに以下を意識したい。
意識されやすいキリ番から少し離れた場所
意識されやすいテクニカルポイントから少し離れた場所
エントリーや決済時に一番重要なことは、トレード前に『あらかじめ決められた特定のルールに則っているか』と『仕掛け・利食い・損切り・ポジションサイズが適正か』を確認することだ。それぞれが決められていないトレードは感情的に行われる不毛なギャンブルになってしまう。
詳しいトレードルールについては以下の記事にまとめられているため、こちらを参照してほしい。
さいごに
これまで、知らないだけで損をしないために必要な『FX初心者が絶対に知っておくべきテクニカル分析の知識』を網羅的に解説してきた。
テクニカル分析の本質的なところに絞って解説してきたつもりだ。テクニカル指標の具体的な使用例もあわせて明記しているため、ぜひ実践で武器として使用してみてほしい。
一方で、テクニカル指標の詳細な計算方法については説明を省いた。各テクニカル指標の計算方法については至るところに書かれているからだ。詳細を知りたい方はそこらへんに落ちている記事を参照していただきたい。
冒頭でも触れたが、この記事をハンドブックとして持ち歩き、何度も読み返し、理解を深めていただければ幸いだと考えている。
投資人生はまだまだ長い。終わりなき旅を楽しむためにも、学び続け、成長を続けていきたい。昨日より今日、今日より明日である。
成長することだけが、運用成績を上げることに繋がるだろう。
このハンドブックはアップデートを続けていく予定だ。自己の成長とあわせ、このハンドブックの成長も楽しみにしてもらえると嬉しい。
参考文献
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