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【OAK】2021-22オフ展望【売却編】

既に数々の報道にある通り、A'sはこのオフに大きな転換を図ります。4年連続のプレーオフ争いの中心だった主力選手をトレードに出し、年俸を削減、チームとしても新たなスタートを切ることはもはや避けられないことでしょう。今回は主力のトレードについてフォーカスしてこのオフを展望してみます。

タイミングは適切か?

忌まわしい金銭的事情はさておき、このオフに行われるであろう解体は適切なのでしょうか?

残念ながら適切でしょう。

主力選手のFAが刻一刻と迫っている、ということ以外にもこれ以上のコンテンドは到底持続可能には思えない要素があります。

というのも、勝負期の買いトレードやドラフトの失敗により、ファームシステムはみるみると擦り減り、もはやこれ以上の買いトレードを行うアテがないのです。昨年夏ですら伸び悩み中の元トッププロスペクトだったヘスス・ルザルドを諦めるという奥の手でトレード補強を敢行しています。

そして何よりも(そして結局は)金銭的事情が厳しい。
このオフに14名もの選手がFAでチームを去りますが、彼らの穴を埋めるそれらしい戦力を補強できる金があるわけもなく、前述のようにトレードも満足に行えないことが予想され、勝負するための戦力構築はかなりの至難の業です。

また同地区のライバルを見渡してみても、マリナーズは着々と脱皮を進め、エンジェルスは大谷翔平とトラウトをプレーオフでプレーさせるという使命を帯びて補強に動き、レンジャーズですら再建を終えんとしています。言わずもがな、アストロズは強いままです。
これらのチームを相手に渡り合っていけるだけの戦力も体力(財政力・プロスペクト層)はもはや残されていません。

そのため、今オフに再出発を図ることは理に適った判断ではあるのです。


そしてもう一つのタイミング。
オフのどの時点でトレードを敢行するかについては、新しい労使協定が確定してからという予想が多いです。
現在、選手会とMLB機構が血眼になって交渉中(と信じたい)新労使ですが、一説にはチームのペイロールの下限である"サラリーフロア"の導入が噂されています。もしそうなってしまっては、主力を放出しコストカットを行った後ではもう手の施しようがありません。そのリスクを鑑みて慎重になるだろうという予想です。サラリーフロアがもし導入されたされたらどうなるのかは全く分かりません…。オルソンとモンタスのトレードでサラリーフロアに達することのできるだけの金銭を確保するのでしょうか…。

マット・オルソンの対価は?

オフのトレード市場を早くも牛耳っている生え抜きスター一塁手の去就問題から。

A'sが解体に動くことが濃くなっていく中、現状のA'sで最もバリューが高い選手であるマット・オルソンのトレードも当然のように囁かれ始めました。

オルソンは2021年シーズンに更なる成長を見せ、名実共にオールスタークラスの選手、メジャー最高のオールラウンダー一塁手としての地位を確立しました。
しかし、このオルソン。契約期間は残り2年、来季の調停額は10~12Mに迫るとされ、向こう2年勝つ見込みの無いA'sにとってはオルソンは残しておくにはもったいないですし、残せるお金は無さそうなのが実情です。

トレードするにはこれ以上ないタイミングなのは確かですから、オルソンのトレードは必定でしょう。問題はどれほどの対価を引き出せるか。このオルソンのトレードで未来のコアを引っ張ってくる!ぐらいの心持ちで挑まなければ、未来は暗いままです。実際、A'sはオルソンの対価を法外に設定しているとのこと。それで良いのです。

トレード相手として頻りに噂されているのはヤンキースです。既に細かい話はまだとのことですが、接触はしていたという報道もあります。
オルソンはNYYの補強ポイントにドンピシャで、NYYはプロスペクトも十分に揃っていることもあり、オルソン獲得レースの最右翼と目されるのも無理からぬ話です。

オルソンの交換要員として考えられるのが、NYYのトップ3プロスペクトであるアンソニー・ボルピー(Anthony Volpe)ジャッソン・ドミンゲス(Jasson Dominguez)オズワルド・ペラザ(Oswald Peraza)。もしトレードとなれば、この3人のうちのどれかが目玉となるのは間違い無いのではないでしょうか。

豪華なパッケージを期待したいところですが、思い出して欲しいのは5年前のソニー・グレイのトレード。その際、A'sはTop100入りしていた3人のプロスペクトを獲得しましたが、その内の2人の野手は使い物になりませんでした。
NYYのプロスペクトは過大評価されがちというのは常々感じることですし、今のNYYのプロスペクトランキングを見てもそこに名を連ねるのは、グレイのトレードで獲得した2人のように、三振の多いプロスペクトばかり
三振の多いプロスペクトに寛容でいられない私の性分と、NYYのプロスペクトの歴史が、NYYとのトレードを不安にさせる面はあります。
目玉候補として挙げた3人はスペシャルな素材でしょうが、パッケージ全体で見ればどう転ぶかは分かりません。

レッドソックスのような球団も候補に挙げられるところですから、複数の球団でオルソンの獲得レースが白熱し、値段が釣り上がることに期待しましょう。


バシットとマナエアはマストセルか

FAまで残り1年のクリス・バシットとショーン・マナエアのトレードも確実視されています。
オルソン同様、来年のチームにいてもどうしようもありませんし、調停予想額は10M未満とサラリーも高いので、良いトレード相手を見つけて欲しいですね。

この2人のトレードに関しても、オルソンほどではないにせよ良い見返りを期待して良いでしょう。
2人とも先発2-3番手の働きを期待できるフロントスターターで、年俸も10M未満と相場に比べればお手頃。特に昨年メジャー最低のスターターだったアンドリュー・ヒーニーに8.5Mの値がつく渋いFA市場を考えれば、この2人の需要も高いはずです。

この2人のトレード市場における比較対象としては2020-21オフのランス・リン2014-15オフのジェフ・サマージャが思い浮かびます。

ランス・リンの場合はデビュー済みの先発プロスペクトだったデーン・ダニングを引き出しましたし、サマージャのトレードは言うまでもなく、MVPファイナリスト(マーカス・セミエン)と20,21シーズンのエース(クリス・バシット)をもたらしました。

いずれの場合も対価はマイナーでプレーするトッププロスペクトではなかったですが、メジャーデビュー済みでスタッツ先行型の若手選手であったことは共通しています。
トレード候補に挙がるのはフィリーズなどでしょうか。PHIのようにペイロール事情が厳しいチームにこそフィットするはずです。ベイリー・フォルター(Bailey Falter)のような先発投手の補強でブロックされる投手が交換要員となる可能性があります。


フランキー・モンタスはどうなる?

御大デビッド・フォーストGMが「全員についてのオファーを聞く」といってしまった限り、モンタスのトレードの可能性を考えないわけにはいきません。
モンタスは、バシットやマナエアと同じチームのエースの1人でありながら、その2人より保有期間は1年長く、来年の調停予想額も安めです(5M)。そのため、トレードバリューはかなり高いです。

やや技巧派に寄るバシット、マナエアと違い、モンタスは紛れもないエースポテンシャルを秘めていることもあって、まだまだ価値は上がるのでは?とも思います。
しかし、保有期間が長めといっても2年しかなく、それはもしトミージョン手術を受けてしまえば瞬く間に過ぎてしまう時間です。今のままでも十分にトップスターターとして売り出せますし、諸々の怪我のリスクを考えれば、モンタスの今オフでの売却はベターな選択です。

そしてモンタスはオルソンと同様、対価に関してはかなり欲張れる選手ではないかと思います。金銭的事情から足元を見られることもないでしょうし、殿様商売で交渉に挑むぐらいで良いでしょう。
マナエアやバシットのトレードがソリッドな対価を求めるものならば、オルソンとモンタスのトレードでは未来のコアを求めて欲しい、とざっとそんなイメージでいます。


もう1人のコア、マット・チャップマン

マット・チャップマンの去就については悩ましい所でしょう。

もしチャップマンが本来のパフォーマンスを残しているならば、オルソンと同程度もしくはそれ以上の対価すら見込めるはずです。しかし、現実にはチャップマンは2年続けて故障と不振に苦しむシーズンを送り、価値は下落しています。

今、マット・チャップマンは間違いなく売り時ではありません。

A'sはチャップマンのバリューが戻るまで待つことができます。もし、今オフにトレードすべきである上記4人のコア(オルソン/マナエア/バシット/モンタス)がトレードされれば、単純計算でその4人の調停予想額およそ35Mがペイロールから浮き、チームの全体予想ペイロールもおよそ35Mまで減ります。
「A'sはペイロールを50Mまで削る」という噂もありますが、もし50Mが上限だとしてもチャップマンをキープする余裕はあります。仮にチャップマンをキープできるならば、チャップマンのバリューが戻るまで待つのは悪くない選択です。

もちろん蓄積した疲労による更なる怪我のリスクもありますし、良いオファーがあったらトレードしてしまって良いでしょう。しかし、今の段階ではセルローは避けられないでしょうから、ここは一旦待つのが正解だと思われます。


その他主力(マーフィー、ローレアーノ、トリビーノ)は残留か

上記の4人以外にも主力選手はいます。目立った所で言えば、ショーン・マーフィー(調停前)、ラモン・ローレアーノ(調停1年目)、ルー・トリビーノ(調停2年目)の3人でしょうか。

マーフィーとローレアーノは流石にキープするでしょう。2人ともまだバリューも年俸も上がり切っていないですし、もっと言うならばこの2人が在籍している内に再び勝負できる段階に移行したい所です。
The Athleticのケン・ローゼンタールはショーン・マーフィー にもトレードの可能性はあるとしていますが、本音で言えば避けて欲しい所。今オフのトレード・FA市場における捕手不足は顕著ですが、だからといってマーフィーをあっさりと手放すべきではありません。よほどの対価でない限りはキープすべきです。もちろん、ピスコッティやアンドルースといった高額選手のサラリーダンプで放出するなどもってのほかです。

ルー・トリビーノはまだ3年間コントロールでき、年俸もリーズナブルです。昨年はクローザーに定着したとはいえ、まだトレード市場が高騰するほどのリリーバーにはなれていません。来年のブルペンは深刻な人材不足も予想されるため、取り敢えずはキープして、トレードするとしたら成績に色を付けてからでしょうか。

また、昨年ブレイクしたユーティリティのトニー・ケンプ(残り2年)もバリューを高めています。前述のコアのトレードの“おまけ”として欲しがる球団も少なくないでしょう。
残して欲しい選手ではありますが、今年以上の成績を残す可能性が高くないことを考えれば、今オフに売りに出すのは悪くない選択です。

また、成績が残っていないためトレードになる可能性はごく低いですが、チャド・ピンダーもFAまで残り1年しかありません。
しかし、FA前までに売り切ることを目指すより、ピンダーに対してはむしろエクステンション(契約延長)を模索して欲しいです。ピンダーのどこにでも置ける汎用性の高さ、プラトーン起用には十分なパワー、そしてクラブハウスの若手に慕われるリーダーシップは、再建期に突入するであろう向こう2-3年間においても、必要なものです。

エクステンションの規模の目安となるのは先日のエリアス・ディアスとロッキーズとの契約(14.5M/3yr)です。このディアスの調停最終年+FA2年分をカバーする契約は、キーストーンの捕手を高いレベルで守りながら18HRを放った選手との契約にしてはお値打ちとの評価を得ています。
確固たる実績を未だに残していないピンダーならば、これを下回る規模での契約を呑む可能性は低くないでしょう。
また、A's側にとっても、もしピンダーがブレイクすればバーゲン価格の複数年契約は彼のトレードバリューを絶大なものにしますし、ブレイクせずに例年並みの稼働だったとしても元を取れるであろうリスクの低い物件です。
3年10M+αぐらいでまとめてくれないでしょうか。

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