タスクシュートと「余白」の芸術:狩野探幽
「絵はとかく、つまりたるがわろき」と、江戸時代の画匠が語りました。
「つまる」とは、「詰まる」のこと。
画面の隅々にまで、絵が詰まっているのは、よくないということです。
逆の「余白」「余剰」「余韻」。
そのような、つまらないことを大事にしました。
「あまりたるがよろし」ということでしょう。
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ところで僕は、「余白」がとても好きです。
「余白」にこそ、遊びがあり、豊かさがあり、クリエイティビティが溢れるからです。
「余白」なしに、面白い人生はありません。
ここで考えたいのが、最高のタスク管理メソッド「タスクシュート」にとっての「余白」です。
実は、タスクシュートにおいては、「何もしない時間はない」という考え方に基づきます。
水槽には、金魚がいるだけでなく、必ず水で満ちているように、1日の時間も必ず何かをする時間で満ちています。
ということは、タスクシュートは、「つまりたるがわろき」の対象なのでしょうか。
いえ、僕はそうは思いません。
1日のタスクの中には「バッファ(緩衝帯)」を入れることを推奨しています。
バッファは、突発的なことが起こった際、入ってる予定がぶつかり合い、削り合わないように、緩衝材(クッション)の役目を果たしてくれます。
想定外のことは、だいたい起こるもの。
慌てず焦らずの1日を過ごすためには、「余白の時間」を、あらかじめ組み込むことは必須です。
それは、タスクシュートでは、あらかじめ組み込みます。
いかにうまく「余白」を入れるか。
それは、タスクシュートが魅せる、芸術的な1日の始まりなのだと思います。
おまけ
「絵はとかくつまりたるがわろき」と語った画匠とは、狩野探幽。
江戸の画壇を制したと言っても過言ではない、狩野派の巨匠。
先日訪れた展覧会「江戸時代の美術 ─「軽み」の誕生」で、その優れた作品を鑑賞することができました。
面白いのが、その展覧会の画集です。
なんと、背表紙が、欠けています。埋まっていないのです。
「つまりたる」は、わろきですからね。
味なことをしてくれます。