人生の中で、最も成長したと思える瞬間
知的障害児の入所施設に勤めていた時、大きな問題となっていたのが、
「育って大人になったのに、児童施設から先に移る場所がない子ども(大人)たち」の存在です。
業界用語で、「過齢児」と呼ばれていました。
「児童の年齢を過ぎた児」という意味なんだと思います。つまり、大人です。
大人なのに、「過齢児」と呼ばれたのは、
大人なのに、児童施設で暮らしているからです。
知的障害があると、施設から出てすぐアパートに一人暮らしという訳にはいきません。
大人むけの福祉施設が必要になります。
でも、空きがないので「児童施設」に滞留してしまいます。
ここでの問題は2つの面があります。
大人なのに、大人扱いされずに、子どもの施設に暮らさざるを得ないことが一つ。
もう一つは、児童施設を必要としているのに、利用できない子どもたちが出てしまうということ。
この長年の課題。これをどうにかしなきゃいけないということで、取り組み始めました。
問題の分析を、過去数十年の記録から調べ直し、法律のトレンドも勉強しました。
そして、自治体が単体でできる範囲の中で、「新しい独自の制度を設置する」ということにチャレンジできる機会に恵まれました。
制度は予算を伴うため、税金を使うことになります。そうそうできることではない、とてもシビアな世界です。
でも、実現まで漕ぎ着けました。
いろいろな部署を折衝が行われ、説明資料が作られ、「過齢児」の解消に結びつく、自治体独自の制度を創設する。
とてもチャレンジングであり、公私にわたり研究を続けました。
ずっと興奮していたことを覚えています。
この時の、研究や折衝、運営を通して、障害福祉の本質に近づく感覚があり、すごく深く理解した=成長したと思っています。