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【OAK】2022ドラフト3巡目以降

3.95 コルビー・トーマス(Colby Thomas) OF/大

さながら大卒版ボルティといったような、ハイシーリングな外野手。5ツール際立つ選手だが、中でもパワーツールへの評価は絶大で、打球初速は超優秀。ただ、アプローチには問題ありで、Chase%は黄信号を示している。アーム・スピード共に申し分なく、センターに留まれるクオリティ。天井は高いが、今季は右肩の故障でシーズンを棒に振り、ここまで95位までスリップした。

近年、1巡よりも成功例が多いのではないかと思うほどハマっている3巡目指名では、またハイシーリング型の選手を指名しました。
この順位でトーマスを指名できたのは大きなスティールとなる可能性があります。
もちろん、ここまで順位を下げるきっかけとなった故障や、アプローチといった懸念はつきまといますが、A'sの育成手腕が問われる所になりそうです。
スーザックと同様、コンタクトツール自体は悪くないが、選球眼が悪いというタイプをどのように育てていくかは注目です。


4.124 ジェイコブ・ウォッターズ(Jacob Watters) RHP/大

圧倒的なスペックが光る右腕。先発時でも平均96mph、最速100mphの速球に、”今ドラフト最高”との声もあるカーブという2つの強力な武器を持ち合わせる。ただ、ご想像の通り、コマンドは壊滅的。BB/9が10を超えていた(?)昨年時から比較してマシになったとはいえ、スターターとしてやっていけるだけに収まるかは疑問がつきまとう。

シチュエーションとしては2020年のジェフ・クリスウェルの指名に似ているかと思います。2020ドラフトと同様、スロットの節約を頭に入れた指名をしているため、アスレチックス好みのスタイルではないのは仕方ないかと思います。
先発に残れる可能性は極めて低いと思いますが、これだけのエンジンの持ち主は傘下のリリーバーにもいないため、リリーフに落ち着いたとしても楽しみな投手です。同じような順位(5巡目)で指名されたボビー・ウールを思い起こす感じがします。


5.154 ジャック・パーキンス(Jack Perkins) RHP/大

ウォッターズ同様、リスキーだが伸びしろのある指名。2020年のトミー・ジョン手術の影響で球速は落ちたが、依然として92-94mphをマーク。ベストピッチの3000RPMを超えることもあるスライダーに、発展途上と言われるが変化量豊富なチェンジアップを交える。スピンレート単体こそ悪くないが、どうやらスピン効率がそれを活かすのに最適ではないようで、ここは改善が必要か。コマンドは悪くない程度。

引き続き、フロアー型というよりはシーリング型というタイプの指名を行いました。やはり節約志向の指名であり、メディカルを提出した選手への下限額であるスロットの75%のボーナスで契約に漕ぎ着けました。
昨年のメイソン・ミラーとグラント・ホルマンほどとは言いませんが、ウォッターズとパーキンスの並びも似たものを感じます。アンダースロットとしては悪くないというイメージです。
こういうシーリング型の投手プロスペクトはすぐに故障しているイメージですが、ウォッターズとパーキンスはどうでしょうか。。。


6.184 ブレナン・ミローン(Brennan Milone) 3B/大

高校では投手としても名の知られたプロスペクト。大学ではパンデミックと不振でなかなか実力を発揮できていなかったが、ドラフトイヤーにバットで輝きを取り戻した。
パワーはずば抜けていないが、コンタクトスキルとプルヒッティングでカバー。大学では主に1Bだったが、A'sは守備のポテンシャルを信じて内野を守らせる意向。

こちらも節約志向の指名になりました。ミローンはスロットバリューの72%程度で契約しています。
ソリッドな打撃は既に証明済みのため、コンバートが成功すれば儲けものになる可能性があります。高校では投手兼SSだったため、ポテンシャルはあるとA'sは考えているようです。
上位はハイシーリングな選手で固めましたが、A'sは近年ハイフロアー型の選手で数々の成功を収めています。ミローンが次なる成功例となる可能性もあり得るでしょう。フアン・イェペス(STL)のようなタイプになれるかも。



7.214 イェニエル・ラボイ(Yeniel Laboy) 3B/高

カルロス・ベルトラン・ベースボールアカデミー出身のプエルトリカン。6フィート3インチの堂々たる体躯に大きなローパワーを秘め、打球初速はエリート級。スイングもスムーズ。アームは強いが、ランツールは平均程度でコーナーに落ち着く可能性大。

高校生とはいえ、各種媒体のランキングにもランクインしていない選手で、アンダースロットでの契約の可能性は高いでしょう。
スイングがかなり洗練されている点は期待したくなります。ダスティン・ハリス(Dustin Harris)を思い起こしました。

追記: スロットバリュー217.2Kに対し、175Kのアンダースロットで契約。

8.244 マイカ・ダラス(Micah Dallas) RHP/大

いずれも平均程度を飛び出さない90mph前半の速球(4シーム/シンカー)・スライダー・カーブ・チェンジアップを平均以上のコマンドで操る技巧派右腕。ピッチャビリティが持ち味のハイフロアー型。

アンダースロットでの契約の可能性が高そうです。

追記: スロットバリュー177.1Kに対し、125Kのアンダースロットで契約


9.274 ケイデン・トレンクル(Caeden Trenkle) OF/大

好守が売りのリードオフタイプ。打撃ではパワーレスながら四球を稼ぐことに長けている。CF守備は申し分なく、三振を減らすかパワーを伸ばすかして活路を見出したい。

傘下のカル・スティーブンソンに似たタイプだと思います。A'sはトレンクルのパワーポテンシャルに期待しているようです。


10.304 ブロック・ロッデン(Brock Rodden) 2B/大

打撃に高評価を得るスイッチヒッター。小柄なフレームながら打球初速は優秀で、打球にスピンを与える技術も高い。BB/Kも優秀だが、フリースインガーの気があり、プロではアプローチに苦しむ可能性も。体格と運動能力からポジションは2Bに限定されるだろうとのこと。

こういうソリッドなタイプの大学生を順調に育てている最近のA'sですから、このロッデンにも期待していいと思います。将来的にはルーネット・オドーア(BAL)のようなタイプに育つと面白いでしょう。

昨年のドラフトの一桁巡目では、守備型の大学生の指名がほとんどだったのに対し、今年は攻撃型の指名がほとんどなのは気になりますね。


11.334 クリスチャン・オッパー(Christian Oppor) LHP/高

伸びしろの高さが光る好素材。スリークォーターのアングルから投じる最速96mph・平均90mph前後の速球がベストピッチで、スピンレートも優秀。スイーパー気味に変化するブレーキングボールも持ち合わせるが、速球を多用する。チェンジアップは発展途上。細身の体型に身体能力を秘め、時間はかかるだろうが天井は高いはず。

北部ウィスコンシン州の高校出身のため、見過ごされている逸材という感もあります。恐らく契約金は125Kを超過してボーナスプールに加算されるでしょうが、法外に高いというほどでもないと思います。
昨年も11巡目でエデュアルド・リベラという高校生左腕を指名しましたが、リベラは故障で出遅れ中。前述の通り、投手がすぐに故障しがちの組織ですから、オッパーに関しても故障含めて長い目で見守っていきたいですね。


12.364 TJ シズ(TJ Czyz) RHP/大

今シーズン85イニングで117三振と、奪三振力に秀でた投手。カーブのスピンレートが優秀。


13.394 ジェイク・フェニングス(Jake Pfennings) RHP/大

奪三振力は欠くが、まとまったハイフロアー型のシニア。90mph前半(最速95mph)の速球、カーブ、スライダーのオーソドックスなレパートリーを持つ。ゾーンに球を集めすぎるきらいがあり、それ故に三振が少ないという指摘も。長身かつ運動能力に優れる興味深い素材。


14.424 ジャマリエル・ロサド・ジュニア(Jamaliel Rosado Jr.) SS/高

7巡のラボイと同じくプエルトリカン。最速92mphを誇る強肩と、大柄な体躯を感じさせない動きの良さから、SSに残れる可能性は高いか。大きなレッグキックが特徴の打撃では、パワーの評価こそ高けれど、確実性には不安を残す。

Perfect Gameのランキングによれば、ラボイよりも評価は高い選手です。守備ではこのロサド、打撃ではラボイに軍配でしょう。


15.454 マーク・アダミアク(Mark Adamiak) RHP/大

最速97mphの速球、スライダー、チェンジアップのレパートリー。大きなフレーム。典型的なリリーバーのプロフィール。

昨年ドラフトからの出世頭と言ってもいいブレーク・ビアーズはどちらかといえば、素材型でスタッツは散々だったことを思うと、案外うまくいくのかもしれません。


16.484 ブレーズ・ポンテス(Blaze Pontes) RHP/大

90mph前半(最速96mph)の速球とプラスのスライダーとのコンビネーション。グラウンドボーラー。速球のコマンドは優秀だが、適性はブルペンか。ハワイ出身。


17.514 ジェイク・ガーランド(Jake Garland) RHP/大

ハイフロアー型のグラウンドボーラー。パワーレスでプラスピッチもないが、全球種をコマンドしてゲームメイクする。マイアミ大のキャプテンも務めた。


18.544 ビンス・ライリー(Vince Reilly) RHP/大

最速96mph・平均94mphの4シームと変化の大きなスライダー、チェンジアップのレパートリー。クローザーらしく闘争心溢れるピッチングスタイル。


19.574 トミー・スティーブンソン(Tommy Stevenson) 1B/大

ディビジョンⅡで猛打を奮う強打の捕手。パワーと忍耐強いアプローチに秀でる。故障もあり、プロでは1Bか。


20.604 デレク・トルー(Derek True) RHP/大

90mph前半~中盤の速球とスライダーのコンビネーション。小柄だが運動能力の高いリリーバー。


総括

全21指名中、17人が大学生、4人が高校生と大学生偏重の傾向は相変わらずでした。
さらに、11人の投手、10人の野手を指名しました。投手11人の内、8人が11巡目以降の指名で、めぼしい上位指名は野手に費しました。「投手は下位指名からでも育てられる」とのスタンスは、大卒投手不作の今年のドラフトでも変わりなかったようです。

ドラフト後ですが、他球団に比べると契約情報がなかなか出てきておらず、またUDFA(ドラフト漏れ選手との契約)も音無しです。
前者は、中位でアンダースロットを繰り返したことからも、上位指名の選手との契約(特に2巡目のボルティ)との交渉に時間がかかっていることが考えられます。
後者の方はというと、パンデミックでいち早くマイナーリーガーへの給与停止を発表(後に大炎上し撤回)したことなど、アマチュア選手に敬遠されていることが考えられます。また、単純にA'sがUDFAとの契約に積極的に動いていないこともあり得ると思います。


個人的な所感としては、まずまずの出来だったかなと思います。

上位で確保したスーサック、ボルティ、エリオット、トーマスはインパクトフルな選手に育つ可能性があります。それに後者3名は、欠乏していたOFのマイナーデプスを大幅にグレードアップさせられるかもしれません。

ただ逆に言えば、恐らくオーバースロットで入団することになるであろう上位指名の選手たちが転けてしまえばそれまで。
それ以降の指名では、物足りなさも感じる面々が並びます。特に投手は総倒れの結末もあり得ると思います。

個人的に期待を寄せる下位指名のスリーパーは、10巡目のブロック・ロッデンと13巡目のジェイク・フェニングスです。フェニングスは上手く素材を活かすことができたら面白いと思います。

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