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波の絆・サーフィン人生30年の軌跡

 サーフィン歴が30年以上を迎え、振り返ってみると、私の人生においてこのスポーツとの出会いがどれほど意味深いものであったかを強く実感します。

 サーフィンを通して、多くの人々と繋がり、自然から多くの教訓を学び、そして何よりも深まった経験と知識が、私を今の自分に育ててきたと感じています。

 もちろん、全てが順風満帆ではなく、時には厳しいローカルルールや文化に悩まされたこともありましたが、それもサーフィンの一部として今では大切な思い出となっています。

 全国各地をサーフィンで駆け巡った中で、特に印象に残っているのが秋田県のあるポイントでの出来事です。

 秋の紅葉が美しい季節、私はすでに山形で非常に辛い体験をした後、気持ちが沈んでいました。

 そんな中、私は秋田のポイントにたどり着きました。

 駐車場には一台のステーションワゴンが停まり、その周りには二人のサーファーがウエットスーツに着替えているところでした。

 数時間前には誰もいなかったのに、波は絶好のサイズで、まさに神がかり的なタイミングでした。

 私は他のポイントも見たくて3箇所ほど巡ったのですが、どこも今一つで、結局最初に来たポイントに戻ることに。

 再び車を降りると、ウエットスーツを着た二人のサーファーが私に気づき、少しドキドキしながらも「こちらにお邪魔しても良いですか?」と尋ねました。

 すると、ゴリマッチョなサーファーがにっこりと笑い、「もちろん! まだ貸し切りタイムだから、三人で楽しもう!」と答えてくれました。

 その瞬間、私はその温かい歓迎に胸がいっぱいになり、サーフィン歴が長い自分でもこんなにも嬉しい気持ちになったことは初めてだと思いました。

 波に乗り始めると、セットで胸くらいのサイズの波があり、久しぶりに心から楽しんでいる自分に気づきました。

 しばらくすると、地元のサーファーがパドルアウトし、私も後に続きました。

 波は美しく、ショルダーも長く、絶好のコンディションでした。

 細マッチョなサーファーが「遠路はるばる来たんだから、一番外から乗ってくださいよ!」と、普通ならローカルサーファーが言わないような優しい言葉をかけてくれ、私はそれに従い波を楽しみました。

 その後、最高の1本を乗り、ふと周囲を見ると、50代くらいのサーフィン経験豊富なサーファーが私を睨んでいるように見え、少し緊張しました。

 しかし、その瞬間、ゴリマッチョの声が響きました。

「まぁまぁ、良い波ですよ!」その声を聞いて少し安心し、私はリラックスして波を楽しみました。

 その後も、波の静けさの中で仲間たちと自然に会話が弾み、改めてサーフィンを通じて築かれる不思議な絆の深さを感じることができました。

 ゴリマッチョなサーファーが「今日は本当に良い波でしたね!」と声をかけ、細マッチョなサーファーも「秋田の波は奥が深いですね。冬が特に楽しみです」と語りかけてくれました。

 それに対して、私は心から「本当に、今日は来て良かった」と感じ、笑顔で返しました。

 その後、心温まる出来事が続きました。

 波が静まると、私は一息つきながら海を眺めていました。

 すると、50代のレジェンドサーファーが再び声をかけてきました。

「君、いいサーフィンしてたよ」と穏やかな笑顔で言ってくれました。

 私は驚きとともに「ありがとうございます」と答えました。

 彼の目には、ただの技術に対する評価だけでなく、サーフィンを通じて培われた人生の深みが宿っているのを感じました。

 レジェンドはその後、「サーフィンはただ波に乗るだけじゃない。波と心が通じ合う瞬間がある。それが本当に楽しいんだ」と語りました。

 その言葉には、長年の経験と、波との深い絆が感じられました。

 彼のサーフィンは、まさに波と一体化するような滑らかさで、年齢を感じさせない力強さがありました。

 その時、ゴリマッチョなサーファーが冗談を交えながら、「レジェンド、今日も最高ですね!」と言うと、レジェンドはにっこりと笑いながら、「若い者には負けないさ」と謙遜しました。

 その謙虚さとサーフィンに対する真摯な姿勢に、私は深く感動しました。

 その後、皆で再び波に乗り、レジェンドは私に何度も優しくアドバイスをくれました。

「その波、少し外側に出てみるといいよ」と言って、私に新たな挑戦を促してくれました。

 彼の言葉には、ただの技術的なアドバイス以上のものがあり、私はそのたびに新しい発見を感じました。

 サーフィンを終えた後、レジェンドは「冬の波も楽しみだな。君もまた来て、もっと良い波を一緒に乗ろう」と言って、肩を軽く叩いてくれました。

 その言葉には、サーフィンを通じて結ばれた絆と、これからも続く交流を感じさせてくれました。

 その日、私はサーフィンがもたらす深い絆と、仲間との出会いの素晴らしさを再確認することができました。

 サーフィンはただの技術ではなく、人生における貴重な教訓や、心温まる瞬間を提供してくれるスポーツだということを実感しました。

 そして、サーフィンの合間に少し休憩をとっていた際、ゴリマッチョがバックパックから地元の名物お菓子を取り出し、「お疲れ様! これ、地元の名物だよ」と渡してくれました。

 その心温まる思いやりに、私は感動し、「ありがとうございます!」と笑顔で受け取りました。

 その瞬間、言葉以上に深い絆を感じることができました。

 その後、私たちは数本の波を乗りながら、これまでのサーフィンの経験やスタイルについて語り合いました。

 これほどまでに心温かく接してくれるサーフィン仲間に出会えたことに、改めて感謝の気持ちが込み上げてきました。

 波が静まる頃、二人のサーファーは「また来てね、次は冬の波を一緒に楽しもう!」と言って、温かく手を振ってくれました。

 私はその言葉を胸に、秋田の海を後にしました。心に残る出会いと温かな言葉が、まるで波のように私の心に広がり、永遠に忘れられない思い出となったのです。

 その日のサーフィンは、私にとってこれまでのサーフィン人生で最も大切な思い出となり、サーフィンがくれるものは単なる技術や波のコンディションではなく、こうした人々との繋がりや、思いやりのある瞬間こそが、何よりも素晴らしい宝物であると感じたのでした。


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