見出し画像

【OAK】マット・オルソンをATLにトレード

エースのクリス・バシットをNYMに放出して間もなく、今度は主砲マット・オルソンのトレードを成立させました。
昨年リーグ屈指の選手にまで成長したオルソンの去就は、A'sのみならず球界の関心事でしたが、意外なことに早期の決着を見ました。

総括

A's獲得
シェア・ランガリアーズ(Shea Langeliars) C/AAA
クリスチャン・パシェ(Cristian Pache) CF/MLB
ライアン・キューシック(Ryan Cusick) RHP/A
ジョーイ・エステス(Joey Estes) RHP/A

ATL獲得
マット・オルソン(Matt Olson) 1B

チームのスーパースターをバリュー通りに売り切ったという点では、手放しで称賛できるトレードではないでしょうか。

ランガリアーズ(No.2)とパシェ(No.1)はATLファーム組織トップの呼び声高いプロスペクトで、キューシック(No.6)は2021ドラフト1巡目指名の大型右腕、さらにエステス(No.14)もおまけというにはもったいないほどのポテンシャルと実績の持ち主です。
ATLからオルソンに出せるほぼ上限のパッケージを引き出せたと考えていいでしょう。

また、ランガリアーズとパシェの2人は既にMLB readyの状態であり、ショーン・マーフィーとラモン・ローレアーノの放出の決断を後押しするはずです。A'sの次なる勝負期の構想にマーフィーとローレアーノは含まれていないと図らずも示された形になったかもしれません。

オルソンのトレード市場ではかねてから最もメディアを賑わせていたのはNYYで、最近ではTEXやCLEといった球団の名前もちらほら出てきていました。しかし、上記の3球団と比べてもATLはメジャーレベルの人材が豊富であり、トレード相手としては最も理想的だったように思います。A'sもATLとのディールを欲していたようで、これにはオルソンをせめて地元でプレーさせてあげたいという気遣いもあるのかなと邪推もしています。

ATLがフリーマンを諦め、オルソンを選んだ理由は釈然としません。批判も現に付きまとっています。ただ、パフォーマンス面でいえばこれからオルソンがフリーマンを上回る可能性が高く、向こう2年のサラリーもオルソンの方が確実に安いはずです。オルソンは地元出身ということもあってエクステンションに応じる可能性も高いですし、もし調停2年分を含めたエクステンションを今結ぶのならば、調停分の買い取りによって契約全体のAAVは抑えられ、サラリースペースに余剰を生み出せます。

そして、ATLはフリーマンの後継者獲得のために莫大な対価を差し出したとはいえ、ファーム組織に致命的な穴を開けたわけではないのが特筆すべき点です。

パシェは持ち前の守備力を武器に早々にメジャーに昇格したものの、打撃の伸び悩みが響き、メジャー定着を果たせていませんでした。オルソンの契約が残る向こう2年にATLが焦点を当てているのだとすれば、パシェがあと2年でメジャーの戦力になるのは相当難しかったでしょう。パシェにまだプロスペクトとしてのトレードバリューが残っている内にトレードできたとの見方もできるはずです。

ランガリアーズの場合はメジャーレベルで捕手が渋滞していることが放出を後押ししました。正捕手のトラビス・ダーノウに加え、控えとしてマニー・ピーニャ、有望株ウィリアム・コントレラスが居座っている中で、ランガリアーズも既にAAAに到達しており、いずれかが整理されるのは予想できたことでした。しかし、私はATLはランガリアーズを守ってコントレラスをチップにすると予想していたため、ランガリアーズの放出には正直驚きました。ランガリアーズの放出は苦渋の決断だったかもしれませんが、ランガリアーズのプロスペクトとしてのバリューは今が恐らく頂点であり、一際バリューの高いランガリアーズを出すことによって他の有望株を(マイケル・ハリスetc)プロテクトしたかったのかもしれないと思いました。

キューシックとエステスの2名を欠いても依然ATLの投手プロスペクトは粒揃いです。お蔵入り確定のファイヤーセール予想の記事の中では、投手2人は即戦力+マイナー下層プロスペクトの組み合わせになると予想していたのですが、実際には2人ともAまででしか投げたことがない下層プロスペクトでした。ここからもATLの向こう2年にかける意気込みがうかがえます。ローテからあぶれそうなカイル・ライトやカイル・マラーはデプスとして保持し、比較的メジャーに近いブライス・エルダーやフレディ・ターノックまで守るという徹底ぶり。

ATLのパッケージは向こう2年のメジャーのチームへの影響がいかに少ないかを念頭に置いて練られたもののように感じました。

全体的に、両者の意向もしっかりと感じられるWin-Winのトレードだと思います。


交換要員について

クリスチャン・パシェ

ネクスト キアマイアーの呼び声高い守備職人。打撃の成長が鍵と言われ、打撃のポテンシャルを見出す識者とそうでない識者の間で評価が分かれることも多いのがパシェの特徴です。15HR,OPS.750くらい打てれば、プラスプラスのセンター守備と併せて十分に強力なセンターになれると思います。A'sがどのようにパシェの打撃を好転させられるかは注目です。

シェア・ランガリアーズ

こちらも守備の評価が抜けて高い選手。将来像はショーン・マーフィーで、低打率ながらも20HR以上打てるパワーポテンシャルが魅力で、守備はフレーミング以外の全てのツールを備えています。マーフィーも初期はそこまでフレーミングが良くなかったですし、ランガリアーズのフレーミングにも期待の余地はあるはずです。ランガリアーズ、ニック・アレン、パシェが形成する強固なセンターラインにはワクワクが止まりません。

ライアン・キューシック

2021ドラフト1巡目の大型右腕。最速102mphを誇り、昨年のプロデビューではアウトのほとんどを三振で奪いました。ブレーキングボールの評価も高く、スターターとしてやっていくにはチェンジアップの向上が必要と言われるありがちなパターンではあるが、これくらいスペックが高ければコマンドが磨かれればモノになるかと思われます。故障にさえ気を付けていれば、AJ パクが我々に見せられなかった景色をこのキューシックが見せてくれる可能性もあるはずです。

ジョーイ・エステス

最近流行りの低いリリースポイントからライジングファストを投じるネクスト ジョー・ライアン。球速が96mphに達したことで一気にブレイクを果たし、AではK/BB 4.38という完成度の高さを見せつけました。投球のほとんどを速球が占めるため、変化球の改善が急務とも。


マット・オルソンとのお別れ

2018年から軌道に乗り始めた現在のこの体制は、チャップマンとそしてオルソンのためのチームだったと思います。

ドラフト1巡目でチームに入団後からつまずくことなくメジャーに到達し、2017年に鮮烈なデビュー、2018~2020までは打撃面でポテンシャルを十二分に発揮したとはいえずとも、一塁手としては信じられないほどの華麗な守備でファンを魅せました。そして迎えた2021年はオルソンにたくさんの夢を見せてもらいました。タフな敗戦が続く中でも、オルソンのプレーを見られることがチームを応援する大きなモチベーションでした。

マット・オルソンの完成形の一端をA'sに在籍した最後のシーズンに見られたことは本当に幸運だったと思います。願わくは、2021シーズンが単なる始まりに過ぎないということです。ATLでも素晴らしいキャリアを継続し、殿堂入りしてくれることを心底願っています。


画像出典:MLB.com

いいなと思ったら応援しよう!

もー
よろしければサポートをお願いします