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第58回魔界を終えて。魔界という世界を構築し続ける。

「貪欲Greed」と題し、6年目を迎える、そして平成最後の魔界、そして通算58回となる魔界を終えた。

主役の鶴姫こと志田光のAEW所属の発表後、最初の回でもあり、魔界にとってもステップアップしたい回であった。

その一方で、映像出しの弥武さん、音効の浦畑さんと主要の裏方メンバーが欠席、リハーサルでもなかなかメンバーが揃わず、不安がいっぱいの回でもあった。

その中で、今までにないことを試みた。

それはアクションチームの導入である。

現在では日本屈指のアクションチームであり、モーションキャプチャー制作としては世界トップクラスともいえる活劇座のみなさんに力を借りた。

トップの古賀さんは以前、ワタシが映画の監督をした際にも独創的なアクションをつくってくださり、その手腕には100%の信頼があった。

魔界において、アクションはすべて俵藤太役のバッファローくんが総責任者として行っている。レスラーがメインで行うこともあり、また、バッファローくん自体がこの5年間積み上げてきたものはそう簡単に上回れないからだ。

しかし、新しい発想や知見も魔界のアクションに導入することは必要だ。そこで、古賀さんに連絡したという次第だ。

ただ、魔界の全編というわけではなく、クライマックスの晴明vs信乃の戦いを担当してもらった。にいみ啓介と宮原華音という魔界きっての動ける俳優チームあの戦いを演出してもらうことにした。

今回は宮原華音という才能の覚醒もひとつのテーマだった。映像の世界ではなく舞台は、「そのまま」がさらされる。その中でもう一段上に上がって欲しい。魔界は「本当に戦う」人たちが中心であり、そのリアリティに、俳優の演出というもので立ち向かうのは正直、難しいことだと思う。本人も悩む部分があったのではないだろうか。

それを払拭するために、活劇座の演出力と同じ俳優枠でありながら、「本当に戦える」にいみくんを相手役にすることで、今までのキャリアの延長線上で新しい挑戦ができると考えたのだ。

結果としては、ラストの4分にわたる激闘は、まさに「死闘」であった。直接のコンタクトはなくとも、その運動量と気迫、気力は一度切りの戦いを見事に演じきってくれたと思う。

魔界は、楽曲と戦いがリンクする。1対1で4分を戦い切るということは想像を絶する労力である。今やれるベストを出してくれた。

まさにストーリーとリンクして犬塚信乃と宮原華音はなにかを掴んでくれただろう。次回にはその成長をみなさんに見ていただけることになると思う。

そして。

もうひとつ、今回、音楽班にも新しい才能が加わった。

なんと北海道からやってきてくれたギタリストのIlluminaさん。ArkRoyalというバンドのボーカリスト兼ギタリスト。

初期に出演してくれたmiyakoちゃん、SAKIちゃん、Erikaちゃんに続いて魔界4人目の女性ギタリストとして素晴らしい演奏を聴かせてくれた。

6年目を迎えた魔界は、まだまだ新しい才能を求めている。次回も新しい才能が増える予定だ。

魔界は、まだ世界観を構築している途中だ。

魔界に必要な才能はどんどん取り込んでいく。それが魔界の考え方だ。

それは同時に、「魔界の世界観に不必要なものは排除する」ということでもある。それは厳しい生存競争のはじまりでもある。

それは魔界に見に来ていただいている魔界の民のみなさんも同じだ。

魔界はいわゆる普通のショービジネスとは違うものになりつつある。なぜなら魔界とは、会場に存在するすべてが世界観だからだ。観客ではなく魔界に存在するもの。それが魔界の考え方だ。そこに存在するすべてのものが世界を構築する。

そういうものを目指したいと思っている。

魔界は奇跡のような作品だ。58回も連続しながら、存在しつづけ、成長し続けることができている。

それは、魔界という世界が深く、複雑で、でも魅力的だから。

その世界はまだまだこれからも深く、そして少しづつ広がり続ける。

そう信じて、第59回目に向かう。

ストーリー的には、第59回は衝撃的なものになるだろう。ある意味、魔界のルールをひっくり返すことが起こるかもしれない。

そして、音楽班においてはとんでもないものをお見せできる。

ぜひ、魔界でまたお会いしよう。


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